16話 夢よりはお兄様でしょ?
主人公視点に戻ります。
(13話の続きです。)
(ここはどこ??…)
私は不思議な草原にいた。真っ白な草原に薄い紺色の空。
とても、幻想的にも感じられるこの空間…じゃなくない?!私、家のベッドで寝てたよね?!
『あれ?もう来たの?』
聞こえてきた声の方向を振り返ると、黒髪の女性?がそこに立っていた。よく見ると、背中に黒い翼を生やしており、目元は少し長めの前髪で隠れてしまって、よくわからない。女性の立っている周囲が白い草原なだけあって、女性の容姿はよく映えている。
そんなことを考えている間に、謎の黒髪女性が、私の方へ近づいてきて、私の顔を覗き込んできた。
『その様子だと…無意識で来ちゃった感じ??』
ここはどこ?
私はどうしてここに?
あなたは何者なの?
質問したいことがたくさんあるのに、なぜか声に出すことができないでいた。
『その様子だと、今回は間違えて来ちゃったみたいだね。私を前にして、声が出ないのがその証拠。』
異世界転生したこともだいぶおかしな事だと思うけど、この場所・状況は明らかに異常で奇怪なことだと肌で感じる。
『とりあえず……えいっ!』
黒い女性が私のおでこに人差し指を当てた瞬間、急に眠くなってくる。
『その時になったら、またおいで。私は気長に待ってるから。』
黒い女性がヒラヒラと手を振ってる姿を見ているうちに、私の視界は薄れていくのであった。
✽✽
「おはようございます。レム様。」
「ふぁ〜。……メリアさん。おはようございまふ。」
「まだ眠いようですね。」
(不思議な夢を観ていたような気がするけど、全く思い出せないなぁ。)
「_ということで、本日は授業も予定も特にありません。」
話はほとんど聞いてなかったけど、最後のメリアさんの言葉に、私は一気に目が覚める。
「なら今すぐノアお兄様のところに!!」
布団から出て、すぐにノアお兄様の部屋に行こうとすると、メリアさんに服の首根っこを掴まれる。
……私は猫ですか?
「ま・ず・は、顔を洗って、朝ごはんを食べてからにしてください。」
「………はい。」
正論に対して反論できるわけがなく、大人しく従うレムであった。
✽✽
「_ということがあったんですよー!!!」
私はノアお兄様のベッドに座って、先日、王様と謁見したときのことと、第1王子と出くわしてしまったことを話した。ついでに、お父様が事前に魔法の授業があると教えてくれてなくてびっくりしたことも、恨みを込めて話した。
一通り私の話を聞いたノアお兄様は「…よく…頑張った、ね。」といいながら、私の頭を撫でてくれた。お兄様の優しさが沁みるー!!!
ノアお兄様は、表情の変化は大きくない(ほぼ無表情)。けど、不思議なことに、言葉一つ一つでお兄様の優しさがよく伝わってくる。
(そこがお兄様のすごいところなんだよねー。)
「最近…体、調子いい。」
「たしかに最近は、熱の発症頻度も減ってきてますよね!
よかったですね、ノアお兄様!」
このままいけば、いつかお兄様も、ソルお兄様とルーナお姉様と同じように、学園に通えるようになるのかもしれない。
私は自然と嬉しくなった。
「なんで…?」
「はい?……なんでとは???」
ノア様の突然の質問?に私も質問?で返してしまう。
「どうしてレムは………っ…」
何かを言い淀んでる雰囲気があったけど、私は何かを話そうとしてくれるまで静かに待った。ノアお兄様のペースがあると思ったからだ。
「……レムは、…どうして……いつも………いてくれるの?」
「一緒にいたいからいるだけですよ。」
ノアお兄様のそばにいるのは楽しいし、心地良い。話をよく聞いてくれるし、よく勉強を教えてくれたりもする。それらの理由を全部含めて一緒にいたいと思っているから一緒にいる。ただそれだけでしかない。
「一緒に……いたい…から………いる………か。」
しばらく、私たちの間に沈黙が流れた。私から話しかけていいのか、絶妙にわからなかった。
更に数分が経ち、しびれを切らしそうだった私はそろそろ話しかけてみようと思ったときに、先にノアお兄様から話し始めた。
「ありがとう…。」
(っっ??!!)
いきなり、感謝されたものの、感謝される理由がわからず、私は呆気にとられていた。
「ど、どどど、どういたしまして????」
なんとか言葉を返したけど、カミカミでグダグダだった。
「ふふっ。」
そんな私の様子が面白かったのか、ノアお兄様は小さくクスッと笑っていた。
突然ですが、皆様に問題。
Q. ほぼ無表情の人が、見てわかるくらい、ふわっとした素敵な笑みをしたとき、それを見た第三者の心境を答えよ。
もちろん答えは
A. 「萌え可愛い!!!」である。




