12話 お兄様の友人らしい
(めっちゃ緊張したー!)
陛下はとても優しそうな人ではあったものの、迫力があり、逆らえないような雰囲気があった。
何かを見透かしてるようなあの視線も少し怖かった。
お父様が戻り次第、早く帰りたい…。
いち早く王城を立ち去りたい!そして寝たい!!!
(お父様ー!早く戻ってきてー。)
✽✽
なんて思ってたから、罰でも当たったのだろうか?
「君がソルの妹さんかい?」
「!!!」
目の前には、ソルお兄様と同じくらいの年齢の男の子に話しかけられた。
ソルお兄様は頼れる爽やかイケメンって感じなんだけど、この人の場合は美人系のイケメンだなぁって思った。
それに加えて、綺麗な礼装を身に纏っている。間違いない、この方は…
「初めまして、王太子殿下。ホワイト伯爵の末の娘レム・ホワイトでございます。一番上の兄がいつもお世話になっております。」
王太子シリウス・ライラック。この国の王太子であり、ソルお兄様の親友でもある人物だ。
ソルお兄様からたまーに名前を聞いてはいたけど、本当に友人だったようだ。
「……」
シリウス殿下は、じーっと私の顔を見つめだす。
「ど、どうかなさいましたか?」
「……」
しばらく見つめられ続け、どうすればいいのかわからなくなっていた。
(も、もしかして、気づかぬ内になにか失礼なことしちゃった?!)
私は内心とても焦っていた。
「聞いていたとおり、レム嬢は珍しい色をしているんだね。」
「え?」
「君のお兄さんからレム嬢の瞳の色を聞いていたから、個人的に気になっていてね。」
どうやら殿下は私の瞳の色の珍しさに興味を持って、見ていただけのようだ。
「とはいえ、まともに挨拶をしないで、レディの顔をまじまじと見てしまって申し訳なかった。」
私は慌てて首と手を左右にふる。
「王太子殿下が謝る必要はございません!まったく気にしてませんから。」
あわあわしながら答える。
「たしかにこの瞳は珍しいですよね。」
両親も兄弟もみんな白い髪と蒼い瞳の容姿を持っている。
一方、私の持つ髪色は私も家族と同じ白色ではあるものの、よく見ると、私のほうが少し明るめな白髪で、家族と微妙に違う。瞳の色に関しては、全く違う色で、私一人だけが桃色の瞳なのである。瞳の色が桃色なのは素敵だけど、家族と違う色なのは少しだけ寂しく感じる。
「…弟に似ているな。(ボソッ」
「申し訳ございません。聞き取れなかったのですが、今なんとおっしゃい…」
「王太子殿下!!」
兵の一人がここまで駆け寄ってくる。
「弟は見つかったかい?」
「申し訳ございません。まだ正確な足取りは掴みきれておらず。」
「そうか…」
(弟??…第2王子樣のことかな?)
詳しくは知らないけど、王太子には5歳離れた弟がいると家庭教師から聞いたことはある。…あ、よくよく考えたら私と同い年だ。
「すまないレム嬢。少し立て込んでいてね。俺はここで失礼させてもらうね。」
「は、はい。」
シリウス殿下は先程まで応接間にいたお父様とすれ違うように、陛下のいる応接間へと早足に入っていった。
(第2王子。…見つからない。…足取り。…何も聞かなかったことにしよう。)
シリウス殿下には申し訳ないけど、王族とはいえど、私にとっては他人事。私は安眠するために、余計なことに巻き込まれるつもりはまったくない。自分勝手に生きる予定だ。
「レムお待たせ。今シリウス殿下とすれ違ったのだけど、もしかして、話でもしてたのかい?」
「はい。ちょっとした世間話をですが少し…」
私の瞳について話をしただけなんだけどね。
「そうだったんだね。急に会ったから驚いただろう?お疲れ様。家に帰ろうか。」
お父様にエスコートされ、馬車に乗り込む。
私は座席に座って、やっと緊張感もなくなり、一安心できたのであった。




