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8.コウノトリは運ぶ

俺は落ち着いて考える為、部屋に戻った。

部屋の扉には俺の頭が通るよりちょっと大きい穴があって、そこから出入りできるようになっていた。

猫は頭さえ通れば何処でも通れると友達は言ってたけど、本当にそうだ。頭より肩のほうが広い感じもするのに、別にどうと言うことなく通れてしまう。


あいつの部屋はわかっている。でもその部屋からはミリアの匂いがしない。船倉に押し込められているのかと探しに行ったが、そこにもミリアの匂いは無かった。

どうしよう、どうしよう。考えろ!考えろ!!


どうしていいかも浮かばないので、まずは部屋の中を覗いてみようと考えた。方法は簡単に浮かんだ。船の周りには海鳥が飛び回っている。あいつになろう。まず、人型になって、窓を開け、それから鳥に変身した。


あの男の部屋はわかっている。客室の一番船首側の部屋だ。俺は他の鳥にまざってゆっくりあの男の部屋に近づき、窓の外側の手すりに降りた。


窓の中はかなり広い部屋だった。部屋の中で異彩を放っていたのは、飾り棚に並べられた陶器の人形、確かビスクドールと呼ぶんだったか、だった。

一体飾ってある隣に男は機嫌よく別のビスクドールを並べていた。


人形趣味か?と思いながら新しいビスクドールを見ていたら、胸に飾った宝石に目がいった。鮮やかなエメラルド。

ビスクドールは茶色の巻き毛、明るい緑の瞳をしている。まさか、あの人形は、ミリアなのか?!


男が視線に気づきそうな気がして、何気なく飛び立つ振りをして、手すりから離れた。

ビスクドールはミリアを含めて二体。船旅はまだ続くけど、あのままにしていていいはずはない。もしかしたら、時間が経つと、元に戻れなくなるかもしれない。


俺は部屋に戻って猫に戻ると兄妹の部屋に向かった。

前足で爪を立てないように気をつけてドアを叩く。

「あら、猫ちゃん。」

妹が顔を出して、俺を部屋に入れてくれた。


『さっき、わかったと言ったばかりで、もう頼りに来たのか?』

兄の青年が俺を見る目は冷たい。

『人形になった人間を元に戻す方法を知っていますか?』


俺を見る目が興味深いという顔になった。

「人形を人間に戻す方法?」

『ミリアは陶器の人形になってました。元に戻す方法はありますか?』

「お兄さん、人形ってどうしたの?」

「この猫がね、面白い話を持ってきたよ。君、普通に話をしてもわかるかい?」

『大丈夫です。』

「いよいよ君は面白いね。ドーラ、人形遣いがこの船に乗っていたようだ。」

「あら、中々捕まらなかったのに、本物なの?」

「ほら、ガヤの医者だよ。なんか怪しい感じの。」

「間違いないのかしら?その人形が見てみたいわ。」

「ふふ。そうだね。猫くん。君、名前は?」

『ルルーです。』

「私はオーガスタ、妹はドーラだ。それで、君はその人形を私達に見せられるか?」

『持ってこいと言うことですか?』

「そう。」

『あの男の部屋には他にも一体人形があります。二体ともですか?』

「そうだね。二体とも。その方が人形が安全だろう。」

『わかりました。』


俺はまた部屋に戻った。

鳥になって、もう一度あの男の部屋の手すりに向かう。部屋を覗いたが、男は部屋を出たようで、姿が無かった。しかし、窓には鍵がかかっている。


窓は木でできてるので、アルミサッシのような密閉性は無さそうだ。薄い紙なら通るかもしれないけど、鳥でも猫でも無理そう。

薄い紙?そうだ。紙か!

以前やった陰陽師ゲームで式神を飛ばして色々させた事がある。式神ならこの窓の隙間から潜り込めるんじゃないか?

早速、頭に式神のイメージを描く。式神はヒラヒラと宙に浮き、隙間から部屋の中に潜り込んだ。


中に入って、一度猫に戻り、前足と口を使って窓の鍵を開ける。最近ではすっかり猫に慣れて、猫でいるのが一番動きやすい。グルーミングや、爪研ぎももう習慣化していて、ちょっと自分の先行きが不安だ。


窓を開けてから、今度は人形のそばに飛び上がる。

猫では人形二体は運べない。でも、もし二体目を運ぶ前にあの男が帰ってきたら、まずいんじゃないか?


それで考えたのは、コウノトリ作戦だ。さっきの鳥や式神になった時は、首のペンダントも俺の体の一部と認識し、まとめて変身していたけど、このペンダントだけ、風呂敷に変えることもできるはずだ!

俺はディズニーのダンボに出てきたコウノトリをイメージする。よし、これだ!

風呂敷の中に人形を嘴で咥えて入れる。宝石のアクセサリーが取れないように気をつけながら、そっと入れた。


窓から出ると、人目に触れないように、海面スレスレの低い位置を、船ギリギリで飛び、兄妹の部屋にたどり着いた。窓を嘴でトントンとつつく。


兄妹はきっとコウノトリなんて見た事が無かったんだろう。俺もディズニーでしか見た事ないけどね。

目を丸くしてびっくりしている。

「その鳥は何?君の想像の産物か?」

いえ、有名なアニメの登場人物です。

「可愛い。首に下げてる布は何って言うの?普通はその布で何を運んでるの?」

二人は楽しそうに風呂敷を覗いて、人形を取り出した。



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