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6.船出

最後の一日は荷物のまとめ直しと猫が乗船できるかの確認をした。


港に行き、明日のフングル行きの船の乗船切符を買いに、俺達は売り場に向かった。


「フングル行きの切符を下さい。」

係官はミリアが小さいので、最初どこから声がしてるのかキョロキョロしていたが、直ぐに気づいて笑いかけてくれた。

「お嬢ちゃん、フングルに行きたいのかい?」

「そう。」

「お父さんやお母さんはどこに居るの?」

「居ないの。ミリアとルルーで船に乗るの。」

「ルルーって誰だい?」

ミリアは俺を指さした。今日の俺は白猫だ。

「お嬢ちゃん、船に乗るのはお金が一杯いるんだよ。」

「大丈夫。ミリアは切符買うお金持ってるから。幾らですか?」

「お嬢ちゃんと猫で金貨1枚もするんだよ。」


ミリアはポーチから金貨を取り出した。

そうか船代は金貨1枚ね。金持ち息子は船代とその後の旅費として金貨2枚をくれたのか。俺の中で金持ち息子の好感度がまた上がった。良い奴じゃないか。


『ミリア、船を降りた町に向かいが来るって言っておけ。』

『わかった。』


「はい、お金。フングルに着いたら、迎えに来てくれる事になってるの。お願いします。」

「そうか、大変だったね。よし、切符だよ。明日まで無くさないようにな。」


どうやら係官のおじさんは、ミリアの事を親を亡くして親戚に引き取られる可哀想な女の子と思ったらしい。

切符と一緒に小さな飴玉をくれた。



さて、見た目は幼いミリアの一人旅だ。ミリアのポーチは良くない人間に狙われる可能性があるので、そこに全財産を入れる訳にはいかない。


「ルルー、どうしよう。」

『そうだなぁ。俺の首に小さい飾りでもつけて、そこに入れるか?』

「あ、可愛い。そうする!」


町中をあちこち覗いたが、なかなか手頃なものがない。

だいたい、今日の俺は猫だから、あまり高い場所のものは見えないし、ミリアもちびっこだから似たようなものだ。


どうするかなと思っていたら、向かい側から金持ち息子とそのお友達が来るのが見えた。

あいつらに探してもらおうかな。

『おい、ミリア。向こうからこの間の三人組が歩いてくるだろう。わかるか?』

『うん?どこ?あ、いた。』

『そこの路地に入って、髪の色と長さを戻してこい。それから、あいつにさ、聞いてみないか?』

『え、なんて?』

『猫の首につけれて、名前とか中に入れれるものだよ。船に乗った時に、他の猫と間違われないようにしたいって相談してみろ。』

『わかった。』


ミリアは路地に入って髪色を緑に戻し、ツインテールにすると、金持ち息子に近づいて声をかけた。

「お兄ちゃん。」

「あ、サーラの妹じゃないか。今日はどうした?」

「明日の船の切符を買いに来たの。」

「そうか。お前、ちっちゃいのに、しっかりしてるな。切符は買えたのか?」

「うん。ルルーと一緒。」

「そうか。気をつけて行けよ。」

「ありがとう。ねぇ、船でルルーを他の人の猫と間違われないように、名前を書いて首につけれるものが欲しいの。お兄ちゃん、見た事ない?」

「うーん。見た事ないなぁ。それにそんな猫、他にいないと思うぞ。」


まぁね、普通は急に大きくなりませんからねぇ。


「でも、ルルーがいなくなっちゃったら、私、、、、」

友達2がふと右手の店に並ぶ商品に目を止めた。

「これ、どうかなぁ。」

手に持っているのは革紐の着いたペンダントだった。

「こうやると、開いてちょっとした薬草が入れられるんだよ。」

「ありがとう。それにします。」

友達2は店主にお金を払って、俺の首につけてくれた。良い奴だ。


「お兄ちゃん、ありがとう。」

「船旅、気をつけるんだよ。」


ミリアは笑顔でブンブンと手を振って三人組と別れた。


宿に戻る前にもう一度髪色と長さを変える。俺は宿を出る時も入る時も面倒だから窓からにした。

宿に戻って直ぐに金貨を小さくし、俺の首につけた薬草入れにしまった。

明日はいよいよこの町を離れて、旅に出る。船旅も生まれて初めての経験で、なんだか落ち着かない。


あの赤野郎からは既に三日も離されているし、サーラがどんな目に合ってるかと思うと不安でしかない。

でも俺とミリアはできる限りの事をするだけだ。


ミリアはポーチからサーラに買ってもらった髪飾りを取り出し見つめている。絶対に助けるからって思っているんだろうな。


明日の船出の時間は早い。今日は早く休まなきゃな。


『ミリア、寝るぞ。』

「うん。おやすみなさい。」


俺はミリアに抱き枕にように抱かれながら、大好きだった爺ちゃんの事、両親の事を思い出した。


爺ちゃん、俺たちを守ってくれよ。

父さん、母さん、心配してるかな?それともあちらでは俺の時間は止まっているのか?ごめんな。



翌朝早く、俺達は港に向かい、既に乗船の始まっていた船に乗り込んだ。

暫くすると、船はゆっくり桟橋から離れていく。


「いよいよだね、ルルー。お姉ちゃん取り返そうね!」

『そうだな!頑張ろうぜミリア!』




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