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25.夢とともに


「私が力添えします!」


その声に振り返ったそこにはサーラが立っていた。


「サーラ、危ない!どうしてここに来たんだ!」

「ルルー、私、あなたが助けたいの。私にも出来ることはあるわ!」

「ドーラ、どうしてここへ?」

「お兄さん、サーラさんが一緒にミリアさんを取り戻すって言うのよ。だから私もお手伝いしたくなったの。」


「私は他の人の力を強める事ができます。オーガスタ様、あなたの歌をあなたの届けたい人だけに届けることも。」

「サーラ嬢、それはありがたい。お手伝いよろしくお願いします。」



「どうしてだ!どうしてアマンダばかりが苦しんだんだ。」

オーガスタはゆっくり男に一歩近づく。


「妹さんのところに行って今度こそ守ってあげればいい。私の歌で永遠の夢を見せてあげよう。」

「永遠の・・・夢?」

「不老不死の命が尽きるまで夢を。」

「アマンダが笑っている夢か?」

「そう。」

「この聖女は・・・」


男がミリアを抱き直す。


「俺が絶対に苦しませない。大切に、俺の妹として、絶対に大切にする。笑顔を失わせる事はしないと約束する。」

「そうか。お前は俺よりも強いしな。その方が良いのかもな。」


俺は男からミリアを受け取った。


「オーガスタ、よろしく頼む。」

「任せたまえ。夢を見たまま君の命も絶ってあげよう。」

「不老不死を終える事ができるのか?」

「約束しよう。」

「ありがとう。」


サーラがオーガスタに近づき、左手をとった。オーガスタが男の為に歌う。不思議な事にその声は俺には聞こえない。歌に合わせてだろうか。ゆっくり男の体が揺れている。ゆらゆらと。そしてゆっくり体が倒れていった。



一週間後、俺達三人は鮮紅の騎士カース様のツテを頼んで旅立つ事になった。


「体に気をつけて。」

「ありがとうございました。最後に一つ聞いても良いですか?」

「なに?」

「歌人ってなんですか?」

「あぁ、知らなかった?私達の家業だよ。王の歌人と呼ばれていてね。歌の力を使って裏の仕事を色々している。」

「う、裏の仕事ですか?」

「そうだよ。目立たないように暮らしていって。この国で目立つことされると、仕事対象になるかもしれないからよろしくね。」

「は、はい。」

怖い。やっぱりオーガスタが一番怖いかも。


空を見上げると、綺麗な満月があがっている。

俺はミリア、サーラと手を繋いで船に向かった。あの船に乗れば、新しい土地での生活が始まる。

何か商売を始めるか、刀で領主に仕えてみよう。俺が働いて二人を幸せにするんだから。


そして、俺達は玄関のランプの光の中に足を踏み入れた。



気がついた時には目の前に両親の顔があった。


「翔!」

「翔!気がついたか?無事でよかった。」

「一緒にいた二人は?」

「え?あ、あぁ、隣の部屋に。」


良かった。俺だけじゃなくて良かった。



数日後、落ち着いて色々話を聞いた。俺が突然居なくなって、1ヶ月経っていたらしい。

心配して海外から帰ってきた両親は警察にも相談したらしいけど、何も分からなかったらしい。

それが突然玄関に少女二人を連れて倒れていて凄く驚いたそうだ。不思議な事にサーラ達の髪は薄茶色に変わっていた。


俺は二人にここが以前とは違う世界で俺の居た元の世界である事を説明し、この世界の事を教えた。二人はテレビや、自動車、スマホ等こちらの世界の物に凄く驚いていたけど、少しづつ慣れてゆき、日本語も話せるようになった。

二人には勿論戸籍も無い。でも、父さんの兄で爺ちゃんの道場を継いでいるおじさんがあちこち手を回して、二人を養女にしてくれた。条件は俺が剣道を続ける事と道場を継ぐこと。おじさん夫婦には子どもが居ないから、道場を俺に継いで欲しいと言われた。

俺は一も二もなくその条件を受け入れ、また剣道を始めた。


俺は剣道を頑張り、復帰以降どの試合でも負け知らずだ。おかげで師範代を勤める道場は内弟子を始め、とても賑わっている。


数年後、俺は沙綾と名前を変えたサーラと結婚した。

この世界には聖女も居ない。サーラはサーラの人生を歩むことができると嬉しそうに俺に微笑んだ。


美衣と名前を変えたミリアは今では俺の義理の妹だ。もうすぐ大学も卒業し、どうやら付き合っていた5才年上の彼と結構するらしい。聖女の力は治癒の力が少しだけ残ったみたいで、たまに、こっそり絆創膏が無い時に使っているらしい。


ミリアの彼が少しあの男に似ている気がするのは俺の気のせいかもしれない。まぁ、ミリアが気に入っている男だ。大切にしてくれるだろう。


サーラの膝枕で寝ていると、たまに猫になってしまうのは俺達三人だけの秘密だ。







お読み頂きありがとうございました。

ノルウェージャンフォレストキャットの白猫はとても思い入れの深い猫なので主役にさせて頂きました。

もっと猫で活躍させてあげたかったのに筆力がなくて残念です。

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