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19.先代守護者

「それで、次は?」

「教会が狙う理由。」

「回復魔法は庶民に受けがいい。それに、寿命を延ばしたい年寄りはどこにでも居るものだろう?」

「まぁそうか。」

「それに一斉洗脳出来れば、信者は増やし放題だ。」

「それってヤバくない?」

「まあね。だから聖女排斥派も存在する。」

「じゃあ、ミリアの封印はそのままの方がいいかな。」

「私はそう思う。封印をした人間が誰か分からないけど、ミリア嬢に対する敵意は感じないな。」

「だよね。でもサーラは聖女になって欲しそうだよな。ミリアの為にも何とか説得したいな。」

「その方がいい。」

「俺、話してみるよ。ありがとう。」


俺はミリア達のいる部屋に向かった。

部屋を出た俺の耳に二人の声が聞こえた。


「お兄さん、封印した守護者って」

「お前もそう思うか?」

「ええ、先代の守護者。寿命を延ばして貰ったんだろうけど、そんなに延ばせるものかしら?」

「聖女の力は奇跡の力だからね。しかし、厄介だな。そんな特殊能力者が相手とはね。他にどんな力を持っているのか。本当に記録が失われたのは痛いな。もしかしたらそれもその守護者の仕業かもしれない。」

「そうね。先代は100年前だったかしら?時間はたっぷりあるわ。」


先代?そんな前の人がまだ生きてるのか?俺ならそんなに長生きしたくないけど。


部屋に入るとサーラはもう眠っていた。ミリアが口の前に人差し指を立てて、シーっと言ってきた。しゃがんで床を軽くトントンと叩くので、猫に戻って欲しいんだろうと思って猫に戻る。


「やっぱりルルーはこっちの方がいい。」

『そうだな。なぁミリア、どこか遠い所に行こうか?』

「うん。」


ふと、階下が慌ただしくなったのに気がついた。

耳を階下に向ける。


「奥の院の薔薇が?全て焼かれたのか?」

奥の院の薔薇ってなんだろう。気になる。

オーガスタに念話を飛ばしてみる。離れてるけど、伝わるかな?


『奥の院の薔薇って何?』

『ルルー、離れていても話ができるんだな。奥の院の薔薇はこの世に聖女が現れた時に咲くと言われる薔薇だよ。』

『じゃあ、10年前に咲いたのか?』

『いや、三年前からだ。』

『三年?サーラがミリアと会った時?』

『そういう事なんだろうな。』

『その薔薇が焼かれたってどういう事?』

『焼かれただけじゃない。焼かれた上に掘り起こされて、今後二度と咲かないだろう。』

『それって、どういう事?』

『今後、聖女の誕生を知る事は出来ないという事だ。』


それも守護者の仕業か?そいつは聖女の存在をよっぽど隠したいんだな。まぁ俺もそれには同意できる。


「ううーん。」


あ、サーラが目を覚ました。


「お姉ちゃん。」

「ミリア。」

「気分は?大丈夫?お姉ちゃん。」

「もう大丈夫よ。ありがとう。」


サーラは全ての記憶を持っていると言ってたな。先代の事、聞いてみるか。


『サーラ、聞こえるか?』

「え?ルルーが喋ってるの?」

「そうよ。お姉ちゃん、ルルーは猫のままでもお話できるの。」

サーラが目をぱちぱちしている。


『先代の守護者ってどんな奴?』

「知らない。先代では、私凄く早く死んでしまって、聖女に出会った日に死んでしまったの。」

『そんなに早く?』

「そんなに早く死ぬのは初めてで、私も驚いた。」

『病死?』

「違うわ。誰かに殺されたの。凄く痛かったのは覚えてる。」

影が居なくなった聖女はどうしたんだろう。


『なぁ、サーラ、聖女の事は忘れてどこかでゆっくり三人で暮らそう。』

「忘れて?駄目よ。聖女には役目があるわ!役目を果たさなきゃ。」

『役目?』

「そうよ。人を救って、この世界を良い物にできるのは聖女だけなの。みんなを幸せにできるのは聖女だけなのよ!」

『じゃあ、聖女の幸せは、誰がくれるの?』

「聖女の幸せ?」

『そう。』

「そ、それは・・・。」

『サーラ、人の為って頑張っても、駄目だ。俺は俺を育ててくれた爺ちゃんを喜ばせたくて剣道を頑張った。才能はあったかもしれないけど、本当に好きだったのかよく分からない。だから爺ちゃんが死んで、俺は剣道を続けられなくなった。剣道はきっと俺がしたい事だった訳じゃないんだと思う。』

「ルルー。」

『今、ミリアとサーラを守りたいのは自分がしたい事だ。だからいくらでも頑張れる。絶対負けないと思える。サーラはどうなんだ?何も知らないミリアを聖女にする事がサーラがしたい事なのか?』

「私、私は、・・・」

『過去に引きずられず、サーラがしたい事を考えて欲しい。』


サーラは黙って俯いた。今までの記憶がずっとあるサーラにとって、聖女の影以外の役割は考えもつかないんだろう。でも、ミリアを見て考えて欲しい。俺はずっと二人に笑っていて欲しい。あの串焼きを二人で分け合いながら食べていた時のように。



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