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17.聖女の秘密

ここはどこだろう?見た事の無い建物だった。


廊下を歩き始めたら、召使が案内してくれたので、その後について応接間に入った。


応接間では、オーガスタドーラが並んで座っていて、その正面にサーラが座っていた。あの男の人は居なかった。


そういえば、あの男の人にまだお礼を言ってなかった。名前も聞いてないなと思い出した。今度会うことがあればきちんとお礼を言いたい。


「ルルー、こちらへ。」


サーラの隣に腰をおろしたが、彼女が酷く緊張しているのが気になった。俺がいない間に何があったんだろう?


「さぁ、サーラ嬢、君はルルーにきちんと説明をしなくてはいけないよ。」

隣に座るサーラが息を飲むのが聞こえる。

「そうですね。」


「ルルー、私、あなたの事【守護者】って言ったでしよ。その事の説明をさせて欲しいの。その前にひとつ聞かせて。あなたはいつからそういう力を持っていたの?」

「サーラが攫われた前の日。サーラが攫われた時、俺も斬られて死にかけて、傷は直せたけど、その時にはもうサーラは居なかった。俺とミリアは君を取り戻そうとして、その為にミリアを助けて旅をする為に力が必要だった。だから、俺は力を使えるようになった。」

「そうだったのね。一緒にいる時にはあなたが守護者とは思ってなかったから。でもルルーが守護者で良かった。」

「サーラ。」


微かに微笑むサーラの笑顔を見てるとなんだかもっと笑って欲しくなる。


「ルルーは聖女について知っている?」

「いや、何も知らない。」

「聖女が産まれる前には聖女の影が産まれるの。それが私。聖女の影は生まれた時から、過去の聖女と過ごした人生の記憶を持っていて、聖女を探し、守る為の存在。そして聖女の為に守護者を聖女の元に招く役割を持っているの。聖女は弱い存在なので、守護者は必要なのよ。」


「それで、俺が守護者なのか?」

「そう思う。私は攫われた時、聖女に守護者を用意できなかった自分の不甲斐なさを呪ったけど、良かった。あなたが居てくれて。」

「守護者はその名の通り、聖女を守る者なのか?」

「聖女が覚醒する迄は影と守護者が聖女を守るの。でも影は過去にも何度か覚醒前に亡くなっていて、最後まで守ってくれるのは守護者だけになっていた。今回も、あなたが助けてくれなかったら、ミリアの覚醒前に私は死んでいたわ。」


なんだろう。サーラは自分は死んでも仕方ないみたいに言う。どうして?過去の記憶を持つサーラは前世では、若くして死んでしまったのだろうか?サーラを守ってくれる人はいなかったのか?守護者はサーラを守らなかったんだろうか?


「それで、聖女って何?」

「特殊な力を持つ者。」

「特殊な力?どんな?」

途端にサーラが言いにくそうな口を閉ざす。


「ルルー、君ほど変わった力では無いよ。傷を癒す力、そして大勢を一斉に洗脳する力だ。」

サーラに代わってオーガスタが教えてくれた。一斉に洗脳って、やばくないか?

でも、その説明に引っかかる事がある。


「傷を癒す?回復魔法みたいな?」

「それよりも強い。死んだばかりなら、死者も生き返らせる力だ。」

「でも、ミリアは回復魔法を使えない。話から察するに、ミリアが聖女なんだろう?ミリア自身が回復魔法を使えないと言っていた。間違いない。ミリアが使える魔法は物を小さくする魔法ぐらいだ。」


三人が驚いた。一番驚いたのはサーラで驚きのあまり、手が震えている。


「そんなはずは無いわ!確かに回復魔法を使った所を見た事はないけど、使い方が分からないだけで、きっと使えるはずよ!!」


しかし、旅の間もミリアが回復魔法を使った事は無い。怪我を負った時は薬を使っていた。まぁ、専門家が教えないと使えない魔法なのかもしれないけど。


俺はふと思って聞いてみた。

「聖女の髪の色は何色?」

「私より少し薄めの緑色です。」

「やっぱりそこから違う。ミリアはもっと白っぽい緑だよ。だんだん白っぽくなったって言っていた。」

「そんな!聖女の影の私が間違えるはずは無いです!」


「明日、ミリア嬢に本来の髪色を見せてもらったらどうかな?実物を見た方がいいと思う。もし、そんなに白っぽかったら確かに聖女ではないのかもしれないね。」


「そんな!私が聖女を間違えたと?そんな事は一度も無かったのに・・・。」

「ミリア嬢に家族や両親は?」

「いません。私達は姉妹ではありません。3年前、ある町に行った時、孤児のミリアに出会いました。私はミリアの髪色と、ミリアの持つ人ならざる気で、聖女と確信し、引き取り手の無かったミリアを引き取って、一緒に暮らす事にしたんです。」

「ルルーはその頃から?」

「ミリアと暮らし始めた頃、ミリアが拾いました。」

「もし、ミリア嬢が聖女でなければ、聖女はどこにいるんだろうね?ミリア嬢は何者なんだろう?」

「分かりません。」


項垂れるサーラが頼りなげで今にも消えてしまいそうで、俺は思わず抱きしめてしまった。自分でも自分の行動に驚いてる。

でも、抱きしめたサーラも驚いて俺を見上げる。サーラの顔を見るのは恥ずかしくて、俺はサーラの頭を左手でボンボンし、妹にするようにあやしている振りをした。


「ありがとう。ルルー。」

「うん。」


オーガスタはそんな俺達を見ながら、何やら楽しそうだ。


「全ては明日だね。」


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