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16.サーラの奪還

男について地下道を進む。地下道は複雑に道が繋がっていて、俺一人ではとても歩けそうにない。オーガスタさんにこの人を紹介して貰えて良かった。


「この上だ。」


彼が上を見上げて階段を指さす。

一体、何軒の館への秘密通路が作ってあるんだろう?この人が一人で作ったわけじゃないよな?


「この先には敵がいますか?武器は必要でしょうか?」

「あった方がいい。持っているのか?」

「出します。」

「君は強いそうだ。彼がそう言っていた。」

「そうですか。」


俺は小太刀を用意した。長い刀は邪魔になる。

「変わった武器だな。どこから出した?まあいい。行くぞ。閉じ込められているとすれば、地下牢だろう。こちらだ。」


地下道から出て屋敷の地下に入る。長い廊下の両方にいくつもの部屋が並んでいる。同じ部屋ばかりで見分けがつかない。


男はその中の一部屋を選んで鍵を開け、俺を招き入れる。


俺は鍵を持っていることにも驚いた。

この人に入れない場所は無いのだろう。でも、それって、どうなの?セキュリティ低すぎない?

この世界ってそういう所なのかなぁ?


そこは部屋ではなく、両側に牢屋のある所だった。


「探しなさい。気をつけて。」


俺と彼は両側の牢屋に沿って前に進む。牢屋を監視する男が二人。

俺は彼に少し頷き、男達に駆け寄り小太刀を振るう。二人の首筋に刀を打ち込み、気絶させた。


「お見事。」


彼は男達の腰から鍵束を外し、牢屋の鍵を開ける。

あれ?ここの鍵は持っていないの?


音を立てないように牢屋の中に体を滑り込ませる。俺は牢屋の中を見て息を飲んだ。

牢屋の中には、まるでボロ雑巾のように投げ捨てられた人がいた。

まさか、まさか、まさか!サーラなのか?!


慌てて駆け出して、抱き起こす。サーラはまだ息をしていたけど、今にも息が止まりそうだった。身体中傷だらけだ。

死なせない!俺が絶対死なせない!!


「俺は猫になって、暫く動けなくなります。猫を連れて逃げて頂けませんか?」

「どういう・・・」

「お願いします。」


俺はサーラを抱いたまま、サーラごと猫に変わる。ミリアを連れて逃げた時のように、サーラを自分と一体化させた。

彼の目にはいきなりサーラが消えたように見えただろう。


彼は約束通り、動かなくなった俺を抱き上げて運んでくれているようだ。体がゆらゆら揺れている。


サーラ自分の体に取り込んだ途端、全身に痛みが走り、悲鳴をあげそうになった。痛い、痛い!

気が遠くなりそうな痛み。サーラの傷の重さがわかる。痛かったよな、サーラ。俺が治してやるから。

俺の中のサーラの傷を少しづつ治す。自分の体を治すように。ひとつになっていても、サーラを感じる。

そして血を失ったサーラの体に自分の血を流す。ゆっくりと。ゆっくりと。サーラの体が温かみを取り戻していく。冷えきった指先に温もりが戻ってきた。

次に失われた体力も少しづつ俺の体から移していく。


サーラ、サーラ、元気になってくれ。ミリアが君に会いたがっている。俺も君に会いたい。



遠くで人の声がする。

「そうか、言うまでないが、君の見た事は見なかった事に。」

「承知しています。これは本当に何なのですか?」

「分からない。しかし悪いものでは無い。可愛い子だよ。」


俺はうっすらと目を開けた。オーガスタと男が居た。


「ルルー気がついたか?」


震える足に力を入れて、体を起こす。そして、自分の体からサーラを分離させた。もう大丈夫なはずだから。


「サーラ嬢か?」

「にゃぁ。」


声を出すのも億劫で、やっとの思いで一声返事をした。凄く弱々しく聞こえる。

隣に横たわるサーラを見る。ちゃんと息をしている。ちゃんと頬に赤みも戻った。もう大丈夫。サーラ、おかえり。

そして俺はまた意識を失った。



俺は眩しくて目が覚めた。体を起こしてググッと伸びをする。白い毛並みは誰かにずっとブラッシングして貰っていたようにサラサラしていた。

周りを見回そうとしたら、突然体をぎゅっと抱きしめられた。

「ルルー、目が覚めた!」


ミリア。そして、その横にサーラ。やっと二人並んでいるのを見ることができた。良かった。


「ルルー、助けてくれてありがとう。あなたのおかげよ。」

サーラも俺を抱きしめてくれる。うん。幸せだ。


「気がついたか?あれから二日も眠っていたんだよ。食べれるようなら食事を取りなさい。人に変われるか?その方が栄養が取りやすい。」

「大丈夫です。」


俺は猫から人に変わった。やっぱり人に変わる時は前の世界の姿が一番簡単だ。

ベッドから体を起こそうとするが、目が回ってそのままベッドに倒れ込んでしまった。

目の端に驚くサーラの顔が見えた。そういえば、まだ姿を変えられる事を話していなかったな。


「無理をしない方がいい。食事はここに運ぶから。」


直ぐにドーラが温かい食事を運んで来て食べさせようとしてくれた。

「私が。」

サーラはドーラからスプーンを受け取り、掬ったお粥を冷まして、俺に食べさせてくれた。

美味しい。一口食べたら、酷くお腹が空いているのがわかった。お腹が鳴ってしまい、恥ずかしい。


「ルルー、沢山食べてね。あなたがいてくれて良かった。全てあなたのおかげだわ。あなたがミリアの守護者だったのね。」

「守護者?」

「食べて。食べ終わったら話すわ。」


俺は食べ終わったらサーラと話をしようと思っていたのに、眠くなってしまい、いつの間にか眠ってしまった。


目が開いたらミリアが隣で眠っていた。俺を看病していて眠ってしまったんだろう。

起こさないようにベッドを降りると、もう足もふらつかず、体調が戻っていた。俺は結構頑丈なんだなとちょっと嬉しい。


サーラはどこだろう?俺はサーラを探して部屋を出た。


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