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11.また落し物を拾いました

道を歩きながら、ミリアを見上げる。フングルに着いてからは栗色の肩より少し長いストレートヘアーだ。


サーラの髪は明るい若草色だった。ミリアはそれよりも濃いエメラルドグリーンのような色。


『ミリア、お前の髪色って明るい緑色だったよな。』

『違うよぉ。』

『え?』

『もっと薄い色で、お姉ちゃんよりもっと白っぽい緑。髪の色を変え始めた頃はもう少し濃い色だったのに、旅に出てから、どんどん色が薄くなっちやったんだぁ。』

『なんで?日焼けか?』

『うーん。違うと思う。』


薄くて白っぽい緑、アイスグリーンか?そんな髪色、見た事がない。サーラの髪色も綺麗だったけど、緑色系の髪色は他にも見かけた事がある。もう少し濃い色が多いので、若草色の髪色は珍しかったと思う。

だけど、アイスグリーン。珍しいどころじゃないんじゃないか?


『ミリアねぇ、お姉ちゃんと同じ色にしたかったんだけど、お姉ちゃんが駄目って。もっと濃い色にしなさいって言うから、濃い緑色にしたの。』

『そうか。でもその栗色も似合ってるぞ。』

『そうかな。似合う?へへっ。』


やっぱりミリアは可愛いなぁ。笑顔は天使だ。


早くミリアをサーラに合わせてあげたい!あの家に戻って暮らしたい。本当にあの家での暮らしは幸せだった。ただ、今ではもう夢のように遠い感じがする。


『ルルー。綺麗なもの見つけたよ。』

『こら、ミリア、なんでも拾うんじゃない!』


そう、本当に拾うのやめてね、ミリア。船で痛い目見たばっかりだよね。子どもって視線が低いから、地面が良く見えるんだなって思う。もちろん、猫の俺の方が低いけど、俺は落ちてるものに手を伸ばしません!

ろくな事がない気がするからさ!


『大丈夫だよ。ねぇ見てみて!』


その自信はどこから来るんだ?堪忍してくれよぉ。


ミリアが拾ったのは、花びらを詰め込んだ小瓶と、薄桃色の封筒だった。

封筒はレンガ色の蝋で閉じられていて、そこにバラの紋章が押されていた。綺麗だし、珍しいんじゃないかな?

それともこちらではよくある紋章なのかな?


『ねぇルルー、次の町で郵便屋さんに届けてあげようよ。きっと探してると思う。』

うーん。それぐらいなら、面倒に巻き込まれる事はなさそうだな。

『いいよ。届けよう。』


数日歩けば、大きなガヤの町に着く。そこなら郵便屋もあるので、ミリアの言う通り届ければいい。バラの封蝋なんてきっとそんなに多くはない。彼らなら差出人に心当たりがあるだろう。


俺たちは、途中の小さな村で食べ物を手に入れ、宿があれば宿に泊まった。村につかない日は洞窟を探して、野宿した。

金も少しづつ減ってきた。また何処かで稼がないと足りなくなりそうだ。


ミリアに合わせてゆっくり歩きながら、空を見あげた。今日も綺麗な青空だ。考えてみたら、この世界に来てから雨を見た事がない。


『ミリア、今日も晴れてて良かったな。』

『ルルー、今は乾季だもの、季節は雨が降るわけないじゃない。後、ふた月もしたら、また雨期になっちゃうよぉ。それ迄に家に帰りたいね。』

『うん。そうだな。』


ふぅん、そうなんだ。だから毎日晴れてるんだな。そうか、後二つ月か、それまでにあの家に戻れるといいな。

俺はその頃、まだこの体にいるんだろうか?


ブロアの町でも、船の上でも、凄く気持ちが落ち着かなかったから、こうやってのんびり歩いていると、やっと色々考えることができるようになった。

この世界の事、俺の力の事。


ラノベでよくあるみたいには、この世界には魔物があちこちにいるわけでは無いようだった。もちろん、盗賊などはいるので、旅をする人達は、金のある人は護衛を雇って旅をするし、そんな金の無い人は、身を守る護符を付けているそうだ。この間の村で会った旅の人が教えてくれた。


身を守る護符は1つ付けていると一度だけ命を守ってくれるそうだ。だから一回だけなら盗賊に斬られても命が助かるらしい。それで死んだふりをして盗賊が居なくなるのを待つんだそうだ。

その旅の人は、ミリアが護符も持たずに一人で旅をしている事に驚いていた。年端のいかない子どもが旅をする場合には、護符を沢山持ち歩くものらしい。


護符は大きな町なら必ず売っているし、小さな町や村にも流れの商人が売りに来る事があるそうだ。

俺も大きい町に着いたら、ミリアに買ってやらなきゃいけないと思った。


俺には必要ない。俺の力は正しくは変身じゃない。体を全て自在に操る力だ。だから変身もできたし、赤野郎に斬られた時の傷も直せた。

試してないけど、多分前足を切り落とされてもまた元通りにする事ができると思う。これで魔力も持ってたら、ゲームのラスボスにもなれそうだ。


しかし、魔法使いをイメージして変身した時には魔法は使えなかった。この世界に来て俺が見た魔法はミリアの髪色を変える魔法、物を小さくする魔法、そしてあの兄妹の魔法だけ。どれも真似できる感じがしない。

ゲームでよくある火魔法や風魔法を使ってくれたら覚えて真似できるかもしれないけど、まだ見た事がないし、この世界にそんな魔法があるかも分からない。


猫以外の生き物ではその体を維持するのに集中が必要だから、猫のままで何かミリアを守る方法を考えなくてはいけない。

夜、ミリアが眠っている時に、色々工夫はしているけど、難しい。

毛をナイフにして飛ばす事も考えたけど、地面に落ちた時点でもうそのナイフは操ることも出来ずに猫の毛に戻ってしまった。

化け猫もどきに爪も牙を延ばしてみたが、どの程度の攻撃力になるか分からない。

相手の目を眩ませたり、逃げ出したりするには便利な力だけど、いざと言う時には刀を持って戦う必要があるかもしれない。できる、できないで言えば、俺には倒す力があると思う。でも自分がその時、人を斬ることができるかと言えば、自信が無い。きっと怖い。


数日旅して、俺達はガヤの町に着いた。



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