10.赤野郎を追って
俺とミリアは早速、フングルの街を歩き回った。
誰かに下船から監視されている気がしたので、まず、追っ手を撒こう。
ミリアに古着屋で服を買う。そして路地から横道に入り、服を着替えさせ、着ていた服は小さくしてポーチにしまった。更に今と違う髪色と髪型に変えさせ、俺はミリアより少し年上の少年に変える。
港を降りて見かけた少年を参考に服装、髪型、顔を決めた。
その後、二人で元の道に戻り、町を出る人の流れに乗る。
追跡者はわかった。目立たない二人組の男。まだ俺達が入っていった路地を監視している。
本当はこの町でも情報を集めたかったけど、諦めて次の町に向かおう。
フングルを出て東に向かう。俺は灰色の猫に変わり、ミリアと街道を歩いている。
『ミリア、疲れないか?』
「大丈夫だよ。ルルー。」
次の村に入ったら少し宿で休憩させてやりたい。
ミリアは何も言わないけど、足も痛そうに見える。俺がロバにでも変わって運んでやりたいけど、緊張が切れると変身が解けるので、長くはできない。
「そんなに心配しないで大丈夫。ルルーは心配し過ぎだよ。私がお姉ちゃんを取り戻したいの!だから頑張る!」
『わかった。辛くなったら言えよ。』
「うん。」
ミリアはニコッと笑って返事をする。最初から、俺はこの笑顔に弱かったんだよな。
次の村は以外に近くて、夕方には村に着いた。
この世界ではミリアのような小さい子の旅も余り不思議ではないのだろうか?特に何も言わず、泊めてくれた。
最初のブロアの町では俺が人になって二人で泊まったけど、ミリアと猫の方が宿代は安くて済む。
旅費はどれぐらいかかるか分からないから、できるだけ節約したい。
その日は早めに寝床に入った。
「ルルー、一緒にいてくれてありがとう。」
『照れるじゃないか。もう、早くおやすみ。』
本当に照れる。俺も寝よう。
翌朝、食堂に降りていくと、結構な人数の客がいて驚いた。ミリアがなんとか席を見つけて、座ると直ぐに朝食が運ばれてくる。焼きたての丸パンと野菜のスープ。
ミリアはパンをちぎって俺にもおすそ分けしてくれた。クルミに似た木の実が香ばしい、少し塩気のあるパンで美味しくて、全粒粉で焼いたパンに似てる。
ミリアが隣に座る旅人に声をかけた。
「このお宿、凄い人気なんですね。」
「お嬢ちゃんは一人旅かい?」
ミリアはパンをこくりと頷く。
「はい。」
「この町はフングルに近いけど、物の値段が安くてね。人気が有るんだよ。それに今年は聖女様が現れるって噂があってね、ダルラファ教徒の巡礼者が増えてるみたいだよ。」
「聖女様?」
「そうさ。ダルラファ教徒が言うには、全てを癒し導く方だそうだ。教会はずっと聖女様を探してたんだが、中々見つからなくて、やっと先日、鮮紅の騎士カース様が聖女様に出会われて、お連れしたそうだよ。」
カース様ね。何が騎士だよ!力づくで攫っておいて。
ミリアも怒って何か言いたそうだけど、我慢してる。偉いぞ。
「どこに行けば、聖女様にお会いできるの?」
「クランブルの街だな。でも誰でもが会えるわけじゃない。聖女様はいつもは聖堂の奥深くにいらっしゃって、特別の場合しか姿を現されないそうだよ。」
「そうなの。私もお会いしてお願い事をしたかったなぁ。クランブル迄は遠いの?」
「大人の足で十日位だ。嬢ちゃんみたいな小さい子にはちょっと無理だよ。」
「そうかぁ。おじさん、色々教えてくれてありがとう。」
「どこまで行くのか知らないが、気をつけて行くんだよ。」
おじさんはミリアの頭をくしゃくしゃとなぜて、飴玉をひとつ渡して宿を出ていった。
『ルルー、私頑張ったよね!色々お話聞けたよね!』
『あぁ、凄かった。おかげで色々わかったな。目指すはクランブルだ。』
『うん。頑張ろうね!』
【聖女】
赤野郎が見つけたって言うのは絶対サーラだ!
クランブルに行けば、サーラに会うことができそうだ。
後、10日。




