表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
罪と影  作者: 月影 洋
1/1

『ハジマリのキオク』



※当作品には、過激な表現、また残酷な表現が含まれます。ご注意ください   







東條海斗とうじょうみなとの記憶は、殺風景で何も無い部屋から始まる。

拘束具でベッドに縛り付けられ、カメラで四六時中監視され、恐怖に震え、何度も、何度も何度も母親を呼んだ。しかし、いつも現れるのは白い服を纏った男と女だった。(後に、看護師と医師だと知る)

喉が潰れる程叫び、拘束具を引き千切ろうと暴れたら薬で眠らされる……そんな日々をもう何週間も過ごしていた。


自由も人間としての尊厳も無い世界……真っ白い部屋から見える、鉄格子越しの蒼空そらを見る。

それだけが、唯一の自由だった……………。



しかし、その後数ヶ月間の記憶が海斗には無い。何度試みても思い出せない…いや、抜け落ちている、という方が正しいかもしれない。思い出す事を、まるで拒否するかの様に、自身の記憶を探ろうとする度に、酷い頭痛と耳鳴りがした。もう、自分にはこの記憶を取り戻す術は無いのだ……いつしか、そう言い聞かせ、思い出す事も諦めていた。


海斗は12歳となり、遠い母方の親戚の家に預けられる事となった。外の世界に出て、初めて自分の居た場所が病院…それも、精神病院だと知った。自分が此処に入れられた理由も、誰が入れたのかも解らないまま、海斗は簡単な挨拶だけ済まし、病棟の外に出た。

去り際に振り返り、外から見える鉄格子を見つめた。

理由は解らない…けど、そうしたかったから、かもしれない。纏まらない考えのまま、病院長から渡された簡易地図を見ながら海斗は歩き出した。



待ち合わせ場所の駅に着くと、恐らく親戚の者であろう女性と男性が車から降り、手を上げ此方だと呼びかけて来た。女性は30代半ば、男性は40代前半といった風貌だった。

「宜しくお願いします。」と、お辞儀をした後、促されるままに車に乗り込むと「海斗君と、同い年くらいの子が家に居るんだけど、きっと仲良くなれると思うわ。」と、親戚の女性が話しかけて来た。

そうなれれば良いが……と、ぼんやり窓の外を眺めた。その後、親戚の女性と男性に何か言われた気がするが、まるでちぎれ雲の様に言葉が浮かび頭によく入らなかった。





時は流れに流れ15年後………


海斗は邂逅する事となる、自身の過去と記憶―――

そして、認め難い真実に……………。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ