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ハニーローズ - 君想 -   作者: 悠月 星花
セバスチャンの場合
6/27

カツアゲされそうでした……

「おにぃーさん、何してるの?」


そこには、つばの大きな麦わら帽子をかぶったストロベリーピンクのふわっと髪の女の子が立っていた。


「ん?嬢ちゃんなんだ? 」

「女性に嬢ちゃんは失礼じゃない?

 そこの人、私の彼氏なの。


絡んできた強そうな男を見上げてその女の子は、にこやかに笑っている。


「こりゃ、上玉じゃねぇーか。

 こんな品素な男やめて、オレと遊ぼうじゃないか?」


5人いた男たちの下卑た笑いを軽く聞き流して、僕のとなりにやってきたのは、トワイス国侯爵家、アンナリーゼ嬢だった。

服装は、町娘が着ていそうなノースリーブのワンピースを着ているので、最初誰だかわからなかった。


「セバスチャン、大丈夫?変なことされてない?」


男たちに聞こえないくらいの声でこちらの状況を聞いてくる。


「特に何も。これから、カツアゲされるところかと……

 それより、アンナリーゼ様は……」

「アンナよ。街中で本名は名乗っちゃダメ」

「あ……アンナ様は、すぐに逃げてください!」

「アンナだって。様はつけちゃダメ。セバスは、んー走れる?」

「いや、そうじゃなくて……」

「セバスも逃げれるなら一緒に逃げるし、ダメなら、倒してしまうから……

 どうかな?」

「……無理です。逃げられそうもありません。

 でも、お金で済むなら……アンナ様は……」

「もう……アンナですよ……」


ごにょごにょしている私達に男たちは、イラついているようだ。


「逃げる算段はついたかな?」

「まぁ、こんな上玉の嬢ちゃん、にがしゃしないけどなぁー」


男たちは、ニタニタとヤラシイ笑いを向けてくる。


「あの……私たち逃げないとダメ?

 私の彼氏、ちょーっと病弱で逃げきれないのよね……」

「それはそれは……さぞ、夜の方も……」

「まだまだ、純愛ですから。手すら握ったこともないわ!」


アンナリーゼは、リーダー格の男に言いきった。

するとさらにゲスの笑みを男たちがする。


「この人たちの顔見てるのももう嫌だし、

 じゃあ、ちゃちゃっと、やっつけちゃいましょう!」

「嬢ちゃん、彼氏の前で可愛がってやるぜ!」


アンナリーゼを掴みかかろうとする男の手を僕は見ているしかなかった……


なのに、だ!

アンナリーゼは、あっさり、リーダー格の男を昏倒してしまう。


「ち、な、み、に! アンナって名前聞いたことある?」


残っている他の4人にアンナリーゼは話しかけると、青くなっていく。

そして、膝を折り平伏しはじめた。


「アンナ様とは露知らず、大変ご無礼を……」

「「「申し訳ございません……」」」

「ん。わかればいいのよ。今回は見逃してあげるけど、

 次見つけたらどうなるかわかってる?」

「は……はい……もちろんです。

 今後、このようなことがなきよう、努めますので、どうか今回は……」

「わかった。じゃあ、セバスは連れて行ってもいいかしら?」

「もちろんでございます!セバス様、先ほどは大変失礼いたしました」


「今後はこのようなことはないよう重々、仲間にも伝えさせますので……」

「あ…あぁ、いや…その…」


僕は、混乱していた。

突然現れたアンナリーゼが、屈強そうなリーダーを倒し他の4人を平伏させているのだ。

何がどうなっているのかわからない。


「セバス、こっちに」


そう言われたのでアンナリーゼについて大通りに出る。

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