アンナからの指令Ⅱ
アンナからの指令の続きです。
王宮で、殿下とヘンリーにアンナからの贈り物を渡すところ。
あとは……メアリーだけど……
「殿下、こちらアンナリーゼから届きました。
シルキー様にぜひ使っていただきたいと……」
「アンナからシルキーに?
それは、喜ぶ!
最近、ふさぎ気味だったのだ……」
「喜んでもらえると嬉しいです。
ひと際大きいんで……」
僕は殿下に押し付けるようにとても大きな袋を渡す。
エリーに渡したものの3倍はあろうものである。
「あと、これ……アンナリーゼからの手紙ですので、
殿下とシルキー様のお二人分ですよ!」
ありがとうと殿下は、嬉しそうに微笑んでいる。
その様子を見ていると、遠方の恋人からの手紙を待っているかのようだった。
「殿下って、アンナリーゼのこと……」
「サシャ、それ以上は……」
僕の肩に手を置き、話を止めたのは、同じく殿下に付き従っているヘンリーだった。
今は、僕は、ヘンリーの下で殿下の秘書官をしている。
「ハリーいいんだ。
サシャは、アンナの兄だから、言っておくよ。
俺は、アンナのことが好きだった。
アンナも知っているし、シルキーも知っている。
そこにいるハリーもだから別に驚くことじゃないだろ?」
「殿下!」
僕は、思わず笑ってしまう。
アンナが去ったトワイスには、アンナに恋焦がれたものがそろっているのかと……
殿下にヘンリー、シルキーにエリー、そして僕。
まぁ、僕は、兄としてアンナに振り回されてただけで、恋焦がれていたわけでは決してないんだけど……
でも、ずっとアンナがいない寂しさは胸の奥に燻っている。
エリーがいようが、クリスやフランがいようが、アンナの存在以上に、僕の心の奥を埋める存在はいない。
「僕、思うんですけど……
きっと、僕がアンナと兄妹じゃなかったら、何を差し置いても
アンナと一緒にいると思います。
アンナを尊重してくれたお二人には、感謝しかありません。
ありがとうございます!」
「サシャ……
そなたもアンナに恋を?」
「していませんよ?
ただ、たまに思うのです。
もし、アンナが妹じゃなければって……」
「ハリー、さらに来世は強力なライバルが現れたぞ!」
「来世って……」
「そういえば、ジョージア様が一目惚れしたきっかけって、サシャだよね?
あのとき、呼び止めなければ……
アンバーになんていかなかったんじゃないの?」
ヘンリーは、確かにジョージアを呼び止めたときに一緒にいた。
ジョージアもあのとき、一目惚れをしたって言っていたな。
うちの妹、可愛いからしかたないよね……
入学式の前の日のことを思い出す。
「無駄ですよ。
アンナは、決めたら最後。
揺らぐことはあっても、覆すことはないですから……
僕も近くにいてほしいんですよ!
これでも我慢しているんですから、殿下もヘンリー様も我慢してください!」
僕がいうと、殿下もヘンリーも笑い始める。
「それもそうか……
あのじゃじゃ馬を止められるのは、ジョージアくらいだろう」
「そうそう、結婚式であんなに大人しいアンナは初めてみましたね!」
「あの……僕の妹なんですけど……」
「そなたの妹は、それだけ俺たちの中で大きな存在だってことだろ?
今生は、ジョージアに任せようじゃないか!」
3人は、それぞれアンナを想い笑いあった。
「あっ!これ、イリア様に」
「イリアにも?」
「そう。
これ、ヘンリー様とイリア様に手紙ですよ!」
「あ……ありがとう……」
殿下とヘンリーは、それぞれ大きな袋を見ながら、いったい何が入っているのか……とため息だ。
まぁ、アンナの贈ってくるものに何か理由がないわけではないと思っているらしい二人も、思い当たるところがあるようだ。
「サシャ、これは何が入っているのだ?」
殿下は、気になったようで問うてくるが、さすがに殿下に託したものは何かわからなかった。
「殿下に渡したものは、何かわかりません。
ただ、エリーにも贈られたのは、植物でできたバックでした。
とても気に入っていたので、シルキー様やイリア様に渡したものも
そうじゃないかと思ってます。
ちなみに、アンナから伝言です。
『必ず使ってくださいね!
アンバー領の命運がかかっているんですから!』
だそうですよ!」
二人は、深い深いため息をつくのであった。
ただし、その後は二人とも、笑っている。
きっとアンナのことを思い出してくれているのだろう。
すごい人たちに好かれたもんだなぁ……と、幸せそうに笑う二人から僕は目を逸らすのであった。
メアリーにつなげたいけど……つながるかなぁ?




