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ハニーローズ - 君想 -   作者: 悠月 星花
ジョージアの場合

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16/27

ジョージアの苦悩

143話前後の話です。


朝、目が覚めたら見知らぬ天井であった。

さらに隣で眠っているのは、アンナではなく……

裸のソフィアであった。



そして、自分も……裸であった……





さぁーっと、血の気が引いていくのがわかる。




ソフィアを見るとあちこちにキスマークがついていた。


ただ、俺は何も覚えていなかった……

覚えているのは、結婚式の話をしていた夕方までのことだけであった。




……とりあえず、帰ろう。

この時間なら、すでにアンナは起きていることだろう。

そして、怒っているに違いない……


むしろ、怒ってくれている方が……嬉しい。

別に怒られたいわけではない。

無関心にそうですかで、終わられるほうが、さすがに、キツいなと心の中は、荒れている真っ最中だ。





ソフィアを起こさないようにそっと着替えて帰ることにした。





こそっと部屋を出て廊下を歩いていると1番会いたくない人物にでくわす。




「おはようございます。

 今、お帰りですか?」




わざと頃合いを見計らって、部屋から出てきたのではないかと思えるほど、絶妙なタイミングであった。



「おはよう……

 そうですね、結婚式の話をしてすっかり眠ってしまったようだ」

「新婚ですから、アンナリーゼ様に叱られてしまいますな!」




ダドリー男爵は、そうはいうが、惚れ込んでいるのは、俺のほうなのだから、怒られるはずはない。

男爵みたいにあっちこっちに愛人がいるわけでもないし、子供がいるわけでもない。

妾だけで、2人、街にも何人かいるという話を聞いたことがある。



「心配は無用。

 アンナは、そんな狭量の女性ではない」

「確かに……

 自ら、我が娘に合わせろと言ってきたほどだ」




そう、おもしろそうに、男爵は言っているが、俺はそれどころじゃないので早々にお暇したい。




「彼女は、女性なのが、残念でなりませんな!」

「どういう意味だ?」




おや?興味が?というふうな顔で俺をみてくる。




「彼女は、国をも動かせる存在だと思いますよ!

 あぁ、トワイスの宰相の息子も同い年でいたか……

 国を動かすという観点から行けば、類をみないほど卓越していると思っただけです」






そうかと、それだけいうと、俺は男爵の前を退出した。




一刻も早く帰って謝らねばならない!





早々に馬車に乗り込み屋敷に帰った。

きっと男爵は、してやったりと今頃やらしい笑いをしているのだろう……!




忌々しい!





屋敷に戻ると、ディルが迎えてくれる。

ものすごく、トゲのある出迎えであった。




「旦那様、今、お帰りですか?

 おかえりなさいませ」

「あ……あぁ、ただいま。

 それで、アンナは……?」

「アンナリーゼ様なら、とうに起きて、旦那様をお探しになっていましたが、

 体が鈍ってきたから城の訓練場へ行ってくると早々にでかけられました」


「では、そちらに迎えに……」

「やめたほうがいいと思いますよ。

 屋敷でおとなしく執務しておいた方が、アンナリーゼ様は、喜ばれます」




そこからは、とにかく長かった……

帰ってきたのが、10時すぎ。


お昼になっても帰ってこない!


アンナが好きなオヤツの時間になっても帰ってこない!!


夕方になって、馬車がついたので、かけていったが、荷物が届いただけであった……



そこからは、玄関で、ひたすらうろうろとしていた。

ディルに叱られようがおかまいなした。




ふと、男爵の言葉を思い浮かべる。

『国を動かせる存在』だと言った言葉だ。



確かにそれは、俺も感じた。

王妃となってというサポート的にだが、あの王太子を立ててトワイスを陰ながら支えるにふさわしいと。

しかし、男爵は、逆の考えだった。

彼女こそが宰相の位にふさわしいと……

ちょっと抜けてるところもあるが、早い決断を下したり、知識も豊富で驚くほど視野が広い。

もし、男性に生まれていたら、ヘンリーと親友かライバルとして切磋琢磨していく仲だっただろう。




今でも、ヘンリーのことを想うことあるのだろうか?

アンナの卒業式の日、ヘンリーとのダンスを思い出す。

息のピタリとあったあのダンスは、そうそうできるものではない。


お互いが、お互いに、寄り添い、支え合い、愛しみさえあった。


あのダンスは、アンナたちなりの愛の形であり、決別を意味していたのだ。



それを思うと、俺は、アンナにどれだけ愛情を注いでも足りない気さえしてくる。




「ただいま戻りました!




アンナが帰ってきた!




「アンナ……」

「なんですか?ジョージア様」

「いや……あの……昨日……無断外は……」

「いいのですよ?

 ジョージア様が、この家の旦那様ですから、お好きなときに帰ってきて

 いただいても、お好きな時間に出て行っていただいたも、

 誰とどこにいようと私は、咎めるつもりはありませんから」





そして、俺をみて、叱りとばす。



「ジョージア様が、玄関で、うろうろしているほうが、問題だと思うのですけど?

 主人がそれでは、下のものに示しが、つきません!

 今後、一切、玄関でうろうろと私を待たないでください!

 ディル、デリア、行きますよ!」



執務室の方へ向かって歩いて行ったので、俺もあと追って執務室へと入ったが、誰もいなかった。

どこにいったのだろうか……?

心配になったというのも俺自身が原因なため、変な話だが、探して歩く。

どうも、今回は、ディルもアンナの味方のようで、冷たかった。




反省は、往々とする!

ただ、アンナが、無関心になってしまうことが、怖い。





ふとサロンの前を歩くと、アンナとディルの声が聞こえてくる。



「私、子供っぽかったわよね……

 二人とも、見苦しいところを見せてしまって、ごめんなさい」

「いえいえ、大丈夫ですよ。

 連絡をよこさなかった旦那様が悪うございます。

 アンナリーゼ様は、もっと、旦那様に怒ってもよいのですよ?」



ディルの言っていることは、真っ当だ。

アンナに心配かけたのは、顔を見ればわかる。

きっと、寝ないで待っていてくれたのではないだろう……


そんなアンナに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

こんな優柔不断な俺を選んでくれたのに、心配までかけている。



サロンへ入るか迷ったが、そっと入る。

アンナが、俺に気づいたようだ。




「ディル、このミルクティーとってもおいしいわ!

 もう1杯とジョージア様にも」



アンナを前にすると、言葉が出なくなってしまう。

でも、謝らないといけないという気持ちだけが、焦って口から出ていってしまった。





「あの、本当にごめん!」




「だから、もういいですよ!

 第二夫人もいることですし、縛るつもりはありません!」

「いや……」

「しつこいです!

 終わりにしましょう。

 ジョージア様は、悪くありませんから、私の問題です」



俺の顔を見て、アンナはいたたまれなさそうにしている。



「ジョージア様、そんな顔しないでください。

 私まで辛くなります……」




アンナにもたれかからせ、髪を撫でられる。

アンナがしたいようにさせておいて、好きなだけ撫でてもらった。




急に、首筋を思いっきり噛まれた。




「い……」




アンナに首筋を噛みつかれ、痛そうな声が漏れる。

ディルとデリアは、アンナの行動に驚いていた。



「これで、本当におしまいです!

 私の痛みは、こんなもんですから、お返ししておきますね!!


 ジョージア様、今度私の気に入らないことしたり言ったりしたら、

 もうお名前呼んで差し上げません!

 アンバー公爵様!って呼ぶんですから!

 あと、今日は、一人で寝てくださいね!

 こっそり、入ってきたら蹴飛ばします!

 わかりましたか?」

「はい……」




ふふん、とか言っているアンナの後ろ姿を、俺は噛みつかれた首筋を撫でながら見ていた。



「女の人って……良くわからない生き物だね……」

「そんなことないですよ!

 もっと、アンナ様を大事になさればいいのです。

 アンナ様だって、弱いところもあるんですよ?

 気遣ってあげてください!」

「デリアの言うことは、真っ当です。

 旦那様はご存じありませんが、アンナリーゼ様は、本当に公爵家のために

 頑張ってくださっています。

 あの方をないがしろにするようなら、アンバー家も旦那様の代で

 途切れてしまうでしょう!」



従者二人に言われる言葉は、俺にはとてもとても耳に痛いことだった。

アンナは、それほどにもがんばってくれているのだから……

身に染みてわかることになった。




「肝に銘じます……」




また、項垂れてしまった。






「ジョージア様に聞いてほしい話があるの!

 聞いてくれる?」



アンナが駆け寄ってきて、ニッコリ笑いかける。



「あぁ、何だい?」




いつもの明るい可愛らしいアンナの顔つきになったことに安堵を覚え、執務室まで手を繋いだまま歩く。



今日、ウィルに会いにいった話やウィルの従者や副隊長昇格などの話をしている。



「アンナは、本当、ウィルのことが好きだな……?」

「ウィルは、悪友ですからね!」



友人の昇格など、自分のことのように喜んでいるアンナは本当にいい子と思う。



「ジョージア様のことも大好きですよ!」



小声でボソッとアンナは言ったが、聞こえた!

チラッとこちらを見上げてくるアンナは、とても可愛らしい。



「俺もアンナのこと好きだなー」

「ホントですかぁ?」

「ホントだよ!」

「じゃあ、ホントってことで!!」



廊下で、アンナと一緒に笑いあいながら、隣を歩けるのが嬉しい。


愛情を噛みしめてしまう。






男爵の言うことは、正しかったのかもしれないけど、今は、女性で、俺の奥さんだ。



もっともっと、大事にしたい、あの可愛らしい笑顔を向けられるとそう思うのであった。

ジョージアを少し追い詰めたかった……

ただ、それだけです。

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