アンナリーゼ様は禁止です!
ウィルの『姫さんは禁止』の続きです。
百合っぽく?仕上げましたので、読む際は、お気をつけください。
「ナタリー、こっち!」
手を引かれてきた場所は、客間でなくアンナリーゼ様の私室であった。
ソファに座らされ、反対側に座るのかと思っていたアンナリーゼが隣に座ったことに、私は、まず驚く。
「ナタリー、いつも私のわがままを聞いてくれてありがとう」
そう、これから始まったのだ。
隣に座ったアンナリーゼは、私の左手を自分の右手で玩ぶように触ってくる。
その触り方が、なんというか、変な気分にさせてくる。
手を触っているのに飽きたのか、その右手を私の頬にあて、優しく撫でる。
そのとき、こちらを見ているアンナリーゼの雰囲気は妖しく艶やかだった。
「アン……」
名前を呼ぼうとした瞬間に右手の人差し指で口をふさがれてしまう。
今、アンナリーゼの一挙手一投足に目を奪われているところだ。
「ナタリー」
声音が変わる。
少し甘えたようなすり寄ってくるような何ともいえない声音と呼ばれた自分の名前に背中が疼き始める。
熱っぽいアメジストの瞳が不安と期待を込めて、私を覗き込むように見上げてくる。
アンナリーゼの方が背は高いのだが、少し私が後ろに引いているからかいつもと違う視線にドキドキし始めた。
ソファでの攻防は、始まる。
私へとにじり寄ってくるアンナリーゼ。
太ももの上に左手を添えられるだけでゾクゾクとしたものが体中を這いずり回る。
「アンナリーゼ様、どうかされたのですか?」
「いいえ、どうもしないわ。
ナタリー、あなたとっても綺麗なのね。
今までも美少女だと思っていたけど、ずっと綺麗。
肌もすべすべ」
「あ……あの……アンナリーゼ様……
ち、近いです……」
「そぉ?じゃあ、少し離れましょうか?」
そういって体を起こしたアンナリーゼに対し、私は寂しさを感じてしまう。
何なんだろう……?
胸を押さえ、今までうるさいほど動悸がしていたので、落ち着かせるようにする。
何を思ったのか、チラッとこっちを見たアンナリーゼは、また、近づいてくる。
それは、嬉しいのだけど……それにしても近い。
背中に手を回し、私に抱きついたような格好でソファに私を押し倒した。
「!!」
「ナタリーって可愛いよね!」
アンナリーゼだけ、体制を起こす。
今まで見たことがないような、魅惑的な笑みを浮かべ、私の唇をアンナリーゼの右の人差し指でなぞってくる。
言うまでもなく、体中がビクッと震えるのが分かった。
「何をなさるのです!」
振るえた声が出てしまい、それを聞いたアンナリーゼは、さらに妖しく笑い、アメジストの瞳を細くする。
「何も?
ただ、ナタリーを愛でるだけ!」
そういって逃げられないように上にのられてしまった。
アンナリーゼは、見た目は可愛らしい女性だ。
ただ、武術ができる女性なので、そこら辺のひょろっこい男の人より相当厄介な相手ではある。
アンナリーゼが、私の頬を撫でる。
私に髪がかかってきて、キスをしようとした。
思わず、私は、目をつぶって受け入れようとしていた。
「はーい、ストップ!」
そこに乱入してきたのは、ちゃらけた声で止めるウィルだった。
キスをしようとしているアンナリーゼのデコに手をやり止めている。
そして、今の状況を覗き込んでいるのは、ウィルとセバスの二人だった。
「さっきから見てたけど、下手なあれより、エロかったんだけど……
どこで覚えるわけ……?そーゆーの。
まさか、ジョージア様が仕込んだの?」
すると、アンナリーゼは私のお腹の上でふんぞり返って腰に手を当てている。
「ジョージア様に仕込まれてません!
失礼ね!!」
そういって、アンナリーゼは、怒りはじめる。
私は、何が起こっているのかまず、わからなかったので、説明してほしいのだが……
覗き込んでいたウィルとセバスの顔がやたらと赤いのが気になった。
「あの、アンナリーゼ様、どいていただけますか?」
とにかく今の状況で、自分が高揚して脳が痺れるほどの快楽を楽しんでいたように思ったのだが、ウィルとセバスの顔を見てスッと冷えていったのがわかる。
まずは、状況整理だ。
「アンナリーゼ様?」
「はひ!」
私が怒っているのが分かったのか、アンナリーゼの声が裏返る。
「何をなさっていたのです?
ウィルもセバスも顔を赤くして、何を思っているのかしら?
やらしい!」
嫌なものでも見るかの如く嫌悪感を乗せた視線でウィルとセバスを睨むと、二人とも小さくなった。
「ナタリーさん……
あのね……人たらしの練習を……」
アンナリーゼの言葉に驚いた。
私は、練習台にされたのだ。
しかも、こんないかがわしい練習な上に、この二人が最初からずっと見ていたのだろう。
妖しく艶っぽいアンナリーゼ様を!
それは、なんだか、私だけが見ていたかったから、二人も見ていたのが許せなかった。
「ごめんなさい……
もう、しませんから、許してください」
しょぼんとアンナリーゼは肩を落としている。
まだ、私の上に座ったままだ。
「お詫びに、お願い聞いてくれますか?」
「えぇ、私でできることなら……」
言質は取った。
私は、ソファの上でアンナリーゼと向き合う形で起き上がる。
ちょうど、ウィルとセバスの顔も近くにあったのだが……気にしない。
しょぼくれたアンナリーゼの両頬を両手で挟み、私だけを見るようにさせる。
私の上に座っているので、少し強引にアンナリーゼを引っ張るようにして私は、アンナリーゼに口づけをする。
最初は驚いていたが、アンナリーゼは受け入れてくれたのか応えてくれる。
「あの……姫さんとナタリー……」
ウィルのどうしていいのかわからないという声が聞こえてきたが、今は、アンナリーゼを堪能する。
もう二度とないだろうから……
ちゅっちゅっと音が聞こえているが、舌を絡めれば、アンナリーゼは、それにも応えてくれるのだ……
目の前で、熱っぽいアンナリーゼを見せられるのは、きっと男性陣二人はいたたまれない時間を過ごしていることだろう。
私を嵌めた意趣返しだ。
そして、私へのご褒美だ。
長い間、付き合ってくれたアンナリーゼの息は、少し荒い。
ケロッとして私は、三人になんでこんなことをしているのか問うことにした。
さっき、ウィルとも遊んでいたらしい。
でも、ウィルは、アンナリーゼにバチンと叩かれちゃったらしい。
「私、役得でしたねぇー!!
でも、人たらしなんて、アンナリーゼ様は禁止です!」
身に染みたアンナリーゼとウィル、そして、目を持って染みたセバスに、私は、ニッコリ笑いかけると、三人が、あいまいに笑い、ごめんなさい……と呟くのであった。
遊びすぎたかなぁ……




