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第5章 神竜国ドラグリア編 九十一話 神竜国からの帰還


 レオ達が修行の間に入ってから5日後。


「――そろそろですかね」

「だな。あれから5日、事前にグレンから聞いた話によれば設定は2年にすると言っていた。5日もあれば10年は修行出来ただろう」

「それは、期待できますね」

「嗚呼、そうと決まればこちらも早く終わらせてしまおう」

「おや、ここから勝つつもりなんですか。竜王?」

「当たり前だろう。何事も勝つ気でやらなければつまらん」


 そう言って竜王は裏向きに並べられたトランプのカードを1枚手に取り、表を確認した。



 ▽▲▽▲▽▲▽▲


 レオ君達が神竜国を探しに行ってから約1週間、数日前に神竜国に入ったと通信が入って以来何の連絡も無い。


「レオ君……」

「アリシア、こっち手伝ってくれない? 運ぶ荷物が多くて」

「う、うん、分かった!」

「……どうかした?」

「ううん、何でもない」


 とは言っても、多分サリーにはバレている気がする。


「またレオ君のこと考えてたの?」


(やっぱりサリーにはバレちゃうか)


 サリーの問いかけに対しアリシアは頷いて返す。


「レオ君なら大丈夫だよ。先生とアレク君もいるし、2人が居れば無茶はさせないって」

「……うん、そうだよね」


 だが、この時の2人はレオが1人で修行していたなど当然知るはずも無い。


「ごめんねサリー、気を使わせちゃって」

「大丈夫。心配する気持ちは分かるし気を使ったなんて思ってないから。それよりも、早く荷物運びに行こう」

「うん」


 そうして2人は荷物が置かれた倉庫へ向けて歩き出す。

 その倉庫へは校舎の玄関を通らなければ行けないようになっており、2人がそこを通りかかろうとした時にそれは突然現れた。


 2人が何事かと思いそちらに目をやればそこにあるのはよく見なれた扉。その半透明の扉は初めからそこにあったかのように存在している。


「ア、アリシア! あれってもしかして……!」

「う、うん!」

「私、学長さん達に知らせてくるね!」

「分かった!」


 目的の荷物もすっかり忘れサリーは学長達の集まる演習場控え室えと向かいアリシアは扉が開くのを静かに待った。


(レオ君……)


 その時、扉が開き中から数人の人の声が聞こえてくる。


「ちょちょ、そんなに押さないで!」

「ゆっくり見るのは後にして早く行ってくださいグレンさん! 後ろが詰まってるんですよ!」

「そんな事言われても、やはり初めて見る魔法は興味深い……」

「グレンさん、本当に早くしないと転移門(これ)消えちゃいますから!」

「分かりましたよ。レオくーん、まだ起きてますかー」

「な、何とか。けど、あと少しで意識が飛びそうです……」

「それはそれは、急がないと不味そうですね」

「だから、さっきからそう言ってるでしょう」

「まぁいいじゃねぇかアレク。間一髪間に合ったんだからよ」

「はぁ、本当にギリギリですけどね……」


 扉の先から聞こえてくる声は6人、その内聞きなれた声は3つ2つは恐らくセイクリッド学院の2人だろう。残りの一人、グレンという人の声は聞いたことが無い。

 だが、アリシアにはそれを気にするよりも重大な点があった。


(っ! レオ君、意識が!?)


 そうしてアリシアが気が気じゃない状態で待つこと数秒中から出てきたのは長身に黒い執事服のような服を着た赤毛の青年だった。そして、その青年の肩を借りるようにして最愛の人物が扉から出てくる。


「おやおや、これ程美しいお嬢さんがお出迎えとは嬉しい限りですね」

「おっ、アリシア。ただいま」

「っ! レオ君!」


 アリシアが駆け寄ってくるのを見てレオはグレンの肩から腕を下ろしその腕の中にアリシアを迎え入れる。


「もうっ、またこんなにボロボロになって帰ってきて……!」

「ごめん、心配かけて」

「本当に心配だったんですからね、全然連絡も無いし……でも、生きて帰ってきてくれて良かったです。おかえりなさい」


 どんどんと抱きつく力の強くなるアリシアに対しレオもその力を強める。


 アリシアにとっては1週間。だが、レオにとっては10年間もの間アリシアに会えていない。その長い時間を埋めるにはこれだけじゃあ足りないだろう。


 アリシアは抱きつくと同時にどこかレオの背中を以前より大きく感じる。実際に背丈はそこまで変わっていないが、10年という時間は確かに彼女にそう思わせるだけの成長を彼に与えていた。


 目の前でそんな甘いやり取りを繰り広げられているグレンはと言えばにこやかに若い2人の再会を見届けていた。……のだが。


「これは……私お邪魔なパターンですかね?」

「確実にそうですね。あいつら、完全に自分たちの世界に入ってますよ」

「そんな事より、早く2人を引き戻してこいアレク」

「はぁ、全く。おいレオ、10年ぶりに会えて嬉しいのは分かるがいい加減戻ってこい。この後もまだやる事があるんだぞ!」

「あぁ、悪いアレク。アリシアやっと会えたところ悪いけどこの後学長に会いに行かなきゃいけないんだ。そしたらまたゆっくり話そう」

「はい、それはいいのですが……でも、10年ってどういう……」

「それも話すと長くなるから、また後で話すよ。学長は今どこに?」

「……分かりました、レオ君がそう言うなら待ちます。学長は今演習場の控え室にいて、さっきサリーが知らせに行ったのですぐにお話できると思います」

「うん、ありがとう」


 アリシアに感謝の言葉を伝え、その場を後にしたレオ達は学長の待つ演習場控え室へと向かった。


「あんな事を言ってはいたが、この後の結果によればゆっくり時間を取れるのはもっと先になるかもしれんぞ」

「うっ、た、確かに……」

「それよりも、体調はもう大丈夫なのかい? 魔力切れって意外とキツイけど」

「嗚呼、それは大丈夫だ。魔力切れには慣れてるからな。まぁ、まだ少しフラフラするけど」


 正直キツイ。けど歩くぐらいなら肩を借りなくても大丈夫そうだ。


「他人の心配よりもまずは自分の心配をしたらどうですかシン君。君の状態も万全では無いんですから」

「そ、そうですね……」

「それについても詳しく学長に伝えなきゃ行けないんだから、とにかくグレンさんは早く歩いてください!」


 そう言うとガゼルは人間の作った建物に興味があるのか目を離した隙にどこかへ行こうとするグレンの背中を押して歩く。


「ガゼル君も何だか張り切ってるなぁ。俺達が10年間修行してる間にアレクの性格がうつったのか?」

「ははっ、そうかもしれないね」


 そんな事をレオとシンが話していれば2人の会話を聞いたガゼルが口を挟む。


「何言ってんだ。お前だってまさか忘れた訳じゃねぇだろ、サヤちゃんはまだ囚われたままなんだ」

「嗚呼、分かってるさ」


 シンの声は冷静で、だが確かにその短い言葉の中に幾つもの思いが込められている。誰が聞いてもそう感じとれるほど、低い声だった。


「サヤは、必ず俺が助ける」

「なら、話してないですぐに行かないとな」

「そうだぞ、今は少しでも時間が惜しいんだ。すぐにあっちであったことを学長に伝えて作戦を練ろう」

「嗚呼、そうだな。軍の人達も集めないと。全員で革命軍(リベリオン)に囚われたサヤちゃんの救出、そして組織の壊滅を目的とした作戦会議だ」



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