表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/135

第4章 夏合宿編 五十九話 プロローグ


「おい、計画の方はどうなっている」

「順調だ、何も問題無い。後は器となる肉体だけだがそれも心配する必要は無いだろう何しろ……」


 薄暗い部屋、フードの着いた黒いコートで全身を見に包んだ数人の人影が何やら会話をしている。

 

「そうか、ならば器の1つや2つ見つかりそうだな。そちらはお前達に任せたぞ。俺は例の物を回収してくる」

「嗚呼」

「任せておけ」


 大柄な男の言葉に2人の男が答える。


「上手く行けば今回で生まれるやもしれん。失敗は許されないぞ」

「そっちもな、あれの回収は容易じゃないぞ」

「ふっ、そんな事言われるまでも無い。全ては我らが王誕生の為に」


 大柄な男が去るのに続くように残りの2人も別方向へと歩きその場から姿を消した。



 ▽▲▽▲▽▲▽▲



 街の開拓から数週間、入学から早くも数ヶ月が経過し学院にも慣れ始めたこの時期に初等部中等部の頃から続くあのイベントがついにアストレア魔法学院にもやってきた。そのイベントとは――


「という事で、明日から夏休みに入ります」

『うぉぉぉぉぉおっ!!』


 そう、夏休みである。


「ははっ、皆凄い盛り上がり様だな。この反応はどの学校でも同じか」

「夏休みは学生にとって貴重な長期休みですからね。皆さん楽しみなんですよ。それに今年は……」

「お前らぁ、盛り上がるのも仕方ないがまだ話してる途中だ。もう少し静かにしてろ」


 アリシアが途中まで言いかけたところでメルト先生のいつにも増して気だるげな声がクラスを大人しく静める。


「夏休みと言っても忘れちゃならない事が1つある。この学院の伝統行事でもある夏合宿だ」


 そう、さっきアリシアの言いかけていた事はこの夏合宿だろう。

 このアストレア魔法学院には代々1年生の夏休みには夏合宿をする決まりがある。場所は毎年国の東西南北にある学院の所有する土地からランダムに決まるそうだ。


「お前達には夏休みの1ヶ月半の内、来週から3週間国の北端にある学院の所有する小さな領地で合宿を行ってもらう。ある程度の設備は揃っているし必要な物も学院側で揃えるがそれ以外の必要になりそうな物は各々準備しておくように」


(今回は北か。去年は西だったみたいだけど、確か北は他の3箇所よりも森が少し広くて川も何ヶ所か流れてるんだっけ)


「集合時間は朝の7時だ、寝坊せずにちゃんと来いよ。それじゃあ今日は解散、気をつけて帰れよー」


 そう言って先生が教室から出るとそれに続くように他のクラスメイト達も帰宅する準備を始めた。


「うーん、俺も何か準備した方がいいかな」

「その必要はあまり無いんじゃないか」


 俺が帰り支度をしながら1人呟いていると既に支度を終えたのかアレクとダリスがこちらへ歩いてくる。


「おっ、アレク。それってどういうこと?」

「お前ならば異空間収納で何でも持ち運ぶ事ができるからな大方今考えていたのは何をその中に入れておくかと言ったところだろう」

「そうそう」

「だがな、そもそも転移門(ゲート)を使ってしまえばいつでも行きたいところに行けるんだ何かが無くなってもその都度買いに行くか取りに行けばいい」


(た、確かに! けど……)


「何かそれってずるくないか?」

「何故だ? 学院側だってダメと言っていないんだ後ろめたい事なんて何もしていない」

「ま、まぁ確かに……それならいい、のか?」

「嗚呼もちろんだ。自分の持つ力を使って何が悪いことがある。誰かに迷惑をかけているわけでもないしな」


(うーん、まぁそれならそうするか)


 という事で俺が何か準備をすることは無くなったわけだけど、これで今週末も特にやること無いな。またヴォレアスの街でも徘徊してくるか。


 最近は暇になると直ぐに街を見て回っている気がするけど、まぁ開拓が終わってからまだ1ヶ月も経ってないし街の人と交流するのもいいだろう。

 たいよう園の子供たちと遊ぶのもなんだかんだ楽しいしな。


 たいよう園とは以前皆に街を案内している時に行ったあの施設だ。

 あの時はまだ名前が決まっていなかったが施設の名前を決めることになったとアリシアに相談したら

「たいよう園なんてどうでしょう? あそこの子供たち皆良い笑顔でしたし」

と良い案を出して貰えたためそれを父さんに伝えたらすぐに採用となった。アリシア様々である。


(そんなことはさておき、また行くならアリシア達も誘ってみるか。

 この間行った時は3人とも大人気だったしな。主に使い魔達がだけど……)


 前回はアレクが私用で来れなかったためアリシア、サリー、ダリスと3人で行ったのだが3人の使い魔は想像以上に子供達からの人気が高かったのだ。また連れて行ってあげれば大喜びだろう。


(そうと決まれば早速3人に声をかけてみるか。アレクは……最近何か忙しそうだしまた行けそうに無いかな。一応声はかけてみるか)


 最近のアレクは何やら事件があったようでアルカード公爵やその他軍の人達も含め何やら大忙しのようだ。


(あいつも学生の内から仕事させられて大変だな。まぁ時期公爵家の跡取り息子ならこれが普通なのかもしれないけど。俺もいつかあんな風になるのかな……それより、アレクまで手伝わなきゃ行けない事件って一体何があったんだろうか、今度さり気なく聞いてみよう)


 事件の内容も気になったがそれは後日アレクに聞くことにして俺は週末の予定を聞きにアレクとダリスの元へと向かった。


 ▽▲▽▲▽▲▽▲


 数日後――夏合宿当日。


(なんか、やけに人の数が多いな。見かけない顔の人もいるしこれ1年だけじゃなくて2年生もいないか?)


 普段よりも早い時間ではあるがいつも通りアリシアと登校した俺はその人の多さに違和感を感じる。


「なんだか人が多いですね。先輩方もいるんでしょうか?」

「うん、多分そうだろうね。例年通りなら夏合宿は1年生だけの行事だったはずだけど……お、いたいた、3人ともおはよう」


 クラスの集合場所へ行くと既にアレク達3人は登校していた。どうやら3人もこの人の多さについて話していたみたいだ。


「おう、来たなレオ。昨日はよく寝れたか?」

「まぁそれなりにはね。それよりなんで2年生までいるんだ? 見送りって感じでも無さそうだけど……」


 俺が学院に到着してからの疑問を口に出すとそれに応えたのは予想外にもサリーだった。


「これ出発前に伝えられるはずの事であんまり大きな声で話せないからよく聞いてね」


 サリーはそう言うと俺達4人を集めてひっそりと知っていることを話しだす。

 その話によればどうやら近い内に大きな戦いがあるみたいだ。


「それで、戦争程では無いと言っても万が一の際は王都の守備を魔法学院生にも少し手伝って貰うことになるだろうから良い機会だし急遽1年と2年合同で夏合宿をする事になったみたい」


(なるほどな。つまりは大きな敷地を使って突然の戦闘にも対応できるように練習をさせたい訳か)


「理由はわかったけど、それなら3年生はなんでいないんだ?」

「3年は既に一定の実力を身につけている者が多い。中には冒険者として名を挙げている者も数人いるみたいだからな大体の生徒がいつでも動けるという事だろう。それより、そろそろ朝礼の時間だぞ」


 しばらく話し込んでいたらいつの間にか出発の時間が近づいていたみたいだ。見送りの先生や朝礼で挨拶する学院長まで既に来ている。


 その後、生徒が全員整列するのを確認すると魔石を使って学院長が挨拶を始めた。


「生徒諸君、今日はよく集まってくれた。急遽呼び出された2年生も全員出席してくれたようで本当にありがとう。

 まず初めに学院生活の中でも一大イベントである夏合宿の始まりが快晴であることを嬉しく思う。

 今年は異例の1、2年合同での合宿となるが皆それぞれ課題を見つけ乗り越えることをこの学院から応援している。参加する生徒全員の無事と成長を願って私からは以上とさせてもらう」


 学院長のありがたいお言葉を聞いた後、事前にクラス内で決められていた班に別れ用意された馬車へと乗り込んでいく。

 ここから目的地である北の学院所有地までは馬車で約5時間。何も問題が無ければお昼頃には着くだろうか。空間魔法を使えば時間短縮はできるだろうけど長旅も旅の醍醐味だしな、せっかくだし道中も楽しもう。


 ちなみに俺の班員はいつもの5人だ。馬車には俺達5人に加えメルト先生が一緒に乗るらしく他の班よりも乗員数が多いからか馬車の中が他の馬車よりも少し広いみたいだ。


(これなら移動中も快適そうだし、アリシアと隣になれば5時間も隣同士かぁ。夢が広がるな)


 そんなことを考えながら他の生徒であれば目的地に心を躍らせる所を道中にも期待を膨らませつつ俺は馬車の中へと乗り込んだ。


 こうして俺達の夏合宿がいよいよスタートする。


お待たせしました!

今回から4章のスタートです。


冒頭に現れた謎の人物達は一体?


面白いと思った方は下の☆☆☆☆☆から評価をしてもらえると執筆作業の励みになるので是非お願いしますm(*_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ