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第2章 四大魔法学院対抗戦 後編 二十八話 作戦


 対抗戦1日目を終えて俺たちはヴォーレオス大森林のすぐ近くにあるルステリア王国 ストロムの街の宿前に来ていた。


 本来1日で3戦目まで行う予定であったが生徒たちの魔力消費量が予想以上に多かったため、このまま続行しても本来の実力を発揮できないと考え学院長達が話し合った結果2戦目以降は明日行われることに決まったようだ。


「とりあえず今日はここに泊まる。突然の事で準備が満足にできていないとは思うが多少は我慢してくれ」


 先生はそう言うがこの宿、兎の尻尾亭はストロムの街でもかなり評判のいい酒場兼宿だそうだ。後から部屋を見たがその設備はかなり充実していた。


「明日の集合時間は朝の9時だ。時間になったら酒場の方に降りてきてくれ」


「先生と学院長もここに泊まるんですか?」


「いや、俺達はこの後各学院の先生方と飲み会だからな、そっちの宿に泊まる予定だ」


 メルト先生は面倒くさそうな顔をして答えた。


(そりゃそうだよな、先生人付き合いとか苦手そうだし……)


「予約はもう済ませてある。詳しい事は宿の人に聞いてくれ」


 そう言うと先生は馬車に乗って待っていた学院長と共に東の方へ行ってしまった。


「とりあえず中に入るか、今すぐにでもベッドに飛び込みたい」


「そうだな、俺とレオはかなり魔力を使った。少しでも長く休もう」


 そうして俺達が宿に入るとカウンターにいた、女性にしては背が高めの女の人がこちらに気づきわざわざカウンターから出て俺達を迎えてくれた。


「いらっしゃい。君たちがアストレア学院の生徒さん達? 話は聞いてるわ、早速部屋に案内するわね。あ、そうそう挨拶がまだだったわね。私の名前はヒルテ、ここの酒場の店主をやってるの。気軽にヒルテおばさんって呼んで」


 そう言ってヒルテおばさんはにっこりと笑い手を差し出してきた。


「はい、よろしくお願いします」


 俺達は1人ずつヒルテおばさんに差し出された手に握手で答える。


「それじゃあ案内するわね。それぞれ男の子達が2階、女の子達が3階の奥の部屋よ」


 俺達はヒルテおばさんの案内でそれぞれの部屋まで向かう。


「夕飯は5時だからそれまではゆっくりしていて大丈夫よ。時間になったら下の食堂に降りてきてね」


 夕飯の時間を伝え終わるとヒルテおばさんは下の食堂へ戻って行った。


「ふぅー、疲れたぁ〜。やっと休める」


「俺も初めてここまで魔力を消費したな、さすがに疲れた」


 俺とアレクはヒルテおばさんが去ってすぐにベッド倒れた。


「お前ら2人は魔力量が多い分回復するのにも時間がかかるからな今日はゆっくり休め」


「そう言えばアレクは今日どれぐらいの魔力量使ったんだ?」


「感覚的には大体3分の2と言ったところか。そう言うレオはどうなんだ?」


「俺もそれぐらいかな。今から明日の朝まで休んだとしても回復するのは大体3分の2ぐらいまでだ」


「レオもそんなところか。まぁ、足りない分は支給されたポーションで回復すればいいだろう」


 とりあえず俺とアレクは夕飯の時間になったら起こすようダリスに頼んで眠りについた。




 俺とアレクが夕飯の30分前にダリスに起こされ3人で下の食堂まで行くと既にアリシアとサリーは食堂に来ていた。


「あれ、2人とも早いね?」


 俺はテーブルの前に座っていた2人に声をかける。


「レオ君、体の調子はどうですか? 私とサリーは少し前にヒルテおばさんにお茶を出してもらって今日の事についてお話してたんです」


 どうやら2人は明日に備えて今日のことを振り返っていたらしい。


「ならば俺達も一緒に振り返ろう。作戦もある程度立てておきたいしな」


 アレクがそう言った後俺達は5人で座れるテーブルへ移動してそこに座った。


 その時、俺は男女別で座るのかと思ったらサリーに呼ばれアリシアの隣に強引に座らされてしまった。


(いや、俺は嬉しいけど、アリシアはいいのか?)


 そう思い俺が隣のアリシアを見るとアリシアは頭から煙が出るんじゃないかって言うぐらい顔を赤くして俯いていた。


「あ、アリシア大丈夫? 嫌だったら俺あっちに座るけど……」


「い、いえ! このままで大丈夫、です……」


 アリシアは一瞬顔を上げるが俺の顔との距離が予想以上に近くてまたすぐに俯いてしまった。いや、今のは俺もかなり恥ずかしかったけど。


「とりあえず話を進めるぞ。まずはお互いに対戦した奴についてだがレオ、お前が戦った相手の強さはどうだった?」


「最初にダリスが倒したセイクリッドの人は使う魔法が厄介だったけど何とか倒せたよ。その次はソルヴァレスのサクラだな、あいつには苦戦させられた」


 俺がサクラの名前を出すとダリスが話し始める。


「レオは基本的に接近戦は苦手だからなある程度克服したとは言え魔法を使う相手よりは戦いづらいだろ」


「うん、魔法をバンバン使ってくれる人なら闇魔法で対処できるしその隙に倒すこともできるけど接近戦となるとそれもやりづらいしね」


 俺はダリスの言ったことを説明する。


「なるほど、そうなるとソルヴァレスやセイクリッドのシンの相手はやりづらいか?」


「あぁ、勝率は下がるかな」


 アレクの質問にそう答える。


「なら、レオ君はブランハーツと当たる時以外は守りの方がいいね」


「そうだな、ブランハーツの生徒は恐らく全員が魔法主体だろう。だが、そうなってくると問題はセイクリッドだ」


 アレクは少し深刻そうな顔をして言う。


「あそこもシン以外は恐らく全員が魔法主体で戦う生徒だろう。シンが攻めるか守るかによってこちらもレオを攻めさせるか守らせるか変わってくる」


 その通り、シンの相手ができるのは多分俺かアレクだけだ。だが俺はシンと戦うのはやりづらい、そうなるとシンが攻めるのであればアレクが守り俺が攻める。シンが守るのであれば俺が守りでアレクが攻めと変わってくる。


「とりあえずセイクリッドと当たった場合はレオが攻め相手の守りがシンと分かり次第転移門(ゲート)で俺と交代それでいいか?」


「あぁ、大丈夫だ。」


「次はブランハーツだが、2人はブランハーツの首席の戦いを見ていたな?」


 そう言ってアレクはサリーとダリスに問いかけた。


「俺達が見た限りでは使ってた属性は2つ火属性と雷属性だ」


「少なくとも火、風、雷の3属性は使えるね。実力はアレク君程の威力は無いけど手数と魔法の使い方が凄い上手かった」


「なるほど、アレクみたいに威力で押し切るパワープレイじゃなくて冷静に考えて魔法を使うタイプか厄介だな」


 俺が素直な意見を言うとアレクがとんでもない事を言った。


「よし、ブランハーツと当たった場合はレオが攻めと守りを1人でやってくれるらしい。俺達はゆっくりと休んでいよう」


「お、おい! 冗談だよな!?」


「まぁ、冗談だが」


 ふぅ、良かった。こいつなら本当にやりかねないからな……


「冗談を抜きにしてもブランハーツ戦ではレオと誰かに攻めに回ってもらおう」


「攻める身としては相手の情報を少しでも知ってるダリスかサリーには一緒に付いてきてほしいかな」


「なら俺よりもサポートの出来るサリーの方がいいな」


「それならアリシアも連れて行っていいかな。攻めるなら数が多い方がいいし守りは2人なら大丈夫だよね?」


「わかった。アリシア様もそれでいいか?」


「はい、私はそれで大丈夫です!」


 そうして俺達はセイクリッド、ブランハーツと順調に作戦を決め終える。


「それじゃあ最後にソルヴァレスだが、まずはレオから聞いていいか?」


「サクラは寄られたらかなり厳しいな。剣速と威力どっちも驚異的だ」


「俺とサリーが相手した2人組もかなり強かったな。個人での強さも然る事乍らその連携には俺も苦戦させられた。結局逃げられてしまったしな」


「俺とサリーを捕まえた首席の奴もとんでもない奴だった。正直他のソルヴァレスの生徒どころかその場にいた誰よりも強かったと思うぜ」


「となると、そいつは俺かレオが相手するしかないな」


 確かに、シン以上となると勝てる可能性があるのは俺かアレクだけか……


「ならブランハーツの時とは逆で俺とアリシア、サリーの3人で最初は守るよ。状況を見て俺の転移門(ゲート)で攻守を変えよう」


「だな、レオの負担は大きいがそれが一番良いだろう。頼めるか?」


「あぁ、大丈夫だよ」


 そうして俺達がある程度の作戦を決め終わったところでヒルテおばさんが夕飯を運んできてくれた。俺達は夕飯を食べその日は部屋に戻り早めに休む事にした。



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