第2章 四大魔法学院対抗戦 前編 十五話 試合開始
翌朝、昨日言った通り俺はアリシアを迎えに王城まで来ていた。今日からは下校だけでなく朝もアリシアと一緒に登校することになった。
俺が王城に着くとアリシアが既に門の前に立っていた。俺に気づいたアリシアはこちらへ駆け寄ってくる。
「レオ君、おはようございます!」
「おはようアリシア。ごめん待たせちゃったか?」
「いえ、私もさっき出たのでそんなに待っていませんよ」
「そっか、それじゃあ行こうか」
「はい。皆さん行ってきます!」
アリシアは門番の人達や使用人の人達にそう言って手を振った。
俺たちは今並んで王都の街中を歩いている。アリシアは目に付くもの全てに興味を示していた。
「レオ君!あれはなんですか?」
「あれは着物屋さんだね。東のヤマト王国では着物を着る風習があるみたいだけどそれがルステリア王国にも流れてきたんだ。」
「へぇ〜、とても綺麗ですね!」
「アリシアも、今度のお祭りの時に着てみれば?」
「レオ君は、着物好きですか?」
俺、?俺は1度も着たことないからな…
「うーん、1度も着たことがないからな。分からないけど綺麗だとは思うよ」
「そう、ですか…それなら今度着てみます。その時はレオ君にもお見せしますね!」
「そっか、ありがとう」
俺がお礼を言うとアリシアは既に他のものに興味が移っているようで耳には届いていないようだ。
「あ!レオ君、あれはなんですか?」
「あれか?あれはな…」
そうして俺たちが街を見ながら歩いていると学院はもう、すぐ目の前に見えていた。
俺たちが教室に入ると既に3人は登校しており今日の代表戦について話していた。
「みんな、おはよう」
「皆さん、おはようございます」
「おはようアリシア、とレオ君?一緒に来たの?」
「はい、今日から一緒に登校することにしたんです」
「えっと、ちょっと待っててアリシア」
そう言うとサリーはアレクとダリスを連れ教室の隅へ行ってしまった。
「ね、ねぇ2人はあの2人に何があったか知ってる?」
「いや、知らんな。だが、昨日の呼び出しで何かあったのは間違いないだろう」
「俺も何も聞いてないが、確実にそうだろうな」
「やっぱり、そう思うよね」
「仕方ない、俺が昨日何があったかを聞くついでにさりげなく2人の間に何があったのかも聞き出そう」
少し経ちサリー達3人は俺たちのいる方へと戻ってきた。
「悪い、少し2人と話すことがあってな。ところでレオ、昨日は何の話がされたんだ?」
「あぁ、それについては後で貴族の人達が集まる場を設けるって事だったけど」
「貴族を集めるほどの話なのか?」
「あぁ、実はな…」
そうして俺は3人に昨日国王に頼まれた事を話した。
「なるほど、まぁ国としては、王女の命の危険を救った者に何も無しでは他国へ顔向けができないと言ったところだろう」
「うん、多分そんな感じだと思うよ」
「にしてもレオが卒業後には貴族の当主か、こないだまで森で狩りをしていたと思えば人生何があるかわかんねぇな」
「それで、朝はどうしてアリシア様と一緒だったんだ?」
「あぁ、それは昨日、これからは2人で登校しようってことになって。国王様にも学院ではなるべくアリシアと一緒にいるよう頼まれたし」
まぁ学院外でも一緒にいて欲しいとは言われてないけど…
「だがそれは学院内だけだろう?登校する時まで一緒にいる必要は無いのではないか?」
「朝は馬車で来ればいいもんね、アリシア」
そう言ってアレクは俺にサリーはアリシアに詰め寄っている。
「そ、それは…なぁ、アリシア?」
「え!?えっと、その…そう!街中をゆっくり歩いて見たかったんですよ!」
アリシアは咄嗟に浮かんだのだろうそう言って誤魔化そうとするが。
「それなら私とでもいいんじゃない?悲しいなぁ」
「サ、サリー?それは、そのわかるでしょ!」
「2人ともその辺でいいだろ。2人で遊ぶのは後にして今日の試合の作戦会議しようぜ」
「そ、そうだ!ダリスの言う通り俺達の事はいいからそっちの話をしよう!」
ふぅ、ダリスのおかげで何とか助かった。
「まぁ、そうだな。今はそっちの方が優先か。と言っても相手が分からないことにはどうにもならないからな大まかな役割分担だけしておこう」
そうして俺達は試合での役割を決め、それぞれの席に戻った。
「レオ、さっきの借りはデカいからな」
「うっ、まぁ助かったのは確かだ考えておくよ。考えるだけな!」
そう言ってダリスは楽しそうに笑いながら自分の席に着いた。
「全く、あいつらに目をつけられると精神的疲労が尋常じゃないな」
と、言いつつも顔に笑みを浮かべどこかこの日常をレオは楽しく思っていた。
今日は1日使って代表選抜試合を行う。場所は学院が管理する学院より一回りは大きそうな広い森。第1試合は9時半からだ。
その後、先生がやってきて朝礼開始と同時に今日の代表選抜試合のトーナメント表を貼り出した。どうやら俺達はBチームで第1試合のようだ。
「全員いるな、軽くルール説明をしてから森に向かうぞ。まず、勝利条件は先に相手陣地の旗を奪ったチームの勝ちとする。ルールは武器の使用は有り、魔法の使用ももちろん有りだ。制限時間は1時間それでも決着がつかなければ引き分けとする。何か質問はあるか?」
そこでアレクが手を挙げ2つ質問をした。
「先生、引き分けの場合決勝はどうなるんですか?」
「その場合は両チーム敗退とみなし第2試合が決勝となる。まぁ、無いとは思うが両試合引き分けだった場合は後日仕切り直しだな」
「なるほど、それともう1つ武器と魔法の使用が許可されていますが森はどの程度破壊してもいいのですか?」
「それは破壊する気満々ってことか?面白い。それに関しても心配するな。森は特殊な魔力結晶で囲まれている。その効果で破壊しても1時間もすれば草木は元通りだ」
「わかりました、ありがとうございます」
「他に質問が無いなら移動を始めるぞ。移動後初戦のAチームとBチームは事前に提出した自チームの陣地に向かえ」
そうして俺達Aクラスは学院が管理する森へと移動を始める。
俺達は会場である森に着くとその後自分達で事前に決め提出しておいた陣地に向かいそこで作戦会議を始める。
「事前に決めていたように攻めは俺とレオで担当する。旗の防衛はアリシア様とダリスに任せる」
「はい、任せてください!」
「防衛戦なら俺の得意分野だからな、任せとけ!」
「頼んだぞ。サリーには2人より前で旗を防衛しつつ的がそちらに移動したら対応してくれ」
「わかった」
「まぁ、旗が狙われないのが1番いいのだがな」
「その為に俺とアレクが攻めるんだろ?」
「ふっ、その通りだ。思いっきり暴れるぞ」
「あぁ、ある程度近づけば俺の魔法で相手の居場所はだいたいわかるからね。見つけ次第報告するよ」
そして俺達は各々自分の持ち場に就いた。その数分後先生の声が森に響き試合の開始が告げられた。
先生の合図と共に俺は体に身体強化をかけ光魔法を纏う。アレクはと言うと上空に土塊を作りだしそれを風魔法で浮かせ上に乗りまっすぐに飛んで行った。
(全くあいつのやることは本当にめちゃくちゃだな。)
そうして俺もアレクに続き森の中を駆け抜ける。
レオが走り出して数秒後、魔力探知に複数の魔力が現れる。
俺のすぐ近くにある魔力はアレクのだからこの奥にある2つの反応は敵チームの人か
「アレク、前方20mの辺りに2人敵がいる」
「恐らく茂みかどこかに隠れて不意打ちを狙っているのだろう。頼めるか?」
「あぁ、そろそろ暴れて相手の注意を引かないとね」
「わかった、俺はこのまま敵陣地を探す。そこに敵がいたのならそこまで距離は遠くないだろう」
「了解、任せたよ」
アレクと通信を終えると敵の魔力反応がさっきよりも近くなっていた。そろそろかな。
レオはその場で止まり腰に差していた1本の長剣を抜いた。
「とりあえずこの辺一帯切っちゃっていいかな」
そう言ってレオは右手に持った長剣を真横に構えその場を切った。レオが剣を振り切った数秒後、半径50mの空間にあった草木が全て同時になぎ倒される。それを上空で見ていたアレクは。
(全くあいつのやることはいつもスケールが違うな。)
と、レオと同じような事を思っていた。
「よし、これで視界がだいぶ良くなったな」
レオが破壊した森の1部には木に隠れるようにして敵チームの男子が2人居た。その後突然森の1部が破壊されたのに気づいたのか敵チームの人間が2人レオの方に向かっていた。
「あ、アレク、魔力探知にまた新しい反応が2つかかった。多分その先に敵の陣地がある」
「わかった、方向は?」
「今のアレクの位置から左斜め前に真っ直ぐ」
「了解した」
そしてアレクは土塊の進行速度を上げた。すると少し進んだところに敵の陣地が見える。守備の数は1人。アレクは威嚇代わりに魔法を1発放った。
「落ちろ、『雷神の鉄槌』!」
その詠唱と共にアレクの眼前に人間大の黒雲が発生し敵陣地の前方に上空からとんでもない魔力量の雷魔法が放たれる。
アレクの魔法が当たった地面は黒く焦げており魔法と同じ大きさの深い大穴が空いていた。その前に旗を背にした敵チームの人間がいたがどうやら想像もしていない方向からの強大な攻撃に驚き動けなくなってしまったらしい。
「なんだ、少しやりすぎてしまったか?」
「そこまで!勝者、Bチーム!」
そうしてアレクが敵チームの旗を取りそれを確認した先生の宣言により第1試合の勝者は俺達Bチームに決まった。
面白いと思った方は評価とブクマをしてもらえるとやる気が出るので是非お願いします!m(*_ _)m




