百二十八話 メンバー決め
パタンッ
「よし、全員揃ってるな。えー、皆知っての通り体育祭が二週間後まで迫っている」
そうして、教壇に立ったメルト先生は出席簿を閉じて授業の内容を話し始めた。と言っても、今日の一限はメルト先生も言った通り、二週間後に迫っている体育祭の出場メンバーを決めるらしく、授業らしいことをする訳ではないみたいだ。
「という訳で、まずは競技説明からだ。ざっくりとだが種目の出場人数と競技内容は黒板に書いておいた。少し時間をとるから全員一度読んでくれ」
メルト先生の指示に従い黒板を見るとそこには六種目分の説明が書かれていた。
個人種目
障害物競走 一人
競技は特設フィールドにて行う。制限時間は1時間、魔法や魔装の使用可。時間内にゴール出来なかった者は失格となる。その他難しい説明は無し、とりあえず森を抜けろ!
借り物競争 二人
同じく魔法や魔装の使用可。借り物競争と言ってはいるがお題を自身がその場で持っているのであればそれも有効。個人種目ではこの競技のみ、参加者は男女一人ずつ。ゴールをしてもお題通りの物でないと判断された場合は失格。
的当て 一人
指定のラインから80m離れた的の中心へ正確に魔法を当てる競技。魔装の使用はもちろん自由。中心から魔法が当たった位置との距離でポイントが決まる。的に届かなければポイントは0、多少の破損なら問題無いが魔法の当たった位置が判定不可能な程に的を大破させた場合は失格。
トーナメント戦 二人
その名の通り一対一のトーナメント戦。制限時間は10分、相手を場外にする、もしくは戦闘不能にすれば勝利となる。
団体種目
綱引き 全員参加
学年別、クラス対抗の綱引き。魔装の使用不可、魔法は攻撃、妨害以外の身体強化や、身体能力を上昇させるものに限り使用可能。
リレー 四人
指定されたコースを一人一周ずつ、計四周行う。綱引き同様魔装の使用は不可。攻撃、妨害系以外の身体強化や能力上昇系の魔法に限り使用可能。コースアウトした場合は失格。
(なるほど、今朝サリーが言ってた人数の違いって言うのはこういう事か。種目数が少ないから各競技に出る人数が多いと思ってたけど、まさかその逆とはな)
普通なら多くの種目に一人から三人程度が出場して、クラス全員が一つの種目には必ず出るところを、この学園では競技数を少なくして一つの競技に多くの生徒が出ると思っていたが、そもそもクラス全員が出るという訳では無いらしい。そこがサリーの言っていた他の学校とは人数が違うという点なのだろう。
「先生、質問いいですか?」
そう言って手を挙げたのは隣の席に座るシンだった。
「おう、いいぞ。俺が分かる範囲なら答えてやる」
「トーナメント戦の戦闘不能にの所、具体的にはどの程度までならいいのかなと思って。当然、戦闘不能であればどんな状態でもいいって訳じゃないですよね」
(シンが言いたい事を要約すると、どのラインまでなら有りなのか……と言う事だろう)
戦闘不能と言う言い方であれば、極論相手を殺してしまってもそれは戦闘不能の内に入る。だが、学院の行事でそんな事は当然許されてはならない事だ。だからこそのどのラインまでならいいのか、この場合相手を気絶させるのは有りなのかと言う方がわかりやすいだろうか。
「嗚呼、もちろんそうだ。厳密なルールを言えば気絶は有り。ただし、対戦相手の生活に長く支障が出るような攻撃によっての気絶は無しだ。例えるならば、四肢の切断や身体の部位の欠損、出血多量とかな」
「なるほど、分かりました。その辺の力加減も見極めろって事ですね」
「そういう事だ。他に質問のある奴はいるか?」
(質問か……俺が気になったのもシンの質問したところぐらいだし、他は特に無いな)
その考えは周りのクラスメイトも同じのようで、それ以上手が上がることは無かった。
「いないみたいだな。それじゃあそれぞれの種目に着いて簡単に補足していくぞ」
そうして、競技説明は次の段階へと進んで行った。
「まず障害物競走だが……これに関しては特に説明出来ることは無い。制限時間以内に森を抜ける、やる事はこれだけだ。次に借り物競争だが、これの判定がちょっと面倒でな。ここに書いた通りその場で持っているのであれば有効ってのは簡単に言うと、お題が何か物であれば岩魔法や氷魔法で作った物でもその物本来の使用用途で使えれば有効って事だな」
(へぇ、借り物競争で魔法使用可能って言うのはそういう事か。てっきり身体強化で脚力上げたりするだけかと……でも、それだとさすがに簡単すぎるんじゃ……)
「こう聞くと簡単そうに聞こえるがもちろんお題の内容は物だけじゃない。何がお題として出されるかは当日にならないと分からんが基本的に魔法で作り出せるような物は少ないって思っていた方がいいな」
(なるほど、その辺はしっかり考慮してるって訳か)
「借り物競争に関してはこれぐらいだな。次は的当てだが、これについては大体黒板に書いた通りだ。詳しいルール説明なんかは練習の時でも本番の前にでも確認するだろ」
そんなこんなでルール説明も順調に進み、いよいよ最後の種目となった。
「最後はリレーだが、これも少しややこしくてな。黒板に書いた一周って言うのは校庭をただ一周するって事ではなく、リレー用にある程度距離を伸ばしたコースを一周してもらう。実際のコースは毎年変わるもんでまだ分からないが、例年通りにいくならカーブだけじゃなくて曲がる箇所も幾つかあるだろうな」
(曲がる? 多分カーブを曲がるって事じゃなくて右折とか左折って言うような事だよな。リレーでそういったコースはあんまり想像出来ないけど……どうなるんだ?)
「とまぁ、大体の説明はこんなもんだ。時間も無いし質問ある奴は授業の終わった後にしてくれ。それじゃあ早速出場メンバーを決めるぞ」
そう言ってメルト先生は黒板に書かれた文字を全て消し、新たに種目名を右から順に書いていった。
「一日目に行われる種目は障害物競走、借り物競争、リレーの三種目だ。複数の種目に一人の生徒が出ることも可能だが、移動なんかの関係もあって障害物競走に出る奴は一日目の種目には参加出来ない。そこは把握しておいてくれ」
(事前に別会場の森に移動するって事は、それなりに距離があるって事だろうし、現実的に考えて競技が終わった後一日目終了までに学院に戻ってくるって言うのは無理だもんな。空間魔法でも使えれば別だけど)
「特設フィールドが森って言うのは少し気になるね」
「お、シンは障害物競走が気になるのか?」
「そうだね。自然の障害物がどんなものかも見てみたいし」
(まぁ、普通に生きてれば森を駆け回るなんて経験しないだろうし、興味が引かれるのも分かる気はするけど。それを差し引いても事前に移動しなきゃいけないのは面倒だな。自分で移動するならまだしも、周りの目があると空間魔法も使いづらいし)
「それじゃあ早速聞いていくが、立候補者はいるか?」
メルト先生がクラス全体へそう尋ねるが、一向に手が上がる雰囲気は無い。
「あれ、意外と人気低いのか? もう少し手が上がると思ってたけど……」
「移動の件もあって、この種目は毎年人気がないみたいだぞ」
俺のつぶやきに対してそう答えたのはシンとは逆の隣に座るアレクだった。
「なるほどねぇ、皆考えることは一緒って事か。シンはどうするんだ?」
「そうだな……誰か他に立候補者が居るなら譲ろうと思ってたけど、居ないなら――」
そう言うと、シンはメルト先生が進行を進める前に手を挙げ、立候補をした。
「よし、それじゃあ障害物競走は決まりだな。時間も無いしどんどん次行くぞー」
そうして、少し時間が押してはいるものの、メンバー決めは順調に進んでいった。と言っても、最後の方は推薦からの名前の上がった生徒同士によるジャンケンで決めたりもしたが……最終的な各競技の出場選手はこうなった。
障害物競争 シン
借り物競争 レオ、サリー
的当て サヤ
トーナメント戦 レオ、アレク
リレー アレク、サリー、バーン、ルイ
二種目に出場する俺とアレクに関してはジャンケンで負けたことにより、お互い不本意ながら借り物競争とリレーに出ることが決定したものの、本命のトーナメント戦にも何とか出場が決まり一安心と言ったところだ。
本番まであと二週間。高等学院生活初の体育祭が始まろうとしていた。
バーンとルイと言う名前が気になった方は、第一章の入学式辺りと第二章、四代魔法学院対抗戦 前編を読み直していただけるとチラッと出てきていたりします。
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以下タイトル
「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
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