百二十五話 浮かび上がった謎
――ギギィィィィ――
「おぉ、ここが宝物庫……って、あれ?」
「なんか……想像してたのとは違ぇな」
最深部に着いた俺達は、重厚な壁を男二人で開け、宝物庫へと入ったのだが、そこに広がっていたのは光景はやや想像とは違うものだった。
「もっと金ピカのお宝ザックザク〜みたいなのを想像してたんやけどなぁ」
「迷宮の宝物庫なんてこんなもんやで。迷宮攻略に来る人のメインは魔物や主の素材やから。サクラは来たことないから知らんのも仕方なしやわ」
(そう言えば、シンも学院で話してる時主の素材で魔装が作れたりするって言ってたな。あれ、だけど……)
「なぁ、一つ確認しときたいんだけど……」
「どないしたの、レオ君。何か気になるものでもあったん?」
「いや、そうじゃなくて……多分さっきアレクが倒した魔物がこの迷宮の主だよな」
「十中八九そうやろな。単純な強さとか面倒くささをふまえてもあれが主で間違いないと思うで。迷宮は何があるか分からんけど、宝物庫の先に魔物が出たなんて聞いたことないからなぁ」
(そう、だよな……)
「それじゃあ……誰か主の素材って拾ったか?」
「主の素材……?」
「うちは拾っとらんなぁ。あの魔物とは最初の攻撃受けたっきり、ほとんど戦ってないし」
「うちもそうやなぁ。アレク君もすぐに倒れてしもうたから、拾ってる時間はなかったやろし」
(やっぱりか)
「さっきの言い方的に、カエデは他の迷宮に行ったことあるみたいだから聞きたいんだけど、主の素材が落ちなかったり、跡形もなく消し炭にした場合落ちないってことはあるのか?」
「その質問に関しては、分からんとしか答えられんなぁ。さっきも言った通り、迷宮は何があるか分からし……それに、主を跡形もなく消滅させるなんて常人じゃできんからなぁ」
主の素材が落ちないなんて聞いことも無いが、この迷宮が初かもしれないし。……とカエデは最後に付け足し、説明した。
「そうか……」
(まぁ、シン曰くこの迷宮は他の迷宮と比べても少し変わってるみたいだし、あまり気にする事でも無いのか?)
「とりあえず、この件に関してはまた後で考えよう」
「せやね、想像してたんとは違うけど、掘り出し物は多そうやし。ぱぱっと気に入ったもん見つけて皆の所に戻ろか」
「嗚呼、あんまり待たせても悪いしな。よしっ、さっそく漁るぞぉ!」
そうして俺達は、宝物庫を片っ端から探索し始めた。
▲▽▲▽▲▽▲▽
「レオ達、遅いですね」
「えぇ、もしかしたら主に手こずっているのかもしれませんね」
(レオ達なら負けるような事は無いと思うけど、逆にあのメンバーで手こずる相手が居るほうが驚きだ)
「シン、皆が心配?」
「そうだね……少し心配かな。それこそ、迷宮は何が起こるか分からないし」
「アリシア、大丈夫かな……」
「心配いりませんよ。レオ君がそばに居る限り、彼女に身の危険が迫るとは考えづらい」
迷宮の奥で別れた友人の身を案じながら、シン達がそんなやり取りをしていると、後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「すみません、皆さん。おまたせしました」
「その声……え、嘘、アリシア!? それにアレク君も、どうやってここに?」
「色々あって、レオの転移門で送ってもらってな。先に戻ってきたんだ」
サリーの疑問に答えたのはアリシアの後ろか着いてきていたアレクだ。
「送ってもらってことは、レオ達はまだ下なのかい?」
「はい、レオ君達は宝物庫を見てから戻るみたいです」
「迷宮主と思われる魔物は倒した、宝物庫を漁るだけならあまり時間もかからないだろう」
「そうですね……それよりアレク君、君は少しの間でも休んでいた方が良さそうだ。状態を見るに、かなり消耗しているでしょう」
「回復魔法はかけてもらったんですが、やっぱり見抜かれるか」
「確かに、動ける程度には回復しているみたいですが、魔力切れで倒れたのならまだ万全ではないでしょう」
魔力切れの事まで見破られ、アレクは諦めてグレンの言葉に従う。
「君が魔力切れする程の魔物が出てきたのかい?」
「そうだな。原因は他にもあるが、かなり手強い相手だった」
「へぇ、興味があるね。帰ったら是非、聞かせてもらいたいな」
「また後で学院でな。今日はさすがに疲れた」
「そっか、それなら仕方ないね」
何とかシンからの質問攻めを回避したアレクは柱へともたれかかって、休憩をとった。
「あの、アリシアさん。戻ってきたばかりで申し訳無いのですが、カエデさん達は……」
そう、アリシアに尋ねたのは、こちらも二人の帰りを待っていたユキノとシロウだった。
「はい、カエデさんとサクラさんもご無事です。今はレオ君達と一緒に宝物庫に行っているので、もうすぐ帰ってくると思いますよ」
「そ、そうですか、良かった……」
「あの、サクラさんが迷惑かけたりしなかったですか? 他国の王女様に何か無礼なことをしたとあったら……」
「そんな、迷惑だなんて……サクラさんのおかげで手強い魔物も倒せましたし、感謝しています。あ、でも……」
「で、でも……?」
「少し……お話はしないといけないですね」
「す、すす、すいませんでしたぁっ!」
アリシアから放たれるあまりにも冷たいプレッシャーに恐怖を感じたシロウは、またあの人が何かやらかしたのではないかと思い至り、すぐさま頭を深く下げ謝罪をした。
「うわ〜、アリシアすっごく怒ってる。またレオ君絡みで何かあったの?」
「さあな。休憩中何やら話していたみたいだが、詳しい事は何も知らん」
「そっかー、これは戻ったらレオ君を問い詰めないとだね」
「それが一番手っ取り早いな」
「ふふっ、彼もなかなか苦労しますね」
そうしてアレク、サリー、グレンの三人は目の前で繰り広げられる面白い光景を肴に談笑をしながら、四人の帰りを待つことにした。
次回で第6章最終回! ……になるように仕上げます。(長くなったら分けるかも)
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「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
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