百二十二話 迷宮攻略⑩
お待たせしましたm(*_ _)m
「はぁっ!」
ザンッ!
「ゲゲェーッ! ……ゲッ、ゲゲ」
(やっぱりか。手応えはあるけど再生する……と言うよりは、呼吸は止まってるけど肉片がくっついて、生まれ変わってるって感じだな)
「全身をバラバラにしてもダメ、首と胴を切り離しても効果無し。さて、どうするか……」
(肉片が残らない程に切り刻むか? いや、俺の技術力じゃ現実的じゃないな。多分切ってる間にくっつき始めるだろ。破壊魔法はそもそも生命体を絶命させることは出来ないし、例え相手が生命体じゃなくても塵になるまで破壊なんてできた試しがない)
「となると、身動きが取れないように拘束するしかないか。魔法で拘束するならあんまり長時間は持ちそうに無いけど、あの魔物を倒す間ぐらいなら……」
「だいぶ手こずってるみたいやなぁ、レオ君」
「サクラ! もう動いて平気なのか?」
「言ったやろ、そこまでダメージも入っとらんって。ポーションも飲んで、少し休憩もさせてもろたんやしうちも役に立たんとな。それに……あの魔物はうちとの相性も良さそうやしなぁ」
「サクラ……分かった。でも、あんまり無理はするなよ」
確かに、サクラの火魔法とあの魔物の相性もはいいかもしれない……そう考えたレオはサクラの協力に答えた。
「えぇ、気ぃつかってくれてありがとな。それじゃあチャチャッと済ませよか」
「嗚呼。とりあえず俺があいつの動きを止めるから、最後は任せた!」
「えぇ、任せとき!」
サクラへトドメの一撃を託すと、レオは地面に両手を着き魔 物下、足元へと意識を集中させる。
「闇魔法『黒沼』」
「? ゲッ、ゲゲェッ!」
一瞬、何が起きたのか理解が遅れた魔物だが、自分の体が突然足元に現れた黒い陰へと沈んでいる事に気づく。その隙を付くかのように、レオはさらに右手に光の輪を生み出し畳み掛ける。
「『光輪・縛』」
「グゲェッ!」
黒い影から抜け出す事に必死で、頭上まで迫った光の輪に気づきすらしない魔物は、そのまま光の輪に頭を通り抜けられまんまと拘束されてしまう。
(よし、これで動きは封じた。後は……)
「サクラぁ!」
「ふふっ、さすがはレオ君。うちが惚れた男の子。期待以上の仕事やね」
そう呟いたサクラは鞘に収められた刀を握り、居合の体勢をとる。それは、サクラの使用する魔法の中で最大威力の攻撃。
「ミヤシロ流剣術・奥義『爆焔双葬』」
サクラが詠唱をした瞬間、詩を歌うように儚く唱えられた詠唱からは想像できないほど多くの魔力が、構えた刀に収まりきらずに紅蓮の炎のようなオーラとなってサクラを包んだ。
その激しさはただの魔力にも関わらず近くにいたレオに空間内の温度が数度上がったように錯覚させるほどである。
「すぅーっ、……はっ!」
大きく一度息を吸い、それを短い言葉と共に吐き出した直後、抜刀された刀は目にも止まらぬ速さで弧を描き魔物に一撃、二撃と攻撃をくらわせた。
「これで、しまいや」
「ゲ、ゲゲッ、ゲッ?」
スーッ、キンッ
サクラの一言と同時に刀が鞘へ収められると、それを合図かのように、魔物の体は切られた箇所から燃え広がる炎に包み込まれ一瞬の内に灰へと姿を変えた。
「ふぅ、これで終わってくれるとええんやけどな」
「今の攻撃でも無理ならもうお手上げだよ。って言っても、どうやらその心配はいらないみたいだけどな」
疲れた様子のサクラに並ぶように、隣へやってきたレオの目線の先には、先程までのように魔物が復活する気配はない。
「はぁ〜、なら良かった。これでこっちは一段落やね。けど、またすぐにカエデ達の方に合流せんと」
「いや、サクラはアリシア達と一緒に休んでてくれ。今の攻撃でかなり魔力も体力も使っただろ」
「でも……」
「さっきも言っただろ、無理はするなって。面倒な奴は倒してもらったし、あとは俺達に任せてくれ」
「ふふっ、分かった。ほなお言葉に甘えて休ませてもらうわ。レオ君も気ぃつけてな」
「嗚呼、それじゃあ行ってくる」
そうして、レオはサクラと別れ、少し離れた位置で未だ戦闘を続けているアレク達の元へと向かった。
▲▽▲▽▲▽▲▽
「いやいや、ちょっと待て!」
(一体何がどうすれば少し目を離した隙にこんな事になるんだよ!?)
「あら、レオ君がこっちに来てるっちゅうことはそっちはもう終わったん?」
「あ、あぁ、サクラのおかげで何とか……って言うより、俺はこの状況を説明して欲しいんだけど?」
そう言って、レオが指を指した先に広がっていた光景は水たまりが溜まるほどの雨の中、あの厄介な魔物を素手で蹂躙しているアレクと言うなんとも恐ろしいものだった。
「見たまんま。突然何か閃いたかと思えば、水魔法で魔物を中心に一帯を雨にしてしもうたんや。そうして今のこの状況って感じやね。ホンマに、どんな発想と魔力量してればこんなことができるんやろなぁ」
「じょ、状況は分かったけど、それなら尚更加勢して早く倒した方がいいんじゃ……」
「やめとき。今言ったらレオ君と言えども巻き添え食らうで。あそこはもう、あの子の領域や」
「領域? 何言って……っ!」
カエデの言葉に違和感を感じたレオが再度アレクの方に目をやるとある事に気づく。
「そうか、感電か!」
「感電? 関電ってあの、体に電気が流れる?」
「嗚呼、って言っても実際はもっと複雑なんだけど、とりあえずその解釈で間違いない」
「その感電と今の状況になんの関係があるん?」
「まず大前提として水は電気を通しやすいっていう性質があるんだ。その分水に濡れたものは感電しやすい。今魔物の動きが止まってるのも、多分それが原因だな」
「なんか、難しそうな話やなぁ〜」
「理解しちゃえばそうでも無いよ。ただ、今この場で説明してる時間は無さそうかな」
(今あの場に踏み込めば、カエデの言った通り魔法を発動しているアレク以外巻き添えを食らう可能性がある。そうなったら足でまといになるだけだ。でも、アレク一人に任せる訳にはいかない。俺に何かできることは無いのか!)
「クッ……!」
現状で、自分には何も出来ないと言うことを実感し、悔しさから両手を握りしめるレオ。そんなレオを見て、隣に立っていたカエデが口を開く。
「……はぁ、あんなぁレオ君。友達だから気ぃ使うんは分かるけど、少しアレク君を信じてやってもええんやないの?」
「え……?」
「確かに、何も出来ずに見てるだけって言うんは悔しいだろうけど、こう言うのは適材適所や。できる人に任せたらええんやない?」
「でも、それじゃあ何の役にも……」
「そんなことあらへん。レオ君はサクラちゃんと二人でもう一匹倒してるやろ? それに、ここへ来るまで他の皆もレオ君には助けられてるはずやしな」
それにここでも活躍されたら、うちらの方が見せ場なくて困ってまうよ? と、カエデは軽いノリで付け足す。
「それに、男の子ってめんどくさいやろ? 変なところで負けず嫌いで、意地っ張りで、隠してはいるんやろうけどすぐに熱くなって。多分、今のアレク君もそうなんやと思うで」
「アレクが?」
カエデの言ったその言葉は、レオの知る普段のアレクからはあまり想像できないものだった。
(あいつはいつも頼れて、クールで、たまに熱くなる時もあるけど仲間思いの良い奴だ。でも、もしかしたらそんな行動一つ一つの裏にカエデが今言ったような感情があるのかもしれない)
「今回の迷宮を攻略していく中で、レオ君やら勇者くんの活躍を間近で見てたら、いつの間にかアレク君にも火がついてたんやろなぁ。アレク君って普段そういう熱苦しい感情とか表に出さなさそうやし」
(確かに、あいつが張り合ってくるような事って、魔法の実技の時以外あんまり無いかもな)
「そっか……なら、せっかくの見せ場を奪っちゃ悪いな。それにアレクが一人でやるって決めたんなら何か策があるはずだ」
「そうやね、雨降らす前にチラッとレオ君達の方見てたみたいやし。ここは大人しく見守ってよか」
「嗚呼」
(アレク、頼んだぞ)
「……」
※補足 最後の一行はアレクの物です。
なんかアレクの方が主人公っぽくね?とか思いながら書き上げた第百二十二話。次回、一体どうなる!?
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これとは別の作品もここ半年近く更新できてはいませんが、こっちを優先しているだけで続きの内容は少し先までできているのでもうしばらくお待ちください!
以下タイトル
「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
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