百二十話 迷宮攻略⑧
更新が遅くなってしまい申し訳ありませんm(*_ _)m
「グルルルル……」
「まさか、あれは……っ!」
「アレク、もしかしてあの魔物のこと知ってるのか?」
「嗚呼、あいつは……」
アレクが何かを言おうとしたその時、魔物の拳は燃え上がり、大きく振り上げる。
「二人とも! 来るで!」
「「っ!」」
「グォォォッ!」
ブンっ!
「サクラ!」
「わかっとる!『ミヤシロ流剣術・守備の太刀 焔裂き』」
カエデの合図より早く動いたサクラは、レオ達と魔物の間に割って入り、その一撃を刀を盾にして全身で受け止めた。
カタカタカタッ!
「クッ……!」
「ゴァァァッ!」
「……ッ、キャッ!」
ドゴォッ!
「サクラァ!」
その間僅か数秒、敵の拳を止めに入ったサクラは攻撃の威力に耐えきれず、身体を吹き飛ばされ扉へと叩きつけられる。
「ゴホッゴホッ」
「サクラ、立てるか!?」
「何とか……身体強化が無かったら今ので死んでもうてたわ」
そんやりとりをする二人の元へアリシアが駆け寄ってくる。
「サクラさん! 大丈夫ですか!? すぐに回復を……」
「大丈夫、火は当たっとらんし、受け身と身体強化のおかげでダメージもそれほど受け取らんから。あんたの魔力はまだ温存しとき」
「でも……分かりました、ならこのポーションを使ってください」
「えぇ、ありがとうな」
「良かった、とりあえずは大丈夫そうだな。アリシア、サクラを頼む」
「はい、任せてください」
(サクラはポーションを飲めば復帰出来る。と言ってもあの威力だ、無理してるだけで想像以上にダメージが入っていてもおかしくは無い。あんまり無理はさせられないな)
「それじゃあ、俺がその分働くしかないな」
一人決意を固めたレオは愛剣を取り出し、魔物へ向かって突進していく。
(くらえ、光魔法+空間魔法の光速攻撃!)
「『加速超越』」
レオが詠唱をすると走る速度は光速となり、瞬きの間に魔物の頭上へと移動をしていた。
「『ルイン・アグレッシオ!』」
ズドォッ!
「ちっ、外したか」
死角からのレオの攻撃は頭上を捉えたかに見えたが、魔物は攻撃をギリギリで交し、何とか致命傷を避ける。
「それでも、尻尾と角一本は貰ったぞ」
(これで少しは攻撃力が落ちてくれればいいんだが)
「グォォォッ!」
「うおっ!」
バシャッ!
あまりの速さに痛みが遅れてやってきた魔物は突如暴れだし、周囲に血を撒き散らしながら両腕を振り回す。
バシャッ! ジュッ!
「ッ! まてまて、それは反則だろう……」
その時、魔物の血が跳ね溶けた床を見てアレクが気づく。
「レオ、カエデ! こいつの血に触るな、毒で皮膚を溶かされるぞ!」
「なんやて!?」
「なっ、そんなのありかよ!」
レオは腕によるめちゃくちゃな攻撃と降り注ぐ全てが毒である血の雨を何とか掻い潜りアレク達と合流をする。
「毒って、どうするんだ? 下手に攻撃もできないぞ」
「床とか壁に跳ねたんは溶かして直ぐに消えてるけど、それでもまたデカいのが入れば毒の雨やね」
「嗚呼、幸いある程度時間が経てば血は止まる。歩くのにも危険は無い。問題は血を出させずにどうやって倒すかだ」
(今みたいな辺り一帯に血を撒き散らす程のダメージを負わせなければ、何とかいけるか?)
「今までの敵は再生したり硬かったりで倒しづらかったけど、今回のは再生する訳でも硬いわけでもないのに違う意味で倒しづらいなぁ」
「カエデの言う通りあいつには再生も強度も無い。だからこそダメージを受けやすく毒でこちらの動きを制限しやすいということだろう」
「これは面倒な相手だな。攻撃は強力だしダメージ与えれば危険って……そうだ、アレクはあの魔物のことなにか知ってそうだったよな? 何か解決策は無いのか?」
(アレクはあの魔物を見た時妙に驚いてた。てことは少なからず俺やカエデよりはあの魔物について詳しいはずだ)
「嗚呼、あの魔物自体はな。恐らく奴は悪魔と呼ばれる魔物だろう。だが、魔物の種類が分かるだけで血が毒だなんて言うのは初耳だ」
「そっか……まぁ、仕方ないな。最悪の場合アリシアの回復魔法とグレンさんに貰ったポーションで対処しよう」
(見たところかなりのダメージは受けそうだけど腕がちぎれて無くなったりはしなさそうだし、痛みに耐えられればあとはポーションと回復魔法で何とかなるはずだ)
「了解、ひとまずレオ君はダメージを与えすぎんように攻撃頼むわ」
「血が吹き出す程のダメージを相手が負ったとしても、ある程度は俺とカエデで対処する。だが、あまり過信はしすぎるなよ。弾ききれない分は自分で避けろ」
「分かった、少し防いでもらえるだけでもかなり有難い。それじゃあ早速頼むぞ!」
「任せろ」
「そっちも頼むで」
素早く作戦を立てると、三人は各々最善を尽くすための位置へ散らばった。
(二人が防いでくれると言っても、さっき以上の量が出れば相当不味い状況は変わらない。それで倒せたとしても相打ちは避けたいからな)
「とりあえず、思いついた事を試してみるか『付与』」
レオが詠唱をすると、手にした剣の刀身が淡い灰色の光で包まれる。
(作戦その一、時間魔法で傷口の活動を遅らせる!)
「せあっ!」
ズバァッ!
短い掛け声と共にレオが剣を振るうとその一撃は悪魔の赤い身体へ大きな傷をつける。しかし――
ブシュッ!
「ちっ! だめか……!」
(出血量はさっきよりも少ない。それに出血するまでにも少しの時間は開いた。けど、それでもたったの数秒だし、悪魔の近くにいれば血も当たるな。二人と距離が離れている分血を防いで貰えないって考えれば、こっちの方が最悪だ)
「っと、うだうだ考えたても時間の無駄だな。気を取り直して次だ」
(作戦その二、創造魔法で物理的に傷を塞ぐ)
「直接塞ぐなら氷か……いや、氷は溶け時出血するかどうかいまいち分からない。なら……岩か」
(いや、待てよ。岩じゃなくてあれなら……よし、やってみる価値はあるな)
そうしてレオが思考を巡らせていると痺れを切らした悪魔が雄叫びをあげる。だが、攻撃をするような素振りは無い。
「グォォォッ!」
「攻撃をしてくる訳でもない。一体何だ?」
そう考えるのもつかの間、突如レオの視界に広がる光景が変わる。
「暗く、なった?」
「……っ! レオ、上だ!」
「上……っ! おいおい、まじかよ……」
バサッバサッ
「ゲェー!」
「ゲゲェー!」
(こいつら、どこから現れやがった!)
アレクの声で頭上を見上げたレオ。そこには、灰色の身体に翼を生やした無数の魔物が、気味の悪い鳴き声で笑っていた。
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「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
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