百十九話 迷宮攻略⑦
お待たせしてしました。
――十階層――
「ここが十階層……なんや暗くてよう見えんなぁ」
「確かに、これじゃあ前も見えないし明るくするか」
「嗚呼、頼む」
暗闇の中、レオが他の5人より半歩前に出るとその周囲を照らすかのように数えきれない程の光の粒子が現れた。
「これで辺りは見えるな」
「そうですね……っ! レオ君、あれ」
「? あれは……扉?」
暗闇が晴れると、レオの隣に出たアリシアがその異質な存在に気づく。そこにあったのはこれまでの階層でも目にしてきた大きな扉だった。
「見たところ、これまでにもあった最深部の扉と同じようだな」
「つまり、十階層に入ってすぐボス戦って訳やね」
「おいおい、てことはもしかして……」
「嗚呼、間違いなくここが最後の層だろうな」
この扉の先が本当に最後だとするとこれより深く迷宮が繋がっているのは考えづらい。多分十階層はこの部屋だけの階層なんだろう。
「アレク、一旦ここで休憩しよう。この場所にモンスターが出てこないなら多分この階層にいるモンスターは扉の先の奴だけだ。休めるのはここしかない」
「そうだな、前の階層主との戦闘で想像以上に魔力も体力も削られた。あまり長い時間は休めないが少し休憩にしよう」
「それなら皆さん私の所へ来てください。一人ずつですけど回復魔法で体力も少し回復出来ると思います」
そうして俺たち五人は順番に回復魔法をかけてもらい、終わった奴から各々休息をとった。
「はぁ、にしても疲れたわぁ〜。次は一体何が出てくるんやろか」
「八階層が狼で九階層タコ。パッと思いつくのは陸に居そうなモンスターと海に居そうなモンスターって事ぐらいだけど」
「なら、次は空ですかね?」
「それはちょっと安直すぎやない? 陸海空と見せかけて次も陸かも」
「陸海ってきたのがたまたまってパターンもありそうだしな。けど、まだ空の生き物の可能性だって捨てきれない」
(そもそも、迷宮にそんな法則性があるのかも分からないし挑戦者の思考を読んだ内容になるってのもおかしい気はするけどな)
「そうですよ、レオ君もこう言ってますし、やっぱりまだ空の生物の可能性だってあるんですから」
「む〜、レオ君はどっちの味方なん?」
「どっちのって……今は皆味方だろ」
「それもそうやけど、そういう事やなくて!」
「お前らなぁ……リラックスするのも良いが程よい緊張感は持てよ」
「あ、あぁ、悪い」
そんなやり取りをしていれば離れた位置に座っていたアレクに注意されてしまったではないか。
(いくらアリシアに回復してもらったとはいえあいつもさっきの戦闘でかなり体力を削られてるはずだ。少し静かにしてやらないとな)
魔力は魔力ポーションで回復出来るものの、体力に関しては回復魔法で多少回復できる程度。レオの予想通りアレクの体力は先の戦闘で回復魔法を使ってもあまり変わらないほどに消耗していた。
「……レオ、そろそろ行こう」
「えっ、もういいのか?」
「嗚呼、時間は有限だからな。皆ももういいか」
「えぇ、構いまへん」
「俺も行けるぜ」
「……分かった。お前が大丈夫なら行くか」
そして、俺達は扉の前へ集まり最終確認を開始した。
「配置は変えず、これまで通り俺とサクラが前衛、中衛はアレクとカエデ、後衛はアリシアとダリスの二人でいいか?」
「問題無い、敵が分からない以上細かな所は臨機応変に対応しよう」
「これが最後やと思うと腕が鳴るな〜」
「まだ確定した訳やないんやから、油断したらあかんで」
「だが、ここで最後の可能性はかなり高い。全力でいこう」
そうして俺達は、十階層最後の部屋に繋がる扉へ足を進めた。
▽▲▽▲▽▲▽▲
「……っ! グレンさん、あれって」
「えぇ、どうやら地上に戻ったみたいですね」
「え、もう? 迷宮を進むのはあんなに時間がかかったのに」
「直通だからでしょうか、一本道を進んだ場合こんなに早く到着するなんて思ってもいませんでした」
「迷宮の多くはこういう物ですよ。……ここで止まっていては他の通行者の迷惑にもなりますし、早く地上に出ましょう」
「そうですね」
その時――
ゴゴゴゴゴッ
「な、なんだぁ、これ!?」
「一体何が起きてるんだ!」
突如迷宮が大きく揺れ始め、周りの通行者達も騒ぎ始める。
「グレンさん! これは何なんですか!」
「下で何かあったのでしょう、皆さん揺れが収まるまでしばらく動かないように」
「それって、もしかしてレオ達が……」
「だとしても、戦闘の余波がここまで及ぶとは考えにくいです。もっと迷宮と繋がった何か……恐らく、扉が開いたことによる揺れです」
「扉……まさか、最下層?」
「可能性としてはそれが1番有り得ます」
(そうか、レオ達の方は順調みたいだな)
「収まりましたね。先に進んだ皆さんも上手くやっているようですし、私達も早く地上へ出ましょう」
「はい」
揺れが収まると同時に、シン達は立ち上がり目前に迫る地上へと帰還した。
▽▲▽▲▽▲▽▲
「にしても、この扉どうやって開けるか。さすがのダリスでも無理そうだし」
「そうだな、見るからに俺3人分ぐらいはあるだろ、この扉の高さ」
「……レオ君、ちょっと扉に触れてもらってもえぇ?」
「扉に? 分かった」
俺はカエデの指示通りに扉へと手を触れる。すると――
ゴゴゴゴゴッ
「うおっ! 何だこれ!」
「凄い揺れやね、キャ!」
「大丈夫か、サクラ?」
「えぇ、レオ君が支えてくれたから、何とか」
「レオ君、見てください。扉が!」
そう言ったアリシアの指差す先を見ると、大きな2枚の扉がゆっくりと開き始めていた。
「なるほど、触れた者の魔力に反応して開く仕組みだったのか」
「そうみたいやね。この手のもんは魔力に当たれば動くのが多いんよ」
「おっ、揺れも収まってきたみたいだぜ」
「よし、それじゃあ気を取り直して中に入ろう」
そうして、俺達は部屋の中へと入ったが辺りは暗く何も見えない。
「真っ暗で不気味ですね」
「そうだな、もう少し進んでみよう」
――と、レオが足を前に出したその時、壁に付けられた照明が次々と火を灯し、周囲を照らした。
「なんだ、急に光ったぞ?」
「尚更不気味だな……っ!」
「どうした、レオ?」
「アレク、居たぞ。……十階層のボス」
「何? 一体どこに……っ!」
レオの目線の先を見て、アレクを含む五人が薄暗い中に立つその存在に気づく。
「まさか、あれは……っ!」
そこには、二本の角に特徴的な尾、赤い体毛に不敵な笑みを浮かべた巨大な怪物が、その瞳孔を開きこちらを見つめていた。
□読んでくださった方へのお願い
この話が面白いと思っていただけた方は下の方からブックマークと☆の評価をお願いします。
読者様からの応援が励みになるのでどうかよろしくお願いしますm(*_ _)m
話は変わり、少し前から最新作の更新も始めました。もしよろしければそちらも応援していただけると有難いです。
以下タイトル
「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
https://ncode.syosetu.com/n5836ha/




