百十五話 休憩
お久しぶりです、お待たせしました。
――第七層・入口――
「到着っと、今回の階段は今までの階よりも長かったな」
「せやねぇ、そろそろ足も疲れてきたわ」
「お二人とシンさんは魔力もかなり使ってますし、この辺りで一度休憩しますか?」
「だな、シン達もそれでいいか?」
「嗚呼、問題無いよ。ちょうどここは魔物も出ないみたいだしね。俺はまだ少し余裕があるからしばらく辺りを見て回ってるよ」
「分かった」
そうして俺達は壁際へと移動ししばしの間休憩をすることにした。
「はい、二人ともこれ飲んで」
「ん? いいけど、これは?」
壁に寄りかかる俺とサクラに謎の黄色い液体の入った瓶をサヤちゃんが手渡してくる。
「ドラグリアで使われてる魔力ポーション。グレンさんが魔力消費の多いシンと二人に渡しておいてって」
「へぇ、神竜国の魔力ポーションはこんな色なんやなぁ」
「一般的に出回ってるのは赤いよな」
ドラグリアには長いこと居たけど、こんな物は見たことがないな。って言ってもずっと森の中だったし当然か。
「それは神竜国でしか生えない薬草を使った特別な魔力ポーションです。その効力は王都で出回っている物の数倍、1本でも飲めばレオくんの膨大な魔力量でも十分に回復するはずですよ」
(まじか、普通の魔力ポーションだと三本は必要何だけどな……)
ゴク、ゴク……
「ど、どうですか? レオさん」
「うーん、それと言って変わった事は無いな。けど、確かにいつもは数本飲まないと来ない満足感みたいなのがこれ1本で満たされた気はする」
(あと、強いて言うなら味が濃すぎるな)
「そうなんや。けど、レオくんの魔力量が回復しきるようなもん、ウチが飲んだら不味いんやないの?」
サクラの言う通り、常人であれば通常の魔力ポーションでも十分に足りる。逆に言ってしまえば、それ以上魔力ポーションを過剰摂取すると溢れた魔力を体が留めきれず、身体にダメージを与える危険性があるのだ。
「そうですね、サクラさんであれば半分程で十分でしょう。残った分は蓋を閉めて保存しておけば問題ありません」
「せやね、捨てるのも勿体ないし」
そう言ってサクラも瓶を開け、中の液体を飲み始めた。
「うぇぇ、効果が強いからか味も濃いなぁ。使ってる薬草が違うとこうも変わるもんなん?」
「えぇ、人族が使うのであればこのポーション1本分の倍の水で薄めるのがちょうどいいでしょう」
「何で先にそれ言ってくれんへんのぉ! この性悪っ」
「ふふっ、反応が面白そうだったのでつい」
この短時間で遂にサクラまでもグレンさんの悪戯の被害にあってしまったか……ご愁傷さま。
「にしても、レオくんはよくこんな物の平気で飲めたなぁ。反応を見る限りレオくんも初めてなんやろ?」
「そうだな……俺も味は濃いと思ったけど、多分似た様な味の物を食べた事があるからかな」
「似た様な味の物?」
「嗚呼、ドラグリアで修行してる時に拠点の近くにあった草を……っ! そうか、あの草がこれの素材だったのか」
「恐らくそうでしょうね。あの森はドラグリア内の森と同様の空間。生息している生物や植物も同じ物が多いでしょうから」
「なるほどな、レオくんはそれを食べた事があったからそんなに気にならなかったんか」
拠点の近くに沢山生えてて数少ない食べられる葉っぱ類だったからよく食べてたけど、確かに思い出してみればあの森では魔力が尽きかけたことすら無かったな。
「これ程のポーションの素材が生えてるって、一体どんな所で修行してたんですか……」
「その話、ウチも気になるなぁ」
「なら、後で時間のある時に話すよ」
「じゃあ、ここから出たらお願いな?」
「ここから出たらって、多分出る頃には外は暗いぞ。帰らなくていいのか?」
「どうせ日帰りでは帰れんし、元からどこかの宿で一泊していく予定やったから」
なるほど、そういう事ならいい……のか?
「ダメに決まってるじゃないですか。まだ泊まる所だって決まってないのにそんな時間は無いですよ!」
「そんなこと言うても、シロウだって聞きたいんやろ?」
「それとこれとは別です。確かに気になる話ではありますがまた今度でいいでしょう」
「えぇ〜やだやだ! 今日聞くぅー!」
「やだやだって、そんな子供みたいなこと言ってないでくださいよ」
これは……シロウも中々苦労してそうだな。
「それに、今日ここで会えたのもきっと運命や。ウチはレオくんに付いてくから!」
そう言うと、サクラは隣に座る俺の腕に自身の腕を絡める。
「またそんな勝手なことを……」
「そうだぞサクラ。俺達は転移門があるからいいけど、お前達はまだ宿もとってないんだろ? あと腕からめるなって」
俺とシロウで説得を試みるものの、サクラの意思は固いのか中々折れてはくれない。これは時間がかかりそうだな。
「そう言えばシンは? 中々戻って来ないけど」
俺がサクラの説得を一旦諦め、シンを探すと視界の外から当の本人の声が聞こえてくる。
「ちょうど今戻ってきたよ。でも、ちょっとタイミングが悪かったかな?」
「タイミング? それってどういう……」
すると、シンの背後から底冷えするような冷たい魔力が冷気のように伝わってくる。それと同時に俺にとってはよく聞きなれた声が聞こえてきた。
「レオ君、これは一体どういった状況ですかね。怒らないので教えていただけませんか?」
「ま、まさか、この声は……」
嫌な予感を感じとり、冷や汗をかきながらシンのいる方に目をやると、シンの後ろには予想通りの人物、アリシアが着いてきていた。
「や、やぁ、アリシア……そのぉ、元気だった?」
「はい、皆さんのおかげで怪我もなく無事にここまで来れました。それで、この状況は?」
何とか話をそらそうと試してみるが当然そんな悪足掻きは聞かず、現在の状況を問いただされる。
ちなみに、今の状況をアリシア視点で説明するのであればこうだろう。『彼氏が別行動中に他の女と腕を組んで楽しそうに話しながら座っている』
誰がどう見ても修羅場だ。
「ち、違うんだ、アリシア! これには色々と訳があるんだけど。と、とにかく、俺は何もやましい事はしてないんだ!」
「レオ、俺の情報だとそれは完全にアウトだぞ」
「ア、アレク! お前もいたのか、それよりこの状況を何とかしてくれ!」
「自業自得としか言えんな。痴情のもつれに俺を巻き込まないでくれ」
そ、そんなぁ……!
「とりあえず、腕、離しましょうか」
「は、はい!」
「あぁー! レオくーん!」
そうして俺はサクラの腕から何とか逃れ、自然とその場に正座をする。アリシアから発せられる魔力は未だ収まっていない。
「それで、説明していただけますか?」
「えっとですね、実は……」
俺はサクラ達と再開した所から、さっきまでの一件を事細かに説明した。
「なるほど、それでさっきのような状態になっていたと」
「はい……」
「はぁ、事情は分かりました。今回の件に関しては許してあげます」
「あ、ありがとぉ、アリシアぁぁ!」
本当に、一時はどうなる事かと……
「むぅ、ウチのレオ君がぁ……痛っ!」
「いい加減にしーやサクラ。それ以上ややこしくしたらもう一発いくで」
「カ、カエデ……いつからいたん?」
「たった今ここに到着したんよ。シロウも、サクラのお守りご苦労やったなぁ」
「いえ、もう慣れましたよ……」
いつの間にか別行動をしていたアレク達とサクラ達と迷宮に入ったという他のソルヴァレスメンバーも合流して大所帯となっていた。
「とりあえず合流しちゃったけど、この後はどうする?」
「そうだな、まずはそっちとこっちの情報を照らし合わせたい。が、俺達は今到着したばかりだ。少し休憩を挟もうとも思っていたしな、このまま休憩がてら経過報告をしよう」
「分かった。俺達もまだ休憩したかったし、賛成だ」
そうして俺達は偶然合流をして、別行動を始めた位置からの経過報告を始めた。
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「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
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