百十話 迷宮攻略③
迷宮攻略も順調に進み、俺達は今第五階層の中間辺りまで来ていた。
「『創造・弾』」
ドドドドッ!
グォォォッ!
「竜尾脚」
ドゴォッ!
グアァァァッ!
「ふぅ、今回のは少しデカかったね」
「嗚呼、小熊の魔物か、大型って程ではないけど、オークより動きも素早かったし面倒だったな」
「それでも、一撃……」
「サヤさん、この二人の戦闘は慣れるしかありませんよ」
「そう、みたい」
一撃で仕留められるならその方が早いしいいじゃないか。
「おい、シン! 見ろよこいつの爪、結構良さそうだぞ!」
「毛もふかふかでいいね。冬場は暖かそうだ」
「せっかくだしこいつは本体丸々持ってこうぜ。色んなものに加工できそうだ」
「いいね、それじゃあこっちのも頼むよ」
「嗚呼、もちろん」
早速俺は自分で討伐した小熊と、シンの討伐した小熊二体を、異空間収納へとしまう。
「よし、収納完了」
「どうする? この辺りが中間地点だし、少し休憩でもするかい?」
「私、喉乾いた」
「休憩にしよう、今すぐに」
サヤちゃんの一言だけで俺とグレンさんの返答を聞く前に休憩が決まってしまった。さすがはサヤちゃん第一のシンだ。
「それにしても、結構素材も集まってきたね」
「嗚呼、これだけあれば使う奴以外を換金したとしてもかなりの額になりそうだな」
「レオはどんな素材が欲しいんだ?」
「うーん、とりあえずは黒影の代わりになる剣の素材かな」
「黒影って言うと、あの黒い方の?」
「そうそう、十年間の修行の間にかなり使い込んじゃってな。そろそろ折れてもおかしく無いから最近は使ってなかったんだ」
「なるほどね、道理でここまで白い方しか見なかった訳だ」
正直、白夜もそろそろ危ないけど黒影程ではないからな。そこまで急ぐ必要も無いはずだ。
その後も休憩すること数分。ポケットに入れていた魔力結晶が反応する。どうやらアレクから通信が入ったみたいだ。
「どうした、アレク?」
『いや、今休憩に入ったのでな。そちらの状況も聞いておこうと思ったんだ』
「俺達もちょうど休憩してたところだよ。アレク達はどこまで進んだんだ?」
『五階層の中盤だ。そっちは?』
「俺達もその辺だな」
『そうか、お互い順調に進んでるみたいだな』
「だな。それじゃあ、そろそろ出発するから切るぞ。この後も頑張れよ」
『嗚呼、そっちもな』
そうしてアレクとの通信を切り、シン達の様子を見ながら立ち上がる。
「と言うわけで、探索再開するか」
「嗚呼、水分補給もできたしね。サヤももういいか?」
「うん、大丈夫」
「私は何時でも行けますよ」
全員準備はできているようで、俺達は迷宮探索を再開した。
あ、そう言えば、せっかく通信したのにアリシアの声聞くの忘れてたァァァ!?
□
「レオ君達はどうでしたか?」
「あっちも休憩中だったみたいだ。順調に進んでいるらしい」
「ま、あいつらなら当然だろ。何ならもっと先に進んでても不思議じゃなかったぜ」
「どうせ俺達と違って魔物の素材を毎回取っているんだろう」
「あー、なんか有り得そう」
「ふふっ、レオ君達らしいですね」
「だな、俺達もそろそろ出発するか。あいつらに負けてられないからな」
「もう、いつの間に競走になってたの?」
仕方あるまい、男とは常に対抗心を燃やす生き物だ。
「この調子で行けば、予想よりも早く最深層に着きそうだな」
「嗚呼、引き続き気を引き締めていこう」
「アリシアもここからは出番が増えるかもしれないね」
「そうならないのが一番いいのですが、その時は全力で三人を治します!」
「よし、そうとなれば行くか」
全員、張り切り直したところでレオ達同様、俺達も再度迷宮探索を開始した。
□
探索を再開してから早くも十数分が経過した。
道が長いのもあるが、道中遭遇する魔物を全て倒し、素材を回収していたら予想以上に時間がかかっていたようだ。
「お、広い部屋が見えたぞ」
「本当だ、何かあるかもしれないね。早速行ってみよう」
「おう!」
「はい、ストップ」
「グェッ!」
「ウッ!」
俺とシンが走り出そうとすると、今まで後ろを歩くだけだったグレンさんが突然、俺達の襟を掴みその足を止めさせる。
「あまり無闇に突撃するのはよくありませんよ」
「でも、これまでも突然部屋になってる所はありましたよね?」
「今グレンさんが止めるって事は何か見えたんですか?」
「そうですね、命に危険はありませんが、少々面倒な事になりそうです」
なるほど、グレンさんがそう言うならここは大人しく従っておくのが良さそうだ。
「なら、少し警戒した方がいいな」
「うん、慎重に行こう」
そうして俺達が周囲に気を配りながら部屋の中へと入ると、そいつらは突如俺達の頭上、つまりは天井から音を立てて降ってきた。
カサッ、カサカサッ
「これは、蜘蛛か?」
「みたいですね。かなりの量だ」
「き、気持ち悪い、無理……」
「さ、サヤ、こっちに来るんだ」
「うん……」
うーん、蜘蛛といえば修行の間の中で遭遇した蜘蛛の魔物だけど、今目の前にいるこいつらはあの時の奴よりもかなり足が細いな。更には数も多いから気持ち悪さは数十倍だ。
(シンはサヤちゃんの視界を塞ぎながら守る事に手一杯だし、これは俺一人でやるしかないか)
「確かに、これは面倒ですね」
しかも、こいつら細い分取れる素材少なそうだし……
「まぁ、やるしかないか。『破壊の光』」
俺が魔法を発動すると同時に、翼を広げたグレンさんがシン達を破壊魔法の付与された光から守る。一方、光に当たった付近の蜘蛛達は全てその行動を停止した。どうやら気絶したみたいだ。
お、破壊魔法が効くってことは意外と楽に終わりそうだな。その代わり、魔力はかなり消耗しそうだけど。
「グレンさん、そのまま二人をお願いします。『破壊の光』」
その後も、俺に近い蜘蛛から順に破壊魔法で倒していき、数分を掛けて部屋中の蜘蛛を何とか全て討伐することに成功する。
「はぁはぁはぁ、終わったぁ〜」
「お疲れ様です、それでは魔物を回収して先に進みましょう」
「えぇ、こいつら回収するんですか?」
「見た目で判断してはいけませんよ。この蜘蛛の足と吐く糸はかなりの強度でありながら伸縮性も高くいい値段で売れますよ」
「それなら……一応回収しておきますか」
グレンさんの言葉を信じ、俺は大量の蜘蛛を異空間収納へとしまった。いやー、しまう時に一箇所に纏めたけどあれは二度と見たくないな。
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以下タイトル
「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
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