百九話 迷宮攻略②
「ここが五階層、今までより通路が広いな」
「本当だ、これなら魔物が出てきても戦いやすそうだね」
「その代わり、囲まれる危険性もある」
確かに、群れで動くような魔物が出てくれば厄介だな。
「ん?」
「どうかしたのかい?」
「いや、何か違和感がある気が……あ、そうか。四階層までと比べて人の数が少ないんだ」
「恐らくですが、多くの人が四階層の鉱石を採掘して戻っているのでしょう。魔物の素材に興味が無ければあそこで鉱石を取っている方がお金になるでしょうし」
なるほど、確かに四階層は極端に魔物が少なかったもんな。それであれだけの鉱石があれば無理に下に降りる必要も無い。
「それに、恐らくですがこの第五階層からが本格的な中盤でしょう。魔物の強さや量も増えているはずです」
「これまでとは難易度が違うって事ですね」
「えぇ、気を引き締めていきましょう」
「はい!」
(それにしても、やっぱり中層は洞窟っぽい感じなのか。四階層程ではないが、ここもちらほらと鉱石があるな)
そうしてしばらく歩いていると、目の前に魔物の群れを発見した。
「あれは……オークか?」
「だね、これまでには見なかった中型の魔物だ」
「中型にしては数も少し多い。見た限りでも五体はいる」
「でも、おかしくないか?」
「嗚呼、オークは群れで行動することは少ない。しかも数体で動いたとしても二体や三体程度だ。五体は多すぎる」
「それもこれも、迷宮特有の魔力の濃さが原因だと思われます。魔力濃度が濃い分生まれる魔物の数も多い。だから一つの群れがあれだけ多いのでしょう」
なるほど、グレンさんの言う通り、それなら辻褄が合う。
「どちらにせよ、オークはそこまで強い魔物ではない。攻撃力は高いですがその分動きも遅く単調です。まずまともに攻撃を食らうことは無いでしょう」
「ですね」
「だからと言って、気を抜いてはダメですよ」
「要はいつも通りにって事ですよね?」
「はい」
それなら、何の問題も無い。
「行くぞ、シン」
「あぁ、サヤはバックアップを頼むよ」
「了解」
即座に連携を取った俺達はこれまで通り、俺とシンは前に出て戦闘を、サヤちゃんは後方支援と役割を分けオークの群れへと迫った。
「『創造・槍』」
俺が詠唱をすると、頭上に火、氷、鉄の三つの槍が現れ、手前三体のオークを貫く。
ブオォォォッ!
「せいっ! はぁっ!」
槍に貫かれたオーク達が倒れると、シンはその上を飛び越え、残った後ろ二体のオークを切り捨てる。
「よし、討伐完了」
「二人とも、さすがの腕前ですね」
「私の出る幕は無かった」
「これもグレンさんに修行をつけてもらったからですよ。それにしてもレオ、今のは新しい魔法かい?」
「嗚呼、創造魔法も色んなものを作れるようになったからな。試してみたんだ」
「アレクみたいだった」
「確かに、複数の属性の槍を出すところなんてアレク君にそっくりでしたね。ですが……」
お、やっぱりグレンさんは気付いたか。
「アレク君とは違い、レオ君は同時に通常の槍も出していた。あれをすることにより通常の物理攻撃と魔法による攻撃を同時に行っている」
「さっすがグレンさん、気付きましたね」
「でも、そうすることによって何が変わるんだ?」
「剣とか槍みたいな普通の攻撃は魔力障壁とか魔法で相殺された時に弾かれたり消えたりしないんだ」
「よって相手は魔法と通常攻撃、両方を同時に対処しなければならない。魔導師団に所属している人なら分かりませんが、普通の学生や冒険者では対処するのも難しいでしょう」
「なるほど……」
「まぁ、今みたいな中型の魔物に使う必要性は皆無ですけどね。普通の槍でも魔法でもどちらでも倒せるので」
うっ、それを言われるとぐうの音も出ない……
「新技を見せるために態々無駄な魔力を消費してオークを実験台にした?」
「そう言う事です、全く酷い事をします」
「そ、それは本当に、悪い事をしたと思ってます……」
け、けどその分、あのオーク達の素材はしっかり取って活用するし、それでどうか許して欲しい。
「まぁ、冗談はさておき、素材だけ頂いて進みましょう。まだまだ先は長いですよ」
グレンさんの言う通り、まだまだ先は長い。俺達はオークの素材を回収し、再度迷宮内部を進み始めた。
□
「ダリスは右、サリーは左、真ん中二体は俺が受け持つ!」
「「了解!」」
レオ達と別れた後、アレク達も順調に第四階層を攻略し、第五階層へと降りていた。
ブオォォォッ!
「討伐完了。ダリス、サリー、そっちはどうだ」
「おう、今終わったぜ」
「こっちも大丈夫」
「三人とも、お怪我はありませんか?」
「嗚呼、オークであれば個々の実力はそこまで高くないしな」
「それにしても広いよね。通路の幅だけで一部屋分ぐらいはありそう」
恐らく、魔物のサイズが大きくなった事でその分通路も広がったんだろう。
「まぁ、広い分にはありがたい。最悪、囲まれても無理やり道は開けるからな」
「アレク君って頭脳派に見えて意外と力任せだよね……」
全く、人を脳筋呼ばわりすのはやめてもらいたいものだ。
「結局は大きさで解決するのが手っ取り早いからな。これもしっかりとした戦略だ」
「そんなこと出来るのアレク君達ぐらいだよ。でも、それに納得しちゃってる辺り、私の感覚も少しずつ麻痺してるのかなぁ」
「ふっ、気の所為だろう。それより、先に進もう。中型の魔物が出てきたと言うことは恐らくこの五階層からが中盤だ」
「そうだな、さっさと攻略して主も倒しちまおうぜ」
「魔物の素材はどうする?」
「気になった物以外は回収しなくていいだろう。魔物との戦闘も襲われるか、素材が欲しい時以外は極力避ける。それでいいか?」
「うん、了解」
「それでいいぜ」
「私も問題ありません」
「なら、今倒したオーク達には悪いが、このまま進もう」
そうして、オークの素材は回収せずに、アレク達は迷宮を進んだ。
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「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
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