百八話 迷宮攻略①
迷宮へと足を踏み入れた俺達は早くも第二エリアへと進んでいた。
「はぁっ!」
「ふっ!」
「レオ! シン! あまり先行しすぎるな!」
「分かってるって! ほっ!」
アレクの注意に空返事をしつつレオは横から襲いかかるゴブリンを切り捨てる。
「これでこのエリアの魔物は大方片付いたかな」
「そうだな、さっさと素材をとって進もう」
二人が倒した魔物達から素材を取っていると、後方にいたアレク達も二人にやっと追いつく。
「お前らなぁ、切った傍から前進するな! お前らが残した魔物の素材を剥ぐ俺たちの身にもなってみろ」
「わ、悪い……」
「まぁいい、これでこのエリアの魔物は最後か?」
「そうみたいだよ。ほら、あそこに階段もあるし」
シンが指さす先、そこには下へと繋がる階段があった。
「このエリアは前のエリアと比べて何だか広かった気がしますね」
「いや、実際広かったんだろう。恐らくこの次はこれ以上にな」
「それなら、俺にも少しは仕事が回ってきそうだな」
「ダリス君今の所何も出来てないもんね。ま、私もなんだけど」
「シン達が二人で解決しすぎ。気をつけて」
「まぁまぁ、そのおかげで楽に進めましたし良しとしましょう」
グレンさんのフォローで何とかその場は許された俺達はなるべく先行しすぎない用にと皆の後ろに着いて階段を降りていく。
「次は三階か、今ってどこまで攻略されてるんだ?」
「確か五階までだな。シン、他の迷宮は基本的に何階層まであるんだ」
「基本的には三、四辺りが中盤で最深層は六とか多くても七かな。次の層でも敵の強さが変わらないようならこの迷宮はまだ序盤って事だと思うよ」
「そうだとしたらこれより広いエリアがあと五階以上は残されてるってことか? 先は長ぇな」
ダリスの言う通り、二階までは俺とシンで先行しながらの探索でかかった時間が一時間程度だ。一階層約三十分と考えても相当な時間がかかりそうだな。
「まぁ、最悪帰りは転移門があるしな。夜までに帰れれば大丈夫だろ」
現在の時刻は一時、時間はたっぷり残されている。
「アレク君、道が別れているのはどの辺からですか?」
「確か、四階層です」
「では、次の階層も代わり映えしないようなら極力魔物との戦闘は避け、さっさと四階へ行ってしまいましょう。ここまででも、同じ魔物の素材はそれなりに集まっていることですし」
「その方が良さそうですね」
そうして、今後の方針を決めつつ、階段を降りていくと第三階層へと到着する。
「見た感じ、雰囲気はそんなに変わらないね」
「嗚呼、もう少し先に進んでみよう」
しかし、やはり三階層も出てくる魔物や強さはこれまでと変わらず、俺達は直ぐにグレンさんの提案した作戦へと切り替え、四階層まで急いだ。
□
「ここが第四階層……」
「景色も全く違いますね」
これまでの第一階層から第三階層はただの洞窟と言った感じだったのに対し、第四階層は数種類の鉱石が壁を埋めつくしている。
「綺麗……」
「そうだね、まるで物語の世界みたいだ」
「これも全部取れるのか?」
「名前までは覚えてないが、巷で出回っている物が多いな」
「ですが、珍しいものも幾つか見えますね。例えば天井の一部に見えるあのピンクと水色の鉱石、あれは確か魔法との親和性が高くその多くが見つかると直ぐ魔道具になってしまうため原石の価値は高かったと思いますよ」
「へぇ、それなら……よっと!」
ガギィーンッ!
「よし、取れた」
「うわぁ、近くで見るとより綺麗ですね」
「意外とデケェんだな」
「見入る気持ちは分かるが、そんなにゆっくりはしていられないぞ」
「あぁ、そうだった。まだ四階層なんだよな」
四階層に入ってすぐ、足を止めていた俺達は再度進み始める。
「にしても、本当に綺麗だな。それに、三階層までと比べて魔物があんまり出てこない」
「恐らくですが、この階は空気中の魔力が殆ど鉱石に吸われ、あまり魔物が生まれないのでしょう」
「なるほど……」
これだけ魔力濃度が濃いと魔石でなくとも魔力を吸うのか。
「と、話している内に、どうやら分かれ道のようですね」
「よし、事前に決めたチームに別れるぞ」
「あぁ! アリシアぁぁ〜!」
「心配しなくても、こっちにはサリー達も居るので大丈夫ですよ。レオ君も頑張ってくださいね?」
「うぅ、はい……」
「あれは心配を言い訳に、ただ離れたくないだけだな」
「うん、絶対そうだよね……」
そこから、俺達は予定通り二手に別れ四階層を探索していく。ちなみに、アレクには何時でも連絡が取れるように通信用の魔力結晶を渡しておいた。これでアリシアの声を聞くことはできる!
「にしても、本当に魔物出てこないな」
「これじゃあ少し張合いが無いね。早く五階層に行くかい?」
「だなぁ、このままダラダラ進んでても時間を無駄に使うだけだろうし」
「ふふっ、普通の人間なら鉱物に目がいきそうなものですが、あの二人は宝より敵って感じですね……おや?」
「どうかしましたか? グレンさん」
「いえ、お二人の好きなものがありそうだなと思いまして。シン君、レオ君、ここを進んだ先に部屋があります! 魔物も居るのでお気を付けてー!」
「はーい」
「わかりましたー!」
グレンの言葉を聞くと、二人は直ぐに道の先にある部屋へと駆け出していく。
「魔物って、大丈夫何ですか?」
「えぇ、彼らなら問題無いでしょう。逆に心配なのは、魔物の方ですかね」
「魔物の、心配?」
レオとシン、二人よりも数歩遅れるグレンとサヤがそんな話をしながら進み、部屋へと到着すると、既に魔物は討伐された後だった。
「やっぱり、こうなりますか」
「二人とも、大丈夫?」
「嗚呼、問題ない」
「そこまで強くなかったからね。どちらかと言えば背中のこれを傷付けづにどうやって倒すか苦労したよ」
「まぁ、それでも秒殺だったけどな」
「背中? あ、これって、さっきの」
サヤの見る先、そこには先程レオが取ったピンクの鉱石を大量に背負った亀の魔物が倒れていた。
「さてと、この鉱石どうやって取ろうか」
「そうだな、いっその事亀ごと異空間収納にしまっちゃおうかな」
「そう言えば、その手があったね」
「では、直ぐにしまって進みましょうか。どうやら四階層はここで終わりみたいですよ」
そう言ったグレンさんの視線の先には下へと続く階段があった。
「あれ、かなり短かったな」
「多分、魔物も少ない鉱石ばかりの部屋だから短いんじゃないかな? これで長かったら金儲けにもってこいだしね」
「所謂ボーナス部屋の様なものですね」
「ぼーなす?」
「あぁ、いえ、お気になさらず」
アレクが居ないことを忘れ、ついアレクの前に居た世界の言葉を使ってしまったグレンはそれでも焦ることなく、その場を上手く流した。ように見えたが、内心は穏やかじゃない。
「そ、そうですか。とりあえず先へ進もう」
「うん」
「だな、この調子ならアレク達ももう降りてるだろうし」
そうして、俺達四人は第五階層へと繋がる階段を降りていく。
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「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
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