百七話 迷宮探索、開始
翌日、俺達は予定通り迷宮街へとやってきていた。
「と言うわけで、到着したぞ。迷宮街オリバス!」
メンバーはあの場にいた俺とアレク、シンの他にアリシア、サリー、ダリスのいつもの三人とシンの付き添いでサヤちゃんとグレンさんの計八人だ。
「相変わらず便利な魔法ですね。転移門というのは」
「グレンさんにだって大きな翼があるでしょ」
「君の空間魔法ほど使い勝手のいいものでもありませんよ。竜化すれば狭いところは進みづらいですし」
グレンさんの話を聞くに竜人には竜人なりの悩みがあるらしい。
「ここから迷宮まではどれくらいなんだ、アレク?」
「馬車では一時間程かかるみたいだが、お前達ならもっと早く行けるな」
「嗚呼、三十分もあれば十分だ。なぁ、シン」
「そうだね、迷宮に着いたらレオの転移門で戻ってくるから皆は少し待っててくれ」
「分かった、それじゃあ後は頼んだぞ」
「気をつけくださいね、レオくん」
「シンも」
「ありがとうアリシア。行ってくる」
「行ってくるよ、サヤ」
皆に出発の挨拶を告げ、俺はシンと共に迷宮へと飛び立った。
□
――数十分後――
「お、見えてきたな」
「みたいだね、あれが迷宮か……」
「このまま飛んでいくと目立ちそうだし、この辺で一回地上に降りるか」
「了解」
そうして地上へと降り立った俺とシンは空から見た時より遥かに大きく見えるその大きさに圧倒されていた。
「すげぇな、まだ少し距離があるのにはっきりと見えてる」
「俺が前に行った迷宮も大きかったけど、ここ程では無いな。どんな素材が取れるか、今から楽しみだね」
「だな、とりあえず皆の所に戻ろう。ここからなら数分で着くだろうし」
「分かった」
っと、その前に……
レオは徐にポケットから魔力結晶を取り出すと魔力を流し起動させた。
「おーい、アレク、聞こえるか?」
『嗚呼、大丈夫だ。もう着いたのか?』
「うん、これを見たらびっくりするぞ。今から戻るからさっき別れたところに来てくれ」
『了解』
すると魔力結晶から少し声の小さくなったアレクの声が聞こえる。どうやら皆を呼び戻しているらしい。その声を聞き、レオは通信を切ると転移門を出した。
□
「悪い、待たせたな」
「いや、俺もさっき戻ってきたところだ」
「直に見た迷宮はいかがでしたか。レオ君」
「とんでもなくデカいとしか言えないですね。見たらびっくりしますよ」
「それは楽しみですねぇ、私も前に行ったのはもう数十年も前だ、最新の迷宮がどうなっているのやら……」
どうやら今回の迷宮探索はグレンさんも相当楽しみみたいだ。それなら早速迷宮へ戻ろう。
「『転移門』よし、それじゃあ行こう」
俺が転移門を開くと一人ずつ順番にその扉を潜っていく。
「楽しみだね、迷宮」
「私は、少し怖いです」
「大丈夫、アリシアに何かあってもレオ君が守ってくれる」
(そんな期待をされているとなると、張り切らないとな)
「期待大じゃねぇか、レオ」
「お姫様を守らないとな」
「うるせぇ、早く通れ!」
ダリスとアレクの冷やかしを受けつつ、二人をさっさと潜らせ、俺もその後に続く。転移門を抜ければ、見えるのはさっき移動した時の野原と石の上に座り辺りを見回すシンだ。
シンには俺が皆を迎えに行っている間この辺りと王都周辺の違いを探してもらっていた。
「どうだ、シン。何か変わったことあったか」
「嗚呼、王都の近くでは見れないような野草や木の実がいくつかあったよ。多分周囲の魔力濃度が高いせいで生活してる魔物や生物も違うだろうからその影響かな」
(なるほど、木の実は分からないが野草は何かに使えそうだな。帰り際に少し取っていこう)
「あれが迷宮か……」
「で、でっけぇ……」
「これはこれは、立派な物ですね。私が見てきた迷宮の中でも比べ物にならない程の大きさだ」
ほうほう、さっきのシンも言っていたがやはりこの迷宮は他の迷宮と比べても大きい方なのか。まぁ、内装が広いなら当然といえば当然だけど。
「とりあえず、行ってみようぜ」
「レオが迎えに行っている間にも、迷宮目的だと思われる通行人が多かったよ」
「それは急がないといけませんね」
「ここに来るまではまだ迷宮攻略の知らせは入っていなかったが、今日は休日だしな。挑戦者も多いだろう」
「となると、攻略者が現れてもおかしくないな。よし、急ごう!」
そうして俺達は目の前にそびえ立つ迷宮へと向かった。
□
しばらく歩き、迷宮の入口に近づくにつれ周囲の人口も明らかに増えていた。辺りにはいくつか出店のような物も出ている。
(やっぱり、凄い人の量だな……)
「へぇ、あの出店で防具も買えるのか」
「あっちの店は武器だな。お、食べ物売ってるところもあるみたいだぞ」
「迷宮の入口付近にはこうして装備や食料を売ってるところが多いんだ。中で装備が壊れでもしたら命に関わるからね。確か装備の修理を行ってる店もあるはずだよ」
そう言われて辺りを見回せば確かな奥の方に装備を預けている人を見かけた。恐らくあの店がそうなんだろう。
「入口はこっちみたいだな」
「いよいよだね、アリシア、サヤちゃん」
「頑張りましょう!」
「うん、沢山魔物を倒してお小遣い稼がなきゃ」
貴族の二人よりもサヤちゃんは現実的な思考みたいだ。
「事前の情報によると、途中までは一本道だが、どこかで道が二つに分かれている場所があるらしい
「せっかくだし隈無く探索してぇよな」
「ならここでチームを分けてしまいましょう。その方が効率も良いですし」
グレンさんのその提案に俺達は全員賛同をした。だが問題はこの後だ。それをいち早く理解した俺とシンの行動は早い。
ババっ!
「よし、そういう事なら俺達は同じチームだな。アリシア」
「もちろん俺とサヤも同じチームだ」
「はぁ、お前らな……一旦落ち着いてよく考えろ。これじゃあパワーバランスがおかしいだろ」
「……?」
「その前に、グレンさんは今回の探索に協力してくれるんですか?」
そうアレクが聞くと、グレンさんは直ぐに首を横に振る。
「いいえ、私が手を貸してしまえば難易度が一気に下がってしまうので。ですが、こないだと違って一切手を出さないというのも教師という立場としてどうかと思うので、今回は皆さんに命の危険が迫った時のみこの力を使いましょう」
「なるほど、分かりました。という事だ、グレンさんは戦力として数えない」
「て言うことは、四対三で別れるのか」
「嗚呼、そうなった時にお前達四人が固まるのはバランスが悪すぎる。お前とシンが揃ってるのもそうだが、この七人の中で回復魔法が使える人間が全員そっちに行ってどうするんだ」
「た、確かに……」
(この中で回復魔法が使えるのはアリシアとサヤちゃんだけ、俺も一応回復能力はあると言っても回復魔よりも消費魔力が多いし基本的に前に出て戦うことになる。回復役としては不十分だろう)
「それなら、私がそちらに行きます」
「あ、アリシア!?」
「ほら、私なら三人との連携も慣れてますし」
「そ、それはそうだけど……」
「大丈夫だよレオ君。アリシアは私達が絶対に守るから」
「元よりそのつもりだ。王国の王女に怪我をさせる訳にはいかん」
「……はぁ、分かったよ」
まぁ、アレクが居るなら心配無いだろう。
「おい、ダリス。アリシアに何かあったらその身を盾にして守れよ!」
「俺の役割デカすぎねぇか!?」
「お前の筋肉と頑丈さは何のためにあるんだよ」
「ったくよぉ、分かったよ。頑丈さだけが取り柄だからな」
「よし、よく言った」
これで一先ず安心できるな。
「それじゃあ早速中に入ろう。あまりここで時間を消費したくないからな」
「そうだな、さっさとさっさと終わらせてレア素材ゲットだ」
「腕がなるぜ!」
「サヤちゃん気をつけてね」
「大丈夫、私にはシンが着いてるから。二人も気をつけて」
「はい、お互いに頑張りましょう!」
「ふふっ、良いですねぇ。これが所謂青春って奴ですか?」
「ふざけてないで、ちゃんと危なかったら助けてくださいよ。グレンさん」
各々、迷宮突入前に気を昂らせ、入口を通過した。
さぁ、迷宮探索の開始だ!
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「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
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