百六話 迷宮攻略計画
「そう言えば、知ってるかい? 東の国境沿いに新しく発見された迷宮の噂」
「迷宮? 知らないな。そもそも迷宮の事を名前だけしか聞いたことないし。シンは行ったことあるのか?」
「いいや、俺も迷宮がどういう所なのかは少し知ってるけど行ったことは無いな」
「へぇ、で、その迷宮がどうしたんだよ」
「嗚呼、実はその迷宮、今までに発見された迷宮と比べて仕組みが少し変わってるみたいなんだ」
仕組み?
「それって何かおかしい事なのか?」
「うーん、何とも言えないね。同じ構造の迷宮って言うのは一つも存在しないんだ。でも広さや深層までの距離は大体変わらない」
「そう言うってことは今回はその広さと距離がこれまでの迷宮と違うってことか?」
「正解、今回発見された迷宮はこれまでの迷宮よりも深層までの距離が長くて、迷宮自体の広さが大きいらしいんだ」
「なるほどな。大きさが違うってことは難易度も必然と上がるわけか」
「嗚呼、単純に出てくる魔物や部屋の数が増えてるからね。その分危険も増すと思うよ」
そうして、俺とシンが新たに出現した迷宮について話していると、席を外していたアレクが戻ってくる。
「何だ、お前達も迷宮に興味があるのか?」
「アレク。お前達もって言うことは他にもいるのか?」
「この学院に居るかは知らないが、各地の冒険者が新しく発見された迷宮を一目見ようと現地に行っているらしいぞ。おかげで迷宮付近の町は絶賛観光地状態だ」
「そんなに人が集まってるのか……」
「そのせいで、こちらに回ってくる仕事が多くてな。やれ宿屋を増やせだの物資を遅れなどと言う連絡が殺到しているんだ」
そう言えば、国の経済面の仕事はその殆どが公爵家と伯爵家で回してるんだっけか。それはご愁傷さまとしか言えないな。
「お前達も、興味があるなら行くのは早めにした方がいいぞ。先にクリアされてしまえば主の素材は取られてしまうからな」
「主?」
「深層の主だよ。道中に出る魔物はその辺でよく見かける魔物が多いけど階層が深くなるにつれ出てくる魔物もあまり見かけない奴らになってくるんだ。その最深部に居るのが一度討伐されると二度と生まれてこない、所謂主って言うわけ」
「主の素材はその討伐難易度と希少性から高く売られることが多い。それに魔装や魔道具にしても強力な物が作れるだろう」
(へぇ、迷宮自体にはさほど興味なかったけど、その素材は気になるな)
「ちなみに、これまでの迷宮ではどんな主がいたんだ?」
「俺が聞いたのだと上位の悪魔とか神狼、古代樹の化け物とかだったかな?」
「流石は主って呼ばれるだけあって強そうなのが多いな」
「そうだね。けど討伐したらその苦労の分、さっきアレクが言ったように加工した時の強度や強さが桁違いなんだ。ソルヴァレス学院のキョウヤ君を覚えてるかい?」
(もちろん、忘れるわけが無い。あいつとは最終戦でガッツリ戦ってるし、序盤なんてかなり追い詰められたからな)
「嗚呼、覚えてるよ。それがどうかしたのか?」
「彼の使っていた武器、あれは多分迷宮の主の素材だよ。俺も対抗戦のあと気づいたけど、あの剣……刀って言ったっけ? あれはかなり強度も魔法との親和性も高かった。相当強い主の素材を使ってるんだろうね」
なるほど、キョウヤの強さは本人の実力だけでなく、その使う武器にも秘密があったのか。迷宮の事を詳しく知らなかったから気づかなかった。
「その話を聞くと、今すぐにでも行ってみたくなるな」
「ちょうど明日から週末だし、王都からなら半日もかからないだろうから明日にでも行ってみるかい?」
「そうだな、先にクリアされるのも何か悔しいし、善は急げだ。お前も行くだろ、アレク」
「嗚呼、父上にもお前達と一緒に迷宮の様子を見てくるよう頼まれてるしな。俺も同行しよう」
「よし、そうと決まればアリシア達も誘ってみようぜ」
「そう言う事ならサヤとグレンさんも来ると思うよ」
「え? いや、サヤちゃんは分かるけど何でグレンさんまで……」
「グレンさんは俺の力が制御出来なくなった時の為の監視役だろ。なら着いてくるしかないよ」
あぁ、なるほど。そういえばそうだったな。あの人すっかり学院に馴染んでるから本命の理由をわすれていた。
「まぁ、あの人の事だから迷宮攻略を直接手伝ってくれたりはしないと思うけどね」
「ははっ、確かに。それでも居てくれるだけで何となく心強いよ」
これで一先ず5人は決まった。後はアリシア達三人が行けるかどうかだな。ダリスは多分大丈夫だろ、あいつ休日は筋トレしかしてないし。
「それじゃあ時間はどうする? 半日はかからないけど、それでも結構な長旅になるだろうし」
「なら集合は早い方がいいよな。帰りは俺の魔法で何とかなるとして、攻略するってなると朝の八時に王都の東門集合でどうだ?」
「嗚呼、いいと思うよ」
「俺もそれで大丈夫だ。それよりレオ、お前近隣の町には行ったこと無いのか?」
(こいつ……)
「お前、絶対楽しようとしてるだろ」
「何を言う、お前の転移門で行けるならそっちの方が早く到着すると思っただけだ。集合時間も余裕を持てるようになるしな」
「ほーん。ま、そう言う事にしといてやるよ。ちなみに近隣の町ってどこなんだ?」
そう俺が聞くと、アレクはいくつかの町の名前を上げていく。その最後の一つに俺は心当たりがあった。
「お、その町なら多分すぐ近くまで行けるぞ。前に一度、父さん達とその町の隣町に旅行に行ったことがあるからな」
「そうか、その町から迷宮までは恐らく一時間ていどだろう。それなら集合時間はもう少し遅くしても良さそうだな」
「じゃあ十時でどうだい? 多分馬車を使わずに俺とレオで直接飛んで行った方が早く着くだろうし、そうすればレオの転移門も迷宮付近から直接繋げられるだろう?」
「確かに、その方法が一番良さそうだな。それじゃあ、集合時間は朝九時、場所は王都の東門という事でいいか?」
「嗚呼」
「了解」
「ダリスは俺が誘っておく。サリー達はレオ、頼んだぞ」
「分かった、二人は俺が誘うよ」
そうして、俺達の迷宮攻略計画は始動した。
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「組織を追放され、絶望した重力魔道士。この世界で生きる気力を無くしたので二度目の人生に希望を託し転生します! 〜人の世界を救った英雄のはずなのに組織から裏切られた俺は、二度目の人生を幸せに生きたい〜」
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