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3話 五天王



 僕の魔王のイメージは、中学時代にプレイしたRPGゲームのままだ。

 人々を苦しめて勇者に退治される、悪の根源たる存在。まさかそれが僕だなんて、あんまりだ…。


 掌で額を覆って表情を隠した僕に、リリスはあたふたと慌てている。僕の不運も神掛かっているな。


『……、…』


「アルバ様…?」


 押し黙った僕を、不安そうに小首を傾げるリリス。


 (よし、決めた)僕は良い魔王になる。勇者に討伐されるなんてまっぴらだ。


 僕の脳内イメージの魔王の真逆を行く、慈愛に満ちた正しき指導者を目指すんだ。


 そもそも、僕と同じ魂をもったこの身体の持ち主が暴虐の限りを尽くしていたりしなければ、全て解決する。


 リリスもこんなに敬愛してくれているし、なかなか良い支配者だったのかもしれない。


『リリス、この国ってどんな所?』


「ぁ…、はい!豊かな自然に恵まれた、高地の国です!人口も魔大陸の中で2番目に多く、私が言うのも差し出がましいかもしれませんが…ブルクハルトに住まう者は幸せだと思います!」


『そっかぁ…』


 僕はホッと息を吐く。


 良かった、暴虐で残虐な魔王とは違うみたいだ。これなら暴動とかデモとか無さそうだし、少し安心した。


 それもこれも、僕の代わりに国の運営をしてくれていると言っていたリリスの手腕によるものなのかもしれないな。(有り難い…!)


『そういえば、リリス。我々って言う事は、他にも僕に仕えてくれてる人がいるんだよね?』


「はい。左様でございます」


『此処に呼ぶ事って出来るかな?』


「それは…、申し訳ありません。この広間には入りきらないかと思われます」


 え…?此処に入らないって本気で言ってるのかな。此処は少し詰めれば500人、いや600人は入ると思うのだけど。


『じゃぁ、そうだな。幹部みたいな、…皆を纏めるリーダー格の人達だけで良いかなぁ』


「畏まりました。大陸外に出ている者も呼び出して構いませんか?」


『ううん、仕事してる人は良いよ。この城に居てくれてる人達だけで大丈夫』


 リリスは「畏まりました。少々お待ち下さいませ」と深々とお辞儀をして重々しい扉から出て行った。


 僕は玉座の背もたれに沈みながら、天井を見上げて考える。


『弱肉強食は魔大陸の常識みたいだなぁ』


 もしも僕が、喧嘩する度胸もない腰抜けだと分かったら皆反旗を翻すかもしれない。


 リリスはああ言ってくれていたけど、彼女との信頼関係も築けていない状況で慢心するのも良くない。


 せめてもの足掻きで、僕は指先に知りもしない魔力を集めようと力を込めてみた。


『何も起こらないや』


 分かっていたけど、落胆する。この身体の主は凄い力を秘めていたけど、僕は只の人間だって事かな。


 多少不思議な力があったり、魔法が使えたりしたら何か解決策が見つかりそうだったけど…。


 それに、この真っ白になってしまった髪。僕はサラサラな前髪を掬い、目に見えるように灯りに透かす。

 抜け落ちるよりはマシだけど、突然こうなったら慣れるまで大変そうだ。


「お待たせしてしまい、申し訳ありませんアルバ様」


『ううん、大丈夫だよ。早かったね』


 僕はみっともない格好から椅子に座り直し、姿勢を正す。リリスが到着すると重圧感のある大きな扉が左右に開き、それに気付いた僕は誰にも見られずに姿勢を戻す事が出来た。


 リリスの後ろに続くのは、4人の個性的な男女だった。


 眼鏡を掛けている、知的な雰囲気を纏う長身の男。黒い髪で、蒼色の瞳がレンズの奥に僅かに見える。格好は白衣で青色のネクタイをしていた。医者、化学の先生、大学教授と言った学問に精通している者が纏う空気をビシビシと感じる。


 垂れ目気味の目で、目尻に泣き黒子がある女の子。水色の髪は肩に付く辺りで切り揃えられており、左右の横の髪を編み込みをしているのだろうか。お洒落すぎてよく分からない。魔女が着るような黒の長いローブを羽織っている。


 場違いなのでは、と思う小さな男の子。ピンク色の髪質はふわふわで、羊の様な巻角が左右に生えている。その目は小動物の様に潤んでいて、何でこんな所に?と思ってしまう。でも、リリスが連れて来たという事はそういう事なのだろう。


 眩い金髪の、蒼色の瞳を持つ男。額から黒い角が2本天井に向かって伸びている、格闘家のような引き締まった体格だ。上半身が裸同然で、黒いズボンには幾つもベルトが巻き付いている。


 一同は練習したのかなってくらい揃って階段の1番下で跪いた。リリスだけは階段の中段、先程居たスペースで傅いている。


 リリスの五天王の纏め役って役職の立ち位置が少し分かった。なるほど、此処ではリリスと五天王を中核に組織が回っているらしい。


「魔大陸を離れ、人間の国へ情報収集に行っているララルカ・スタンフィードを除き、五天王御身の前に馳せ参じました、崇高なる主様」


 リリスが大袈裟に僕を立ててくれるけど、僕は愛想笑いしか出来ない。


 努めて冷静に『皆、顔を上げてよ』と緊迫した雰囲気を和まそうとした。


『それに、そんな畏まらなくて良いよ。もっと気軽に話したいなぁ』


 気の抜ける、僕の情けない声を聞いて恐る恐る顔を上げた面々はお互いの顔を見合っている。


『えーっと、リリスから聴いてるかな?僕、実は今までの記憶が無くなっちゃってさ』


 自分でも此処に座ってる状況があまり飲み込めてないんだよね、と心の中で続けた。


 4人は心底驚いた様子で、目を見開き唇を震わせる者、僕の体調を窺うように身体に視線を巡らす者、ゴクリと喉を鳴らす者、顔面蒼白で唇を引き絞る者と、様々だ。


『君たちは幹部?なんだよね。少し話をしておかなきゃなって思ってさ』


 最初の第一印象は大事だと社会で学んでいる。

 僕はニコニコと笑顔で、出来る限りフレンドリーに言葉を選んだ。


『で、…悪いんだけど、改めて皆の名前を教えて欲しいんだ』


 恐らくこの5人が徒党を組んで僕に向かって来たら、僕は一瞬で塵になる気がする。


 玉座で椅子に座り直したが、フと気付いた。


 この椅子の肘掛の先端、頭蓋骨があしらわれてる。趣味が悪いと言うか、僕の魔王のイメージにぴったりだと感心するべきか。


 僕は極めて自然な動作で椅子から立ち上がり玉座を降りた。(こんな怖い椅子、座ってられないよ…)


 リリスが驚いて何か言おうとしたが、気付かないフリをして横を擦り抜ける。すると彼女は後に続いて中段の開けた場所から降りた。


 1番下の、4人が跪く地面に降り立った僕は引き続き笑顔を浮かべておく。


「お兄様、本当に私の事まで忘れてしまったのですか?」


『お兄様?』


「控えなさい、不敬ですシャルル」


 リリスが、聞いた事もない冷たい声を少女に投げる。シャルルと呼ばれたローブを羽織った少女は、犬歯を剥き出しにしてリリスに食い下がった。


「はぁあ?お兄様にリリスなどと呼ばせておいて、何が不敬なのかしら?」


「私は許可を得ています」


 ツンと言いのけるリリスは、次の瞬間には勝ち誇ったような歪んだ笑みでシャルルちゃんを見下す。


 どうやら僕は以前、リリスの事をリリスとは呼んでなかったみたいだな。でも今更戻せないよ。 


『シャルル、ちゃん?うーん、僕に妹なんて居たんだ』


「どうぞ、シャルとお呼び下さい。血の繋がりはありませんが、お兄様は私がそう呼ぶのを許して下さいました」


『そうなんだ。じゃぁ、そのままでもいっかぁ』


「有り難き幸せです!」


 魔法使いっぽい女の子はシャル、ね。泣き黒子が特徴的な、人懐っこそうな子だなぁ。


「アルバ様、寛大すぎるのでは?」


 リリスが厳しい顔で異を唱えた。


「リリアス?お兄様が良いと言っているのよ?意見するなんて、其れこそ不敬では?」


「私は五天王の纏め役の任に従って、立場を忘れて何処でも発情するメス猫に正しき処罰を下して頂きたいと進言したまでよ」


「何ですって?このメス犬がぁ!」


『あははー…まぁまぁ』


 僕が間に入って2人を落ち着かせようと口を出すと、今まで黙っていた長身の男が拳を床へ打ち付け床を破壊した。(え、怖い…)


「王陛下の御前で見苦しいですよ、2人とも」


 優しい声とは裏腹に、雰囲気が少しも笑っていない。


 リリスとシャルは我を忘れていたのか、喧嘩をしていたお互いにではなく何故か僕に口を揃えて謝った。


「私はユリウスです。宰相の役割と、王陛下に頂いた研究室で国に貢献できる実験や研究を行なっております」


 ユリウスは目が細い為に何時も笑っているような印象を受ける。しかし油断は禁物だ。

 なんたって大理石っぽい床を拳でかち割るのだからね。


『宜しくね、ユリウス。それに、王陛下って長いし堅苦しいからアルバで良いよ。勿論他の人もね』


「嗚呼…、王陛下を名前でお呼び出来る日が来ようとは。アルバ様、ご期待に添えるよう邁進致します」


 呼び方でここまで大袈裟に感謝されるなんて、僕の感覚がおかしいのだろうか。


 リリスの反応といい、少し心配になってくるなぁ。


「メルディン、です」


 羊の様な巻き角を持つ小さな少年の前に来ると、彼が絞り出すように声を出す。見ると身体が震えているではないか。


 うーん、やっぱり小さな子供を見下ろす大人って怖がられちゃうよね。


 僕は膝を突き、少年と目線を合わせて挨拶した。リリスや周りの人も「アルバ様っ…」と咎める様な気配がある。まぁ良いじゃないか、許してよ。


「王へい……、アルバ様、僕、などに…っ」


『まぁまぁ、気にしないでよ。気軽に話したいって言ったじゃないか』


「膝が、汚れて、しまい…、ます」


 この子は何だか言葉が辿々しいなぁ。違う国の生まれなのかな?何だか反応も初々しくて非常に可愛いらしい。


『メルディンだね?宜しく』


「よろ、宜しく、お願い…します」


 見る見るうちに目が潤んでいく。


 目線を合わせたのに、まだ威圧感があったかな?


『メルディン?大丈夫かい?』


「申し訳、あり、ません。…僕、アルバ様に、実際に、お会いするのは…初めてで、嬉しくて…。しかも、こんなに、お優しい、お方で…、」


 え?じゃぁ震えていたのも歓喜でって事?


「メルディン、それくらいにしなさい。アルバ様に膝を突かせるなど…」


「そうよ、メル。お兄様の服が汚れてしまう…。尤も、玉座の間に埃など残していたらメイドを氷漬けにしてしまうけれど」


 リリスとシャルの不穏な発言に苦笑いをしていると、目の前の少年が「五月蝿い、です」強い意志を感じさせる、喉から迫り上げた声を出す。


 え、本当にメルディンの声?先程まで凄く可愛かったのだが、今はヤサグレた反抗期の息子みたいな声だ。


「アルバ様とお話ししてるのは僕です…。お前らはお互いの尻尾でも追い掛け合ってろです。発情した獣同士、お似合いで笑えるです」


 あ、…これ僕との会話は辿々しかったの分かったわ。このヘンテコな敬語を使う訳にはいかないから、頭の中でおかしな所がないか確かめながら話していたな。


 意識せず喋れば、このヘンテコ敬語を喋っちゃう訳だね。(語尾にですって付ければ敬語になるわけではないよ)僕がポンポンとメルディンの頭を撫でてやると、彼は顔を真っ赤にして暴言は止まっていた。


『最後になったけど、君は?』


「……ガルムリウス」


 金髪碧眼の筋肉マン。彼がぶっきらぼうにそう言うと、リリスは額に青筋を立てた。


 何かしでかしそうな彼女を片手で制して、僕はガルムリウスに近付く。


『ガルムだね。それで、君は何をやってる人なの?』


「…城の警護と戦争中の軍の指揮だ」


『へぇ!それは凄い。前線に出て戦ってくれてるんだね?有り難い…、僕がこうしてるのも君のお陰って事かな!』


 その言葉に、ガルムは気の抜けた表情で「はは…」と乾いた笑い声を上げた。


「本当に忘れちまったみたいだな、アルバ様」


『そうだよ。だから色々教えてね』


 やっと和やかな雰囲気で話してくれる家臣に出会って、僕も上機嫌になる。


 気さくな感じで話してくれるガルムは立ち上がって、僕の背中をバンバン叩いて豪快に笑った。僕も楽しくなってきて、つられてへらへら表情が緩む。


『じゃぁ、そうだな。忙しいのに集まってくれて有り難う』


「アルバ様の命とあれば」


 ユリウスが眼鏡を上げながら、さも当然の様に言う。(大丈夫。全然当然じゃないよ)僕が何か言いそうな雰囲気を察したのか、立ち上がっていたガルムが再び跪いて僕を見上げた。


『暫く僕は記憶を取り戻す事を優先するけど良いかな?』


 詳細を言うと、この世界の一般常識と魔大陸について勉強するのだ。そして、出来る事なら力をつけてもしもの事態に備えておきたい。


 この世界に僕の知る常識が通じるのか疑わしいものだし、ここら辺は最優先事項だ。


 このブルクハルトが他の国にどう関わってるのか調べるのも忘れてはならない。どうやって国として資産を得ているのかとか、輸出資源や輸入資源、その方法も整理しなきゃ。


 一応手伝うと言ってしまったし、いざと言う時責任者として知らない、では済まされないだろう。僕もこの世界で生きていかないといけない以上、出来ることはやってやる。


「アルバ様の、望まれるが…ままに、行動をするのが、我々…五天王の、役目…です」


「メルの言う通りです!お兄様の役に立つ事こそ、無上の喜びです!」


『有り難う』


 僕がこの世界の常識と、今までの僕の事を学ぶまで少し待っていてくれ。


 そして、少しばかりで良いから行き詰まったら助けて下さい。


「あんまり無理するなよアルバ様」


 厳つい見た目とは裏腹に、ガルムは気遣い上手なようだ。


『行き詰まったら話し相手になって欲しいなぁ』


 それを聞いたガルムは一瞬きょとんとしたが「お安い御用だぜ!」と、ニカッと歯を見せて笑う。


「それで、アルバ様。そのお姿は…」


 ユリウスが今まで誰も聞かなかった事に触れ、僕は自らの髪を梳いた。


『あははっ、真っ白でしょ?おかしいよね…』


「決してそんな事はありません。以前のアルバ様のお姿も息を呑む程に美麗でいらっしゃいましたが、今のお姿も慈愛に満ち神々しくあります」


 ユリウス、そういう事は好意のある人に言うべきだよ。口説かれてるのかな?って思っちゃうよ。


「ユリウスの、言う通り…です。アルバ様の、髪は宝石の様に…光り輝いて、おり…ます」


 メルディンがユリウスに続く。


 後ろに控えたリリスが両手を前に、祈るような格好で「瞳の色とのコントラストが素敵です」と熱の篭った溜め息を零した。


『皆有り難う』


 お爺ちゃんみたいだ、と笑い飛ばしてくれても良かったけど、僕は皆の口からスラスラ出て来た賛辞の嵐を素直に受け取る事にする。


 きっと僕が若白髪頭に落ち込んでいたから元気付けてくれたんだな。


『じゃぁそろそろ、解散にしよう』


 僕は掌を軽く叩いて解散の合図とした。


 するとリリスが「皆、分かっていると思うけどアルバ様の記憶が無くなった事については他言無用よ。余計な混乱を招くから、部下にも言う事を禁止とします」と注意喚起を行う。


 そんなに気にする必要無いと思うけど、リリスがそう言うならそれは間違いない処置なのだろう。


『もし今後、何かあったらまたリリスにお願いして皆を集めてもらうよ』


 解散と言っても僕が居ると誰も姿勢を崩さないし、出て行かなかったので、僕が先に退室する事となった。


◆◇◆◇◆◇


 リリスが付いてきてくれたお陰で、僕はこの広い城の中で迷わず自室に辿り着く事が出来た。


『案内有り難う、リリス。助かったよ』


「お礼なんて…」


 恥ずかしそうに頬を染めて微笑む彼女は「他に御用がありましたら、他の誰かではなく、私を!お呼び下さいね」と去って行く。


 他の人は忙しいから呼ぶな、と言う事だろうか。

 それは五天王の統括って立場の彼女も忙しいに違いないのだが。


 よく分からない、と頭を掻きながら自室の扉をメイドさんに開けて貰った。そこは何処かの高級ホテルのスイートルームかってくらい広い部屋。


『うわぁー…』


 浴室にトイレ、キッチンまで。生活に必要だと思われる物は全て揃っている。


 暫く何をするでもなく部屋を見て回っていたが、金の額縁に入れられた、黄金で出来た立体的な世界地図に目を留めた。


 絵のように飾られているが、これ多分何100kgとかあるんだろうな。黄金とか持ち上げた事がないから全く見当がつかないが。


『ブルクハルト』


 大陸の1つに彫られた文字。確かリリスは魔大陸の5分の1を占める大国だと言ってたなぁ。

 ブルクハルトを囲む線を目で辿ると、言っていた通り大陸の5分の1くらいの領土だ。

 僕は眩暈がして、だだっ広いベッドに背中から倒れ込む。


 実感は湧かないけど、本当に魔王になってしまったんだな…。



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