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召喚獣管理局

 エセルのロッジのソファで寛ぐ若い男は、サフランイエローの短い髪の毛を逆立てているという髪形で、公務員とは信じがたい雰囲気の男だった。

 エセルと比べれば線が細く、整った顔立ちの彼は、公務員よりもミュージシャンと紹介された方がすんなり来るという感じだ。


 彼は私にサマエル・ローグ召喚獣管理局公安部長と名乗った。


 そして、私の裸族、エセルバート・グレインさんこそ、サマエルの上司となる召喚獣管理局SSUN地区の支局長という事だった。


 サマエルは管理局の制服を着ていたが、それは詰襟の丈の長い白いものだが、裾や袖口、そして打ち合わせには銀色の細い紐で文様のようにして縫い付けられているというデザインだった。


「エセルも仕事の時はあの服を着るの?」

「……うむ。」


 支局長という身分らしく、答え方は爺臭く、語彙もめっきり減ってしまった。


「しばらくは着ないですよ。彼は停職中だもの。」

「支局長なのに?」

「支局長だから。平だったら軍法会議の上で銃殺かもしれませんね。」


 何をしたのかを見返すと、彼はやっぱり私から顔を背けていた。


「見逃しちゃったのですよ。」


 私はサマエルを見返すと、彼は真っ青な瞳の片方をパチッと閉じて見せた。


「今の君みたいに。」


 ぎゅんと私はエセルに抱き寄せられた。

 うわぁ、暑苦しい。


「だから、これは婚約者だと。」


「どこの星のお嬢さんですか?身分証の提示をお願いします。俺のホバーには身体検査用のキットが詰め込んでありますよ。持ってきましょうか。」


「失礼な!俺の婚約者を馬鹿にするのか!」


「だったら証拠を見せてくださいって。隠したいんなら言ってくださいって。俺はあなたを銃殺するくらいなら、見逃したいと思っているのですよ。俺だって嫌ですよ、勝手に呼び出した召喚獣を何も知らない馬鹿どもにいじくりまわされるのはね。あなたの気持ちはわかりますよ!」


「じゃあ見逃せ。」


「だから、事情を話せって言ってるでしょうが!」


 私は彼らにはいない者となって、彼らは、特にサマエルが熱くなってしまっているが、私こそ本気で暑い。

 エセルに抱きしめられ、二重三重の服に埋もれ、そして、暖炉が赤々と燃えている室内では、私は二人の諍いなどどうでもよく、意識が朦朧とし始めた。


 うん、目の前が真っ暗になるくらい。

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