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2:俺の飼い主と俺の前世

 唐突だけど、自己紹介する。俺の名は『一誠』。犬だ。飼い主は『小春』という女子大生。彼女は数ヶ月前に恋人を亡くし、その寂しさを紛らわせようと俺を飼った。俺の名前はその亡き恋人からとったらしい。でも俺には秘密がある。実は俺がその『一誠』なのだ。


小春:一誠…。


当時、人間であり、小春の恋人だった大学生の俺は小春とアパートで同棲しており、俺は工事現場でバイトをして生計を立てて生活していた。学業と仕事に疲れがあっても彼女の笑顔を見れば気力が湧いて頑張れた。そして、俺が死んだ日の朝。


小春:いってらっしゃい。一誠。


一誠(人間):いってくるよ。小春。


小春はいつもの明るい笑顔に俺は今日もやりきってやろうと思っていた。しかし…。


小春:一誠!


最悪だ…。工事現場の高台に登っていた俺は転落死してしまった…。小春は近くで泣き叫んでいた。俺はここだ!ここだ!もちろん、死んでいる俺の声は届かない…。


小春:…。


小春!?やめろ!小春!小春は崖から海に飛び込もうとしていた。俺を追うつもりか!?やめろ!俺なんかに命を粗末にするな!やめてくれ!


一誠:ワン!ワン!


小春:!?


小春は驚いて止まった。俺の想いが届いたのだろうか?俺の声は変わっていた…。姿も犬へと変わっていた。驚きはあった。それでもかまわなかった。小春には俺の好きな笑顔でいてほしい。泣いているのを見るのは辛い。俺が小春を守る。姿が変わってしまっていてもいい。言葉が出なくてもいい。ただ…小春を一人にはしたくない!


小春:一誠?


小春は犬となった俺を生前と同じ『一誠』と呼び、世話をしてくれた。最初は違和感を感じたが、いつの間にか慣れていった。だから俺は小春に恩返しがしたかった。小春を一人にさせない優しい人がいてくれないだろうか?


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