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「お?」
ジーナの表情が曇った。
そうだよ。
どんどん、かわすのが楽になってる。
あんたが弱ってるから。
「何だ…これ…」
「ガスだよ、ガス。無色透明のガス。この施設は戦争用科学兵器の研究をしてた。さっき、スイッチをONにしてから、ここに入った」
「な…何だって…」
「身体機能が低下して、最後は息の根が止まる」
「ア、アタシだけ?」
「あ。こっちは抗体を射ってる。しばらくは平気なんだ」
「クソが! ぶっ殺す!!」
口だけだ。
ジーナは、すぐにへたりこんだ。
放っておくだけで死ぬだろう。
空気中のガスは試作品だから、しばらくすれば無害になる。
このまま出ていく?
悩んだ。
そして、決めた。
ジーナに、もう1本のアンプルを射つ。
あとは、ジーナの運次第。
さあ。
じゃあ、行こうか。
え?
甘すぎるって?
だよね。
自分でも、そう思う。
でも、これがあたし流なんだよ。