6/30
6
着いた。
ビルの入口。
罠が無いか確認しながら、上階を目指す。
もちろん、ハンドガンも用意。
敵が複数なら、厄介だな。
何もなく、最上階まで来た。
片端から部屋を調べる。
3番目のドアの先に…敵が居た。
タレットだ。
自動で狙撃を行う最低限のAIを搭載した小型のロボット。
脚さえ付いてない。
以前、ここに陣取ってた何者かが設置した?
そいつはどこかへ去ったのか、それとも違う場所で死んだのか。
窓から下界の獲物たちに銃口を向けているタレットに近寄り、スイッチを切った。
機械音と共にロボットは機能を停止する。
プログラム通りに動く機械に右往左往か。
プログラム通り…。
考えてみれば、あたしもこのタレットと同じようなもの。
ジジイに恨みを入力されて、親父を追跡する、復讐を果たすためだけの機械。
それが、あたし。
急に可笑しくなってきた。
静まり返った部屋で、独り笑った。
涙が出てきた。
あんたも可笑しいと思うでしょ?