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「がっ」
壁から顔を出した男が吹っ飛んだ。
頭を撃たれた。
これで2人目。
おそらく、前方の5階建てのビルからの狙撃。
今回、あたしは比較的モラルのあるグループといっしょに、この場所にやって来た。
過去の遺物の回収が目的。
戦争前は普通だった物が、今は貴重になってる。
あたしを含めて11人がギラつく太陽の下、このエリアに入った途端。
攻撃が始まった。
先頭の男が撃たれ、皆はバラバラに物陰へと隠れた。
さっきやられたのは、あたしと同じビルの陰へと逃げた仲間。
もう動かない。
銃声。
反対側の塀の後ろに隠れた男が、断末魔と共に倒れる。
気の毒だけど、狙撃手のだいたいの位置が分かった。
やっぱり、前方のビル。
早く敵を始末しないと。
リュックから出した、ガスマスクを装着。
次にスモークグレネードを出す。
あたしと目標のビルの間に投げ込んだ。
しばらくすると、辺りに煙が充満。
姿勢を低くして、ビルに走りだす。
速く速く速く。