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月明かりの下に、あたしとチェイミーは立ってた。
あたしたちの後ろは断崖絶壁。
あたしはチェイミーの前に立って、崖とは反対側にハンドガンを向けてる。
銃口の先には、猛然と、こちらへ突進してくる女。
ジーナだ。
ジーナは以前、あたしとやりあったとき死にかけたけど、しぶとく生き残った。
そして、相も変わらず、執念深く、あたしを追いかけてきた。
この山道で、あたしたちはジーナに見つかった。
ジーナは無尽蔵のスタミナで、あたしたちを、この場所に追い詰めた。
お気に入りらしい鉄パイプを振りかぶって、一直線にこっちに突撃してくる。
あたしは銃を撃った。
9㎜弾は、ジーナの頬をかすめて外れた。
続けて2発目を撃つ。
今度はジーナの脇腹に当たった。
ジーナの勢いは止まらない。
あたしが3発目を撃つ前に、ジーナの鉄パイプが、あたしの右手首を強打した。
おそらく手首が折れた。
ハンドガンが手から落ちる。
あたしは、しゃがんでハンドガンを拾おうとするふりをした。
フェイントだ。
狙い通りに、ジーナは鉄パイプの2撃目を振ってきた。
あたしが銃を拾うと見越した辺りへのフルスイングだ。
あたしは左手で腰に付けたナイフを抜いて、空振ったジーナの右上腕に突き立てた。
ジーナが鉄パイプを落とす。
ジーナは怯むことなく右脚の前蹴りを出した。
下腹部を蹴られたあたしは、両膝を着く。
そこにジーナの左アッパーが、下から襲ってきた。
あたしの身体が後ろに吹っ飛ぶ。
とっさに左腕でアゴをガードしたから気絶は免れた。
仰向けに倒れたあたしは、後頭部の下に何もないことに気づいた。
頭は崖の外にあった。
ジーナが、あたしにのしかかってきた。
左拳を、あたしの顔面めがけて振り下ろしてくる。
両手でガードする。
あたしの両脚がジーナの胴体を挟んでるから、かろうじてクリーンヒットを避けれてる。
折れた右手首に、ジーナの打撃が当たる度に激痛が走る。
あたしを見下ろすジーナの顔は鬼の形相だ。
ジーナ、あんた、そんなにあたしが憎いの?
あたしも、つい、この前までそんな顔をしてた。
今はもう、あんなに人を憎む気持ちは無くなったんだよ。
あたしとあんたが命をかけて戦う意味なんて本当にあるんだろうか。
脇腹を撃たれて右腕にはナイフが刺さってるのに、ジーナの動きは鈍くならない。
化け物じみたタフネス。
このままだと遠からずジーナの拳が、あたしの顔面を叩き潰す。
死の予感が、口の中に広がってきた。
嫌な味だ。




