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しばらくすると、ヒョウマの肌に血の気が戻ってきた。
「げほっ」
ヒョウマが咳き込んだ。
身体がブルッと痙攣する。
少しずつ、両方の瞼が開いた。
ヒュッとヒョウマの喉が鳴った。
なかなか声が出せない様子だ。
「誰だ…」
ひどく小さくて、弱々しい声。
ラリってるみたいだった眼が、まともになってくる。
「誰だ?」
ゆっくりと、もう一度言った。
「ミーコ」
あたしが答える。
「ミーコ…?」
「お前の娘だよ。もう忘れた?」
「ミーコ? 違う…ミーコは…そんな顔じゃない…いや…何だ…これは」
ヒョウマの頭が揺れた。
あたしはヒョウマの顔面に銃口を向けた。
「ミーコ!」
後ろから、チェイミーの声。
「大丈夫、まだ撃たない」
あたしは背中を向けたまま、チェイミーに左手を振ってみせた。
「ヒョウマ、この機械は何だ? ここで何をしてる?」
「これは…夢を見せてくれる。自分が望んだ夢をずっと…ずっと…」
すると、さっきの画像はヒョウマの夢だったのか?
都合良くプログラムされた、永遠に幸せな夢を見続けられる機械?
「アハハハハッ」
あたしは笑った。
何年間も追いかけた仇は、機械が造りだした夢の中に隠れてた。
あたしが成長して結婚して子供を産んで、自分は皆に惜しまれながら寿命をまっとうする人生だって!?
「何故、部族を裏切った?」
あたしの問いにヒョウマは顔を歪めた。
今まで脳に詰まってた嘘の人生が消えて、とうとう現実を思いだそうとしてるのか。




