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「妻をアルゴに、なぶり殺された。チェイミーの母親だ」
ハインツが言った。
瞳に、どす黒い炎が渦巻いてる。
あたしも親父の話をするとき、こんな眼になってるのかな?
チェイミーというのは地下倉庫で、あたしを指差した女の子の名前だ。
ハインツの娘。
あたしが何者かを父親に説明された後は、完全にこっちを無視して「PS」の整備をし始めた。
まだ若いのに、整備技術を習得してるみたい。
この子も、こんなふざけた時代を、何とか生き抜いてきたってことか。
あたしとハインツはアルゴのアジトを、どうやって攻略するか打ち合わせを始めた。
「夜襲する。正面から俺が突撃するから、その隙にあんたは侵入して欲しい。タレット制御の端末を見つけたら、設定を変えてアルゴの手下を攻撃してくれ。奴らは15人程だが上手くいけば、あっという間に、こっちが勝つ。チェイミーは、あんたといっしょに行動したほうが」
「ちょっと!」
冗談じゃない。
ハインツは、娘を連れていくつもりらしい。
「危険すぎる。あたしの足を引っ張られるのはゴメンだよ」
「私は足を引っ張ったりしない!」
チェイミーが大声を出した。
栗毛の髪に、そばかす顔。
どう見ても子供だ。
「自分は自分で守れる! ちゃんと戦えるよ!」
勘弁して欲しい。
「ミーコ。俺も娘も覚悟は出来てる。命を賭けてるんだ」
まったく。
「分かった。好きにすれば。あたしは、あたしの仕事をするだけ」
今まで組んだ奴らが死ぬのは何人も見てきたけど…子供が死ぬのは見たくない。
気を引き締めてかからないと。
「よし、これで決まりだ。明日の夜に決行する。今日は、ここに寝てくれ。簡易だが寝床はある」
ハインツが言った。




