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神帝陛下の仰せのままに!〜創造神クロノアールの異世界観光記〜  作者: 日ノ宮九条
第一章 【フォーネル編】神帝陛下と始まりの街
9/10

7. 神帝、やらかす

ストーリー始まったばかりなので説明ばかりになってしまいますね^^;


神皇→神帝に名称を変更しました


魔剣とは其の名の通り魔術が込められた剣のことである、というのが主に数多の「世界」の住人達における認識である。

魔剣はダンジョンから産出するもの、または急に森などに出現するもの、そう捉えられておりその存在のほとんどは謎に包まれている。

ただ分かっていることは、魔剣は所有者を選び、選ばれた者の前に姿を現すこと、そして魔剣はそれぞれ強大な力を宿していること、この二つである。


が、しかし、世界の住人達が知ることの無い事実が存在する。

というのも実はこの魔剣に込められているのは魔術ではなく、神術(・・)なのである。

魔術と神術は使用する力こそ違うものの、元の性質に大した違いはない。

そのため、地上の住人たちが知る由もないのだがーーー魔剣とはすなわち、神々が作った魔道具菜のようなものなのだ。


世界に点在する魔剣はその管理神たる神が作ったものか、もしくは管理神がほかの神からもらったものを戯れに世界へと墜すことにより地上に顕現する。

魔剣が所有者を選ぶと言われているのは神術により神にとっては遊び程度のものではあるが人間達にとってはその力は強力なもの、その力を引き出せる者が限られているからなのだ。


そんな、神々が作りし魔剣には個々に性能の差というものが存在する。

というのも、より高位の、序列の高い神が作った魔剣であればある程にその力が増すからである。

とはいえ、さすがに高位神が作成した魔剣は人間には扱えない上込められた力が強すぎるため世界に墜すことができる魔剣は第六級および第五級の神が作製した魔剣に限られている。

例外として有事の際、第四級の神が作成した魔剣を世界へ送り込むことはあるが、それらは目的が達成され次第すぐにクラストリカへ回収されることになっているのである。


また、魔剣は所有者の力量によっても発揮出来る性能が異なるとされている。

ただの人間が魔剣を使用するのと、神が魔剣を使用するのとでは発揮出来る力が違う、と考えればわかりやすいだろう。

魔剣に選ばれている以上その力を最大限に発揮できる訳だがさすがに人の身では神が振るうようにはいかないのは同然だ。


とはいえ、下界で主に魔剣を振るうのはその地の住人である。

魔剣とはいかに下級神術が作ったものとはいえ人知をはるかに超える代物と言っても過言ではない。


ーーーゆえに。


たとえそれが魔剣同士の戦いであったとしても。

いかに片方の魔剣の性能が勝っていたとしても。

使用者の力量に差があったとしても。


ーーー魔剣がただ一度の衝撃で破壊される(・・・・・)など、有り得るはずもないのだ。


にもかかわらず。


「な・・・・・・魔剣が、破壊されただと・・・・・・?」


ーーー粉々に砕け散った己の魔剣、「雷神剣」を呆然と眺め、呟く。


魔剣は強力かつ、滅多なことでは刃こぼれは愚か、破壊されることは無い。

にもかかわらずーーーこれは一体どうしたことか。


模擬戦相手の少年ーーークロノアールが魔剣を使用していたことはロイドも知っている。

彼の魔剣が急に形を盾の形へと変えたのもーーーこれは恐らくあの魔剣の能力なのだろうーーー見えた。


そしてその盾に自分の魔剣が突き立てられた瞬間。

雷神剣がいともあっさり砕け散ったのだ。


ベテラン冒険者がまず負けるだろうと思われていた初心者に負けたこと異常に魔剣の破壊という事態に、ロイドのみならず観客も信じられないといった様子で騒然としている。


対して、破壊した張本人ーーークロノアールはというと。


(あーやっぱり壊れちゃったか。ロイドに悪いことしちゃったなぁ。でもまぁいいか、直せばいいし)


創造剣・エンミリオン。

数千年前にクロノアール自身が(・・・・・・・・・)作成した魔剣の一つである。

戯れに作ったもので、その能力は「所有者が想像する形に変化できる」というもの。

ヘスティアへ来るにあたり何本か作ったまま放置していた魔剣を持ち出してきたのだが、試し斬りも何もしていなかったためクロノアールにも正直どの程度の力を発揮するかは分からなかったのだがーーーそもそも、下級神の魔剣では神帝の作成した魔剣と勝負になるはずもなかったのだ。


「あーごめん、ロイド。すぐ直すから待ってて」

「は?いや、魔剣が直せるわけーーー」


まだ放心に加え困惑した様子のロイドの言葉を遮るように、創造剣を亜空間にしまい、代わりにもう一本の剣を取り出す。


鞘に桜の意匠が施された美しいその剣ーーーと言うよりは刀ーーーを鞘に収めたまま(・・・・・・・)右手に構えた。


「魔剣起動。『快癒せよ、生命剣』」

「!?」


ーーー瞬間、雷神剣の残骸が光り輝き、元の形状へと形を戻していく。

光が収まったとき、そこには砕け散る前の状態に戻った雷神剣があった。


「魔剣を直す魔剣、だと?そんなものが・・・・・・」

「そりゃあまぁ、攻撃の魔剣もあれば癒しの魔剣もあるからね」


ーーー生命剣・アビスで治せるのは魔剣だけじゃなくて全て(・・)だけど。


生命剣・アビスはクロノアールが第二級の生命神から貰ったものであり、その性能は「万物を快癒する」というもの。

もちろん、流石のクロノアールもその能力を知られれば面倒なことになることは理解しているため「魔剣を直す魔剣」という勘違いに便乗するつもりではあるのだが。


「さて、と。それで?どうする、ロイド?剣も元に戻ったことだし続きをする?」


そんなクロノアールの言葉に、ロイドは驚きから一転、苦笑を浮かべて首を横に振った。


「いや。俺の剣ではお前さんの剣とは打ち合えない。これ以上やってもまた破壊されるだけだろう。俺の負けだ」


ーーーたとえ、魔剣を使わない試合をしたとしても、自分に勝ちは見込めない。


魔剣を複数所有する者はいなくはないが、それは強者の証。


「・・・・・・なぁ、坊主、いや、クロノアール。お前さん、何者だ?」


探るような、というよりは単純に、心から疑問に思っているようなロイドの言葉に、クロノアールはクスリ、といたずらっぽい笑みを浮かべた。


「ボク?ボクはただの観光客(・・・)だよ」


**************************


ーーー場所は変わって、ギルドの奥。

試合が終わり、さぁ次はシルヴィの試験をーーーと観客の中から従者の姿を探していたクロノアールは騒然とする闘技場へと現れたとある人物により何か言いたげなシルヴィと共にその部屋へと連れてこられていた。


「・・・・・・さて。とりあえず、自己紹介から始めましょうか」


にっこりと、感情を覆い隠すような笑みを浮かべーーーその人物はそう切り出した。


長い若草色の髪に同色の瞳、整った顔立ちの30前後に見えるその男ーーー耳の形状からおそらくエルフだろうーーーは胡散臭い笑みのまま続けて言った。


「私はここ、ヘイス冒険者ギルドのギルドマスターをしています、レイノと申します。貴方がさっきの騒ぎの元凶のクロノアールですね?」

「む。騒ぎの元凶とは聞き捨てならないな。ボクはただ試験を受けただけでそれ以外は何もしてないけど?」


クロノアールの言葉に、シルヴィのこめかみがピクリと動く。


(クロノアール様!?いや、貴方全力でやらかしていますよ!?)

(む・・・・・・そんなこと言ったって、冒険者になるには勝たないといけないから仕方ないじゃないか)

(それもそうですが、それよりも、魔剣を破壊したことが問題なんです!!)

(はぁ?魔剣を壊したことが?そりゃあ強い武器同士ぶつかれば弱い方が壊れるだろう?)

(下界に存在が許されているレベルの魔剣同士ぶつかったぐらいで魔剣が壊れるわけがないでしょう!創造剣なんて、あんな圧倒的なものでもぶつからない限り、魔剣はおいそれと壊れません!)

(え、そうなの!?)


衝撃の事実を知り、内心愕然とするクロノアール。

と同時に何故自分たちがギルドマスターに連行されたのかを悟り、引きつった笑みを浮かべるのだったーーー。



4月の後半になったら投稿する曜日を固定しようかと・・・

だいたい週に3回くらいできればいいなぁと思っています


次の投稿は土曜日の予定です(日曜日になるかも?)

だいたいいつも夜の10時に予約投稿してます

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