〜〜〜はてこい〜〜〜 聞き慣れない足音
第八話
水を飲んで、水炊きの支度をする。いつもどおりの休日だ。まずは昆布で出汁を取り、鶏肉とキノコ、そしてありったけの食材を入れるが、今回は鱈の切り身入り。ポン酢で食すのだが、豆腐だけは醤油と鰹節で頂くのがボクの流儀だ。煮えるまで放置で、ワインを開けよう。黒猫のラベルが可愛いチリ産の「Gato Negro Cabernet Sauvignon」だ。
2日分はたっぷりある。前日の酒が残っているから、すぐに酔いが回る。でも、前夜を少しでも思い出そうとする。暫くするとアパートの廊下から靴の音が聞こえて来た。ココの住人ではない… 「ピンポーン」、ドアに向かうと足下には郵便受けに投げ入れられたキーホルダー、そして鍵を開けた。
「あ、居た。出掛けていたらどうしようかと思って…」
レイコだ! 少し上等なイタリアンの「Le Macchiole Bolgheri Rosso」とブルーチーズ、そしてヒジキの煮込みを持って来た。自分で作って来てくれたのか!?
「おつまみ足りないかなってね。ヒジキに大豆を入れるのが普通? 私大嫌いなの(笑)」
「あはは(笑)、入って居たら全部寄せて食べる!」
ワインで乾杯したものの、彼女はすぐにベッドに寄りかかって寝てしまった。ボクは彼女の肩を抱いて、この幸福感を今度は絶対に忘れないと誓った。そして目覚めると本能のまま情事に耽った…。
続く
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