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「スタートダッシュ」
「最後の花火なのに、何だか切なくないね。」
君は何だか爽やかな表情をしているようで
どこか悲しげにも見えた
平成最後の夏
この夏が終わったら僕は遠くへ行く
それなのにあの頃の寂しさはもうない
何だか重い荷物から解放されたような気分みたいで
もしくは空っぽになったみたいで
「最後の花火なのに、何だか切なくないね。」
僕は君の言葉にどう返せばいいのだろう
どこにも答えが見つからなくて
僕たちが過ごす最後の夏
この夏が終わったら君はどうするのか
それすらも聞き出せないままでいた
このままだと一生の後悔を残すことはわかっているのに
何故かそれを望んでいる気もして
「そんなことないよ。ちょっとだけ寂しいよ。」
僕は寂しいふりをした
君に何て言うべきか、わかっているようなわかっていないような、そんなふりをした
最後の真夏の喧騒が空に滲んで消えた後には
虚しさだけが僕の心の中に残っていた




