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お兄ちゃんと愛しきキョーダイ達  作者: 文房 群
お兄ちゃんの愛しきキョーダイ達
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8/19

そんな日常の六男


 では、我が家の六男くんを紹介させていただきます。

 

 

 五男くんと並ぶ十人キョーダイの真ん中。

 丁度真ん中より下なので、ここから『下弟組』と呼ばれているキョーダイの中では一番上になる六男くん。

 ちなみに長男から五男くんまでは『上兄組』って呼ばれてますが、まあそれはさておき。

 

 コードカラーは黒色。

 『弟組』の中でもさらに『下弟組』に位置する弟達の中で一番上なため、立場的には中間管理職的な事をしている六男くん。

 五男くんと一緒くたに『天然コンビ』って呼ばれていて、個人の気配は五男くん並みに薄く、気が付いたらいなくなってるなんて事が多々ある六男くんはら、五男くんみたいに方向音痴じゃないし、『下弟組』を纏める役だけあって四男くんに次ぐしっかり者だけど――――五男くんとは別の意味で目を離せられない理由が一つ。

 

 

 何故かいつも厄介事に巻き込まれてるんです、六男くん。

 

 

 そういう体質というか、宿命というか、星の巡りというか…………なんというか。

 大体の問題事にどういうわけか巻き込まれるんです、六男くん。

 

 たとえば――――五男くんが迷子になった先でまさかの強盗の人質にされるという事件があった時。

 五男くんが人質になっていたと発覚する数分前からいつの間にかいなくなってて。

 「六男くんまでいなくなった!」って騒いでたら、まさかの強盗の人質になった五男くんと一緒に人質になっているという衝撃の展開。

 どうしてそうなった。

 お兄ちゃんは心の底から思いました。

 なんでそうなった。

 

 後で話を聞いたら「五男くんがいそうなところを探してたら五男くんを見つける事が出来た。でもお兄ちゃん達と合流しようとしたら強盗に捕まった」のだという事でした。

 ちなみに無事六男くんは五男くんと共に無事救出されました。六男くん専属のシークレットサービスもとい片割れが超怖かったとだけお兄ちゃんは言っておきます。マジ恐怖でした。

 

 まあ、実はこの事件以外にも六男くんは不運なことに様々な事件に巻き込まれちゃったりしてまして。

 たとえば外出して公園から飛んできたボールが後頭部に直撃して、四男くんがキレちゃったり。

 長男くんの女タラシのせいで世にも恐ろしい女の子の修羅場に巻き込まれたり。

 ギャングの派閥争いにどういうわけか関係者と勘違いされて人質として参加しちゃったり。

 雨上がりのマンホールの上を歩いて滑って転けたり。

 「うわ、六男くん運なさすぎ…………?」みたいな事が沢山ありました。

 なので五男くんとは違う意味で見守りが必要なんです。

 それでも巻き込まれちゃったりしますが。

 しかも当人は気にしてませんが。というか巻き込まれても「なんか巻き込まれた」程度の認識という。

 達観してるんだが、呑気なんだかお兄ちゃん分かりません。恐らく後者です。はい。


 昔から色々な事に巻き込まれてきた六男くん。

 そのせいか、大体の事には動じずいつでも冷静な中間管理職くんですが、実は六男くんの真骨頂は別のところにあります。

 それはというと――――

 

 

 六男くんは、天然ジゴロなんです。

 

 

 まず『ジゴロ』が何かって話になるんですけど、『ジゴロ』っていうのは意図して女の子を口説いて貢がせる、ヒモだと認識しておいてください。

 つまりタラシとかナンパ男とか、タチの悪いそんな感じです。長男くんがこのジゴロにあたるかな?

 で、六男くんの場合は天然――――つまり素で人を口説いてしまうところがありまして。

 

 簡潔に言うと、一級フラグ建築士です。


 ジゴロよりある意味手に負えません。だって当の本人は思った事を口に出してるだけなんですもの。

 具体的にどんな感じかというと――――泣き虫な弟がぐすぐすと泣いていまして。

 それをおちょくったりするキョーダイがいる中で、六男くんはぽんぽんと泣いている弟の頭を撫でてですね「どうしたの?」と優しく問いかけます。

 鼻をすすりながら事情を説明する弟くん。話を聞いた六男くんは「そっか」と言うと、ふわっと微笑んで。

 

 

「いっぱい泣いてもいいよ。でも、僕は赤が笑った顔の方がいっぱい見たいな」

 

 

 と、普段は何を考えてるか分からない気怠げな無表情に、優しさを浮かべて言うんです。

 

 やめて、恋に落ちる。

 

 あの、本気で。胸の奥で凄まじい音が鳴るんでやめて欲しいです。切実に。天使か。

 しかし当の本人は無自覚。思った事を、他意もなくそのまま言っただけ。

 なので指摘しても「?」と首を傾げるばかり。

 くそっ、こんなのでお兄ちゃんときめいたりしないんだから…………っ!

 

 その上普段は本当に眠そうな無表情なので、唐突に想定外の事を言い出したりやり出したりします。

 急に三男くんのイタズラに参加したり、長男くんがグレてた頃は帰りが遅い長男くんを一人で迎えに行ったり。

 思ってることが顔に出ないせいで、お兄ちゃんとしては何を仕出かすか分からずいつだってドキドキしてます。心配的な意味で。

 そして不意打ちな形で天然ジゴロ発揮するから心臓もたない。六男くんを見てくれるキョーダイがいてよかったと本気で思ってる。色んな意味で。


 そんな、顔には出ないけどとても心優しいフラグブレイカー六男くん。

 一級フラグ建築士なので妙な人に好かれやすかったりしますが、キョーダイの中でもとっても優しいお兄ちゃんの癒しです。

 …………周りが怖いんだけどね。うん。

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