そんな日常の四男
それでは我が家の兄貴こと、四男くんを紹介します。
そうそう。
ここから下の弟は全員同い歳で固まってるから、長男くんから三男くんまでの『兄組』と区別出来るように『弟組』って呼ばれています。
やっぱり歳が同じなだけあってよく遊んでるし、喧嘩もするし、何より団結するし、悪巧みもしてる。
今がやんちゃ盛りの弟達です。
そんな『弟組』の中でも一番お兄ちゃんに当たるのが、今から紹介する四男くん。
コードカラーは黄色の、『弟組』の兄貴です。
立場的には社長を長男くん、秘書を次男くんとしたら四男くん中間管理職にあたるんだけど、なんとも良い具合に弟達の面倒を見てくれる兄貴属性の弟です。
え? 関係がややこしいって?
じゃあとりあえずキョーダイの中に一人はいる、面倒見のいい子ってことで、認識を統一しましょう。
あながち間違っちゃいないから。
さて。
いつも元気で弟達を引っ張る、行動的で弟のみならずフリーダムな長男くんの面倒も見てる四男くんですが…………一言で彼を表現すると。
兄貴です。
それ以上の言葉が思い当たりません。
とにかく、面倒見がいいんです。
例えば、よく迷子になる弟が迷わないように手を引いたり、フラフラっとどこかに行こうとしているのを引き止めて路線を元に戻したり。
三男くんのトラップに引っかかったお兄ちゃんを救助したり。
怠け者の弟を働けと叱ったり。
長男くんのフリーダム行動を止めたり。
弟達の喧嘩を止めたり。
お兄ちゃんの体調を気遣って家事のお手伝いを率先してやってくれたり。
とにかく、面倒見がいいんです。
しかもそれを、爽やかな笑顔でスマートにやっちゃうのが、ついつい頼りたくなっちゃうポイント。
来たばかりのお兄ちゃんにも「いつでもたよっていいからな!」と快く声をかけてくれた、マジでいい子です。
しかもその面倒見の良さは身内に留まらず。
困っている人がいたら声をかけて助けに行く。
悪い事はキチンと悪い事だと認める。そして反省する。
まあ、年相応のやんちゃさとか子どもらしさもありますが、それを差し引いても本当に良い兄貴なんです。
もう、カッコイイよね。スポーツ少年みたいに爽やかだよね。恋に落ちるよね。いやお兄ちゃんは落ちませんけど。
他所のヤツには超短気だけど。
「またこのパターンかよ!」とか思った? ねえねえ思った?
大丈夫、お兄ちゃんも最初に思ったから。
そうです。キョーダイ間の絆が半端じゃなく強いんですこのキョーダイ。
無論このパターンはお兄ちゃんが兄貴と褒め称える四男くんにも当てはまりまして。
例えば――――イタズラという名の実験で三男くんにローションプールに突き落とされても「やめろよホントに…………」と不満げな顔で許したのに。
公園で大学生が水鉄砲でバカやってるのに巻き込まれて、ズボンの裾がちょっと濡れちゃって。
その事に大学生が気付かなくてそのままバカやり続けてるの見てた四男くんは、バカやってる大学生を一人捕まえるや否や。
「何、人に水ぶっかけといて無視してんだよ。死ねよ」
そのまま近くの池に大学生突き落としたよね。
しかも息継ぎのために浮かび上がってきた大学生を上から押さえつけて、そのまま溺死させようとしてまして。
その時は慌てて止めに入ったから大事には至らなかったけど、なんであんなことをしたのか理由を訊いたら、静かに、だけど怒った声でポツリと。
「謝らなかったアイツが悪い」
目がガチで人を殺す目をしてて、お兄ちゃん震えたね。
あれは、もう、ヤバかったね。
死ぬかと思ったよ、お兄ちゃんが。
でもこれはまだマシな方でして。
迷子になった弟を迷子センターまで迎えに行ったところで、「言葉が弟を馬鹿にしてる」ってその場で迷子センターのお姉さんの顔を消火器でボッコボコにしようとしたことがありまして。
しかもその時の怒り方が烈火のごとく――――というか獣の如くで…………大変だった。
暴れる四男君を取り押さえる長男くんとお兄ちゃんと、お兄ちゃんについてきた弟くんの説得でなんとか鎮めたけど、うん。あれは、ヤバかった。
人間怒るとこんなふうになるんだなって、痛感したもん。
でも、四男くんは身内にはそんなに激しく怒らないし、「この人ならいっか」と思った人にもそんなにキレることもないから、我が家の中じゃ『大人しい方』にカウントされてるけど。
身内判定されてないヤツは、まあ、触らぬ神に祟りなし、ってことで。
そこを除けば、面倒見の良い兄貴だから。お兄ちゃんも頼りにさせてもらってまーす。
最近「自分で仕事しろ」って言われるけどねっ。