クラス内対抗戦 VSマリカ 2
一方のケンは、間接攻撃を全て跳ね返してしまうマリカをどう攻略するかを考えていた。
(俺程度の閃光弾じゃ、全て跳ね返されてしまうか。となると物理攻撃で何とかするしかないけど……)
かといって、迂闊にマリカに近づけば彼女の霊能力で滅多打ちにされてしまうだろう。
(……ケン君何か考えてる? 何なのかはわからないけど、実行させない……!)
しかし、マリカはケンにお構いなく攻撃を仕掛ける。
マリカは自分が生み出した木に手を掲げると、そこからエネルギーを吸い出して、自分の霊力とした。
「なっ……、自分で作った木からもエネルギーを取り出せるのか!」
予想外の行動に、ケンは戸惑いを隠せない。
「木を生み出すにも霊力を使うから、厳密に言うとそれを回収している、って感じかな」
マリカは説明しながら、蓄えた霊力を使ってケンに攻撃を仕掛ける。
先ほどよりも威力の上がった攻撃に、ケンはかわすことしかできなかった。
いや、正確にはかわすことで精一杯だった。
(こんなの喰らったらひとたまりもないな。しかし、いつまでもかわしてたって埒が明かない)
突破口がないケンは、マリカを攻めあぐねていた。
(このままじゃジリ貧だ。いったいどうすれば……)
考えているケンに打開策を与えないと言わんばかりに、マリカは攻撃の手を速めていた。
手のひらから棘のついた茎を生み出し、それを鞭のようにしならせてケンに向かって振るった。
ケンは一度はかわすものの、マリカはそれを切り返し、ケンに喰らわせる。
「がっ……!」
叩かれる痛みに、棘による切り裂きが足され、ダメージはかなりのものとなっている。
(まだまだ、攻撃は休めない……!)
なおも攻撃の手を休めないマリカ。
ケンは成す術もなく、ただ攻撃を喰らうしかなかった。
「うーん、こりゃケンはもうダメかな」
試合の様子を見ていたヨハンが呟いた。
「現状、ケン君の霊能力による攻撃じゃ、マリカには大してダメージを与えられないし、けん制にもならない。かといって物理攻撃主体にもっていこうとしても、近づくこともできない。何か突破口があればいいんだけど……」
「大丈夫ですよ」
心配する二人とは違い、どこか楽観的なイブキ。
「どうしてだ?」
「転校してきたときにも言ってたでしょう。体力と我慢強さには自信があると」
「そういえば、そんなこと言ってたな。けど、流石にこれは無理だろ」
「彼の自信は相当なものですよ。多分、あなたたちの想像を遥かに超えているかと」
「……どうして、お前はそこまでケンを信頼しているんだ?」
疑問に思ったヨハンが尋ねる。
「……私が、あなたたちより彼のことを知っているから、ですよ」
「何だそれ、自慢か!」
「ねえ、もしイブキなら、この状況をどう打開するの?」
「……そうですね」
イブキは少し考え、
「私がケンなら、マリカの攻撃を耐えながら、前へと進み、物理攻撃を仕掛けます。しかし、そうやすやすと近づけないので、そこは何か方法を考えなければなりませんが……」
イブキも、攻略法を確定できていないようだ。
「さて、ケンはどうするんでしょうね」
イブキの視線がケンへと向かう。