クラス内対抗戦 VSマリカ 1
「では、ケン君対マリカさんの試合を始めます」
ケンとマリカは、会場になっている校庭で向き合っていた。
ケンはマリカの様子を探ってみる。
普段のオドオドした様子とは違い、その目はケンをまっすぐ捉えていた。 転校して一か月経つが、こんなマリカは初めて見た。
「それでは、試合開始!」
先生の合図があった瞬間に、ケンはマリカに向かって閃光弾を繰り出した。
しかし、マリカは冷静に両手を合わせて振りかぶり、スイングすると同時に手から丸太サイズの木を生み出した。
その木で閃光弾を弾き飛ばす。まるで野球のスイングのようだ。
(まじか……!)
ケンは動揺しながらも表情には出さず、マリカとの距離をとった。
「ケンのやつ、やけに飛ばしてるな」
「それがケン君の活路なんでしょ。自己分析はしっかりできているみたいね」
ヨハンとミスティが分析する。
ケンの戦法は、自分のペースで戦うことだった。
マリカの霊力は870。戦闘経験もマリカの方が豊富である。つまり、基本的にケンはマリカに劣っている。
そんな状態で相手のペースで戦えば、なす術もなく負けてしまうだろう。ケンが勝つためには、マリカのペースにさせてはいけないのだ。
「二人は、どっちが勝つと思いますか?」
話している二人のもとに、イブキが割り込んできた。
「どっちって、冷静に分析すればマリカだろ。ケンには期待してるけど、測定の結果もギリギリだったし、難しいんじゃないか」
「頑張ってほしいとは思うけどね」
「なるほど……」
イブキはケンを見つめながら、
「なら、この試合では面白いものが見られますね」
といった。
「……お前、ずいぶんケンをかってるんだな」
「逆に、あなたたちがケンを過小評価してるんですよ。彼の底力は、私の霊力値以上に無限大ですから」
「一応言っておくが、ケンと仲良くなったのは俺が先だからな!」
「あら、私の方が彼をよく知ってますよ」
「あんたたち、何を競ってるのよ……」
ケンを取り合う二人を、ミスティは呆れて見ていた。