Trap Highschool 完結編 後
Trap Highschool 完結編 後
登場人物
赤井 邦麻 17歳 ♂
高校2年生。どんな時でも諦めず、
絶望的な状況でも光を探すことをやめない。
与えられたフロアマップは1階西校舎。
青木 せつな 17歳 ♀
高校2年生。始まってしまった7日間を前に
混乱し、正しい判断がつかず終始おどおどしている。
与えられたフロアマップは3階東校舎。
3日目に死んでしまった。
蜜柑 悠奈 16歳 ♀
高校1年生。我が身かわいい性格で、
かならず自分が第一の存在でないと気が済まない。
与えられたフロアマップは2階東校舎。
2日目に死んでしまった。
黄嶺 直治 18歳 ♂
弱肉強食こそこの世の理と考えており、
今回の出来事も大して問題視していない。
与えられたフロアマップは1階東校舎。
4日目に死んでしまった。
水野 千夏 15歳 ♀
高校1年生。いつでも明るく、人を元気づける性格。
料理が得意で味も料理人並。実は怖がり。
与えられたフロアマップは3階西校舎。
紫城 舜 16歳 ♂
高校1年生。落ち着いた性格で頭も切れる。
物事を1から整理して考えることが得意。
与えられたフロアマップは地下1階。
1日目に死んでしまった。
早緑 昂太 18歳 ♂
高校3年生。非常にめんどくさがりで
よっぽどのことでないとやる気を起こすことはまぁない。
運動神経が良く、短距離走が得意。
与えられたフロアマップは2階西校舎。
3日目に死んでしまった。
赤井:
青木:
蜜柑:
黄嶺:
水野:
紫城:
早緑:
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水野 「えっ…? ご…ごめん…私には…よくわからない…」
赤井 「そもそもこの学校には出口があって出口が無いんだ、なぜか。それは出入り口は玄関しかないって事なんだ」
水野 「む…難しいね…でも…玄関は施錠されていたよ?」
赤井 「何か引っかかってたんだ、業務室の死体のメモ。学校は1つのトラップ、つまり…ここを再生してくれ…」
黄嶺 「校内全体のトラップが全て同じつくりなら、この3パターンに注意すれば…大丈夫のはずだ…」
赤井 「つまり、玄関そのものがトラップってことなんだ…俺達は…知らぬ間に玄関を施錠してしまった。集団で玄関に入った事で重量感圧で施錠される。俺達が玄関で慌てている間はずっと、トラップが起動していることになる」
水野 「それって……」
赤井 「そして俺達は事務室へと移り明かりをつけ…事務室だけじゃない、あっちこっちの明かりをつけたり消したりしまくっている」
水野 「でも…出るには2人じゃないとダメだって…」
赤井 「それが罠だったんだ。ルールを読んでいたところを再生してくれ」
水野 「う…うん…わかった…」
赤井 「出口から出ることのできる条件は2人いないと通れないという事」
水野 「ほら…ここ邦麻君自身が読んでるよ」
赤井 「屁理屈臭いかもしれないけど、これはあくまでこの7日間からの脱出であって、校内からの脱出じゃないんだ」
水野 「えっ…それってどういう…こと…?」
赤井 「この死と隣り合わせの生活からの脱出って事だ…だから事実ここを見てみよう…」
水野 「………脱出していった、という理由以外で校内に残った生徒が1人だけになった場合は7日目を迎えた時点で校内から解放する……」
赤井 「だから俺達は間違ってたんだ。今回…7人全員生きて帰れたんだよ…」
水野 「たしかに…ルールにはどこにも脱出と書いてあるだけで…外に出られるなんて書いてない…」
赤井 「6人が外に脱出した時点で…最後の1人も学校から出られたんだ」
早緑 「……選ばれた諸君へ……君たちには7日以内にこの学校を脱出してもらう」
赤井 「この通りだったんだよ…俺達の考えが…緩かった…」
水野 「でも…邦麻君…その話が本当なら…」
赤井 「あぁ、俺達は…生きて出ることができる…!」
水野 「そのためには…どうしたらいいの…?」
赤井 「すべてのトラップを元のスイッチに戻すんだ」
水野 「玄関は重さで閉まっちゃうんだよね…? それならどうやって出るの…?」
赤井 「それも…すべて俺達が罠にはまってたんだ」
紫城 「どうやら、君で最後の様だ。立札に人数が揃い次第入れと書いてある」
赤井 「これで、まとめて人を入れることで大きな重さがかかると閉まる仕組みになってるんだ。仮に1人で入って、閉まった場合は校内に俺達全員が入れなくなる」
水野 「でも…何キロまでなら大丈夫なのかわからないよ…?」
赤井 「1人ずつ出れば話は解決する。80キロからがアウトだろうからな」
水野 「どうしてわかるの…?」
赤井 「簡単な話だ。最低2人いないと80キロを越えられないからな」
水野 「あっ…そっか…1人で閉まっちゃそもそもルールで出れちゃうのか…」
赤井 「そういうことだ…。今なら間に合う…! 千夏…、出られるかもしれない…確実じゃないけど……もしかしたらだけど…」
水野 「うん、信じるよ。邦麻君を…、入ってきたときにいじったスイッチを…元に戻すんだよね…全て」
赤井 「あぁ…、そうすれば…玄関は開くはずだ…! 地下から…行くぞ!」
水野(M)「私たちが希望に気づいた頃。もう7日目を迎え、残すところ16時間となっていた」
紫城 「進むぞ……」
青木 「あ、あそこに……スイッチがあるよ……」
紫城 「あれか……足元が見えないからな…慎重に行かないとだ…青木、これで照らしてくれるか」
青木 「う、うん…わかった………」
紫城 「よし……よし…いいぞ……もう少しだ……オッケーだ、押すぞ……それ」
赤井 「できる限りビデオを見ていこう、俺たち自身のマップ以外はビデオを見た方が確実だ…」
水野 「! 地下は電気がついてると閉まるから1階からだよ、邦麻君!」
赤井 「そ、そうか! そうだ! よし、1階の西校舎からだ…!」
水野 「ここに来たのも随分前に感じるね……」
赤井 「ここのトラップは黄嶺が書き換えて電気を付けても問題ない状態に…してたな。制御室は………ここだ…! 千夏は電気を消してきてくれ!」
水野 「……わかった…! 気を付けてね…」
赤井 「ここのトラップの稼動条件を…元に戻すんだ…すべて…来た時の状態に…! ここの条件は…ケースを開けた時だ…!」
水野 「おかえり邦麻君! 東校舎は電気に手をつけずにケースの中身を回収したから……2階から…になるよね…」
黄嶺 「電気が消えていればトラップが動くパターン、電気が消えているとトラップも動かないパターンだ」
早緑 「つまり、今度こそその2つを信用すればいい…って事だな?」
赤井 「このフロアの電気をつけないとトラップが動くって事か…」
早緑 「ここの電気はどうやら、廊下の奥にあるみてぇだ…」
黄嶺 「……ここの稼動条件は重量だ。両方の壁から50センチの床に40キロから50キロの重量をかけつつ進まないといけない」
水野 「また…重量なんだ…。それってどういう…こと?」
黄嶺 「廊下の幅は2メートル、両端から50センチ…パソコン室の床と同じだ。そこに重量をつねに与えつつ進まないといけない」
赤井 「青木達と来たところか…! 千夏、米を積んだ台車を持ってくる…また…任せることになるけど…」
水野 「邦麻君……うん…! やるよ…私…。泣かないって決めたもん」
黄嶺 「落ち着いていけ」
水野 「……せつなちゃん…」
青木 「うん…千夏ちゃん…」
早緑 「いいか、俺のかけ声に合わせて進め…! 1で左足、2で右足だ」
赤井 「準備はいいか千夏、俺が引っ張る台車の動きに合わせて走ってくれ…。なに、3秒までの誤差は…許されるんだ、あの時やれたならできる…」
水野 「……大丈夫…やれるから……!」
赤井 「せーの!」
水野 「これで私たちがいじったスイッチで残ってるのは…3階と、4階…だよね」
赤井 「4階に行くには3階東を通る必要がある、先に4階からだ!
水野 「また…機銃たちの銃撃を受けないと…なの…?」
赤井 「あぁ…。この盾がありゃなんとかなる…。放熱時間になったら千夏、電気を消してくれ」
水野 「わかった……気を付けてね…」
赤井 「ぐっ……何回…目だ…? この盾使うのは…………いででででででっ……」
水野 「とまった…! スイッチを…切ったよ!」
赤井 「よし…3階だ…!」
水野 「黄嶺君…。私たち…きっと出るから……ありがとう」
赤井 「3階東……。ここはスイッチが隅にある…、千夏。お前が制御室で稼動パターンを40キロ以上にしてくれ。電気を消して…銃撃が終わって放熱時間になったらエントランスに向かう」
水野 「40キロ以上……って黄嶺君が言ってたここの設定重量だったよね…?」
黄嶺(M)「設定されていた重さは40キロ以上だった。水野でも無理な重さだ」
赤井 「あぁ、そうだ…。残りは10時間…行ける…間に合うぞ…!」
水野 「制御室、入ったよ…!」
赤井 「スイッチを…切る……!」
水野 「稼動パターンを……40キロ以上に……設定!」
赤井 「っは…機銃が全部こっちを向いてやがる……かかってこいお前ら…!」
水野 「すごい…音……邦麻君…きっと無事でいて…」
赤井 「放熱時間だ…! 戻れ千夏!」
水野 「残すところは…3階西校舎だね……」
赤井 「靴で渡って…スイッチを切って帰ってくるんだ……行くぞ…」
水野 「うん……! 気を付けてね…」
赤井 「スイッチを……切った…っは……硫酸が流れてきたか…! でも…この靴には通らねぇよ……!」
水野 「おかえり…、邦麻君…!」
赤井 「これで…残すところは…職員室、業務室、そして……事務倉庫、事務室、さらには俺達個室の部屋の電気を切れば…終わりのはずだ…」
水野 「……うん……行こう……!」
赤井 「業務室……だな。アンタのメモ書きのおかげで…俺達、答えを見つけたかもしんねぇんだ…ありがとな…」
水野 「…電気、消すね……」
赤井 「早緑、青木……悪かった……俺がもっとこの事実に早く気付いてたら……出られたかもしれないのに……」
水野 「きっと早緑君もせつなちゃんも邦麻君の事を悪く言ったりしないよ…。電気、消すね……。また会おうね…せつなちゃん、早緑君…」
赤井 「ここのシールドには何度も世話になったな…サンキュ…」
水野 「………私にもっと力が有ったら扱えるのに……」
赤井 「気にすんじゃねぇよ、男の仕事だ。電気消すぞ」
水野 「事務室…ここで…すべてが始まったんだよね……」
赤井 「あぁ……。飯食って……いろんなこと喋って……」
水野 「皆……いい人たちだったよね………電気…消してくる…」
赤井 「あぁ………」
水野 「あとは…ここの部屋だけだよ…ここを消して…なにも無かったら…」
赤井 「今度こそ打つ手はないって事だ…な。 電気、消すぞ……」
水野 「待って…、ここの教卓に…なにか…くぼみがあるよ…」
赤井 「でももうパネルは無いぞ…?」
水野 「ここの…校章…エンブレムかもしれない…倉庫で見つけた…」
赤井 「こいつ…か。はめてみよう……」
水野 「きゃっ! な…何か…出てきた…」
赤井 「ビデオのフィルム、みたいだな…それは後だ…! 電気、消すぞ…」
水野 「そ…そうだ…! うん…………!? 何…? 今の音…」
赤井 「…玄関の方だ……!」
水野 「………や……やった……やったよ…邦麻君……!」
赤井 「どうやら……開いたみたいだな。脱出口が…この学校からのな」
水野 「邦麻君から…出て…」
赤井 「あぁ…。大丈夫だ、2人で出れる…………外だ……」
水野 「私も今…そっちに行くね……………そ…外に…出られた……?」
赤井 「俺達の……勝ちだ……」
水野 「うん……うん……うん…! ぐすっ…うわぁぁぁぁぁぁぁん」
赤井(M)「7日目の時間を過ぎたころ、1週間前俺をここへ運んだバスがまたやってきた」
水野 「ねぇ、邦麻君。さっきのフィルム…見てみようよ」
赤井 「そうだな……ここから街までは丸2日かかるんだ、見てみよう」
青木 「もうカメラ、まわってるよ…!」
紫城 「お、黄嶺…君が前だと俺が映らないだろ!」
黄嶺 「あ? 文句言ってんじゃねぇよ、リーダーなんだから目立たせろ」
蜜柑 「早緑、あんたもう少し左に行きなさいよ…ちょっ、どこ触ってんのよバカ!」
早緑 「触ってねぇだろーが! なんで理由もなしに尻触んなきゃいけねんだって! お前が当たってきたんだろ!」
蜜柑 「尻言うな!」
黄嶺 「おいこら、いつまでも青木にカメラ回させてねぇでさっさと始めようぜ」
赤井 「そ、そうだった。えっと、どっちだ」
水野 「赤井君カメラはあっち!」
赤井 「えーっと…俺達は無作為に選ばれた7人って事で今から7日間共同生活を送る高校に向かいます…! その…えーっと…」
黄嶺 「せっかくしきらせてやってんだからしっかりしろよなぁ」
赤井 「お、黄嶺がリーダーなんだろ! お前がやれよ!」
水野 「ま…まぁまぁ赤井君…」
早緑 「なら俺がやってやるよ! 今日は事前に顔合わせって事で集まったんだ! 青木が思い出づくりにってカメラを回してくれてっからみんな存分に映っとけよ!」
青木 「任せて…! フィルム20個用意してる…!」
蜜柑 「は…張り切り過ぎでしょ…」
紫城 「一応皆顔と名前は覚えただろ?」
蜜柑 「早緑のバカは一発で覚えたわ」
黄嶺 「リーダーの俺を先に覚えろ先に」
赤井 「ってなわけ…で……! 3日後、現地集合で共同生活のスタートってわけなんで…さよなら…!」
青木 「……あっ…カメラ切れてなかった…」
紫城 「なーにやってんだ、カメラマンしっかり頼むぞ!」
水野 「え……? なに……? これ……どういうこと……?」
赤井 「わ……わかんねぇ………俺達は……ここに来る以前に……会ってたのか……?」
水野 「わかんない…わかんないよ………なんか…すごく…怖い………」
赤井 「待て……ここ…録画した日付……2039年…7月31日………ち…千夏…この1週間の録画の記録の日付……は…?」
水野 「…………2039年……は……8月3日から……2040年…8月3日まで…」
赤井 「ちょ…っと…待てよ………俺達が…あの学校にいたのは…1週間だろ……?」
水野 「でも……たしかに記録は……1年分の日付になってる……」
赤井 「わけがわからねぇ……確かに俺達は1週間いた…だけど……え…?」
水野 「私たちが生活していた時に…何日目っていう言い方はしたかもしれないけど…よく考えたら……誰も日付を口にしてないよ……」
赤井 「………そんな……俺達は…1週間ってのは……感覚的な問題で……1年も…あんなところに入ってたってのか……・?」
水野 「ねぇ………黄嶺君って…初日の夜から探索に出かけてたでしょ…? それで…朝帰ってきた……あそこの時点で…すでにもう何かが狂ってたんじゃないかな……?」
赤井 「黄嶺が……?」
水野 「私たちの中でずば抜けて段取りが良くて…いろいろ詳しくて…傷もたくさん作って…初日に私たちが寝ていたのって本当に…8時間だけだったの…?」
赤井 「まさか…黄嶺は……」
水野 「私たちが寝ていたのは実はもっと長くて……黄嶺君だけが1人起きて…学校の中を探索していたのかもしれない…」
赤井 「でも…俺達は……7日分しか食事をとってない…1年も経たず内に普通は餓死するだろ…」
水野 「電子マップを持たせるような学校だよ…それこそ…映画とかで見るコールドスリープみたいなことができてもおかしくない…」
赤井 「俺達は……1年前に出会い…学校に入り…1年経って…俺達だけが…出てきたってことか……?」
水野 「だって……誰も外の光を見てないんだもん……」
赤井 「……家に…帰ってみれば……すぐにわかる……」
水野 「そう…だね……」
赤井 「外の世界なら時間もしっかりわかる…。千夏、ビデオ借りて良いか?」
水野 「うん…邦麻君に渡したほうが正解だと私も思う…」
赤井 「家に帰ったら1週間後。昼の10時に東京駅に、待ち合わせだ」
水野 「…わかった…。邦麻君……眠くなってきた……寝て…いいかな…」
赤井 「ぶっ通しだったもんな…俺も疲れた…家に着くまで2日はある……」
水野(M)「私たちの考えはやはり間違っていなかった」
赤井(M)「1週間だと思っていた俺達の時間は1年だった。俺達はあの高校で知らぬ間に1年を過ごしていた。事実…俺が家に帰ると家族は皆何をしていたんだ、1年何をしていた。そんな反応ばかりだった」
青木 「紫城君何読んでるの…?」
紫城 「またカメラ回してるのか。好きだな、青木は。これか? 世界の謎っていう特集だ」
青木 「行きのバス…長くて暇で……なにそれ…おもしろそう…!」
紫城 「ここ、興味深くないか? 外と切り離された高校。学校の姿を見たものは皆、死んでしまう」
黄嶺 「学校の姿を見たものはみんな死んじまう場合、誰がそんな事実を伝えたんだろうな?」
早緑 「た…たしかに…ってぁぁおい、蜜柑! まだ俺カード引いてねぇぞ!」
蜜柑 「うっさいわね、ほら黄嶺。あんたの番よ」
黄嶺 「…あがりだ、蜜柑。お前よく顔に出てるぞ」
早緑 「だとよ、蜜柑。黄嶺には敵わないな」
赤井 「バスの移動中にもカメラが回されてる。2039年8月2日だけが…ない…!? そうか…俺達は……39年の8月2日に記憶が飛んだんだ…」
早緑 「はーまったく。嫌なことばっかだな」
青木 「どうしたの…早緑君」
紫城 「ため息ばかりついていると、幸せが逃げるぞ?」
早緑 「なーんか学校の嫌な事を思い出してな」
紫城 「外国では服用するだけで記憶を消すことのできる薬があるらしいぞ」
早緑 「それで忘れられるなら忘れちまいたいぜ」
黄嶺 「薬に頼っても感覚的には覚えているもんだ。既視感、とかな」
蜜柑 「黄嶺ってほんといろいろ頭切れるのね、すこしくらい早緑にわけてやりなさいよ」
青木 「早緑君ばかにし過ぎ…」
水野 「そうだよ! バカにするのは良くないよ!」
紫城 「まぁでも、薬に頼るのも手は手だなって話だよ。なぁ、赤井」
赤井 「えっ? あっ、あぁ。まぁ…そういうときもあるかもしれねぇな」
黄嶺 「忘れたい事を忘れられないのは人として普通の事だ」
赤井 「なんだ…これは」
青木 「今目を覚ましました。もうすぐ共同生活する学校に着くみたいです」
赤井 「俺達と出会う前か…。この時にはもうみんなそれぞれ降ろされてたんだな…」
水野(M)「結局私たちが1年間何をどういう生活をしていたのかなんてわからなかった」
赤井(M)「俺達は覚えていない。1年前に皆に出会ったことを。一緒に笑い合ってたことを」
水野(M)「でも…言えることもある。私たちはきっと出会っていたんだろうと思う」
赤井(M)「俺達は言っていた。初めて会った気がしないって。きっとそれが本当なんだろう。初日、まともに自己紹介なんてしなかったのにみんな普通に呼び合ってただろ」
水野(M)「世間は、あの高校に関して調べていく方針らしい。黄嶺君達の分もたくさん生きて、いつかみんなにありがとうって改めて言いたい。ごめんねって言いたい」
赤井 「待ったか、千夏」
水野 「ううん…全然。なんか…久しぶりだね」
赤井 「そう…かもな…千夏、今日は……たくさん…いや……1年分ぐらい…それぐらいの勢いで遊ぼう」
水野 「うん……! あの……邦麻君…手…つないでも…いいかな…」
赤井 「あぁ、いつでも一緒だ。好きだ、千夏」
水野 「は…恥ずかしいよ………わ…私も好き…邦麻君…」
赤井(M)「そう、俺達の夏休みは…まだ始まったばっかなんだ」
Trap Highschool
End