Trap Highschool 完結編 前
Trap Highschool 完結編 前
登場人物
赤井 邦麻 17歳 ♂
高校2年生。どんな時でも諦めず、
絶望的な状況でも光を探すことをやめない。
与えられたフロアマップは1階西校舎。
青木 せつな 17歳 ♀
高校2年生。始まってしまった7日間を前に
混乱し、正しい判断がつかず終始おどおどしている。
与えられたフロアマップは3階東校舎。
3日目に死んでしまった。
蜜柑 悠奈 16歳 ♀
高校1年生。我が身かわいい性格で、
かならず自分が第一の存在でないと気が済まない。
与えられたフロアマップは2階東校舎。
2日目に死んでしまった。
黄嶺 直治 18歳 ♂
弱肉強食こそこの世の理と考えており、
今回の出来事も大して問題視していない。
与えられたフロアマップは1階東校舎。
水野 千夏 15歳 ♀
高校1年生。いつでも明るく、人を元気づける性格。
料理が得意で味も料理人並。実は怖がり。
与えられたフロアマップは3階西校舎。
紫城 舜 16歳 ♂
高校1年生。落ち着いた性格で頭も切れる。
物事を1から整理して考えることが得意。
与えられたフロアマップは地下1階。
1日目に死んでしまった。
早緑 昂太 18歳 ♂
高校3年生。非常にめんどくさがりで
よっぽどのことでないとやる気を起こすことはまぁない。
運動神経が良く、短距離走が得意。
与えられたフロアマップは2階西校舎。
3日目に死んでしまった。
赤井:
青木:
蜜柑:
黄嶺:
水野:
紫城:
早緑:
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赤井 「渡るぞ……」
水野 「うん…ここを右にまっすぐ行ったところに…部屋の明かりがあるから、そこを消せば…トラップは止まると思う……」
黄嶺 「その靴は1足分しかない。あまり往復して万が一溶けてしまったらこのフロアの徘徊は難しくなる。しっかりくまなく探索してくれ」
赤井 「よし………ふぅ……溶けてねぇ…大丈夫だ……」
水野 「よかったぁ……フロアの左側は硫酸が出てきてないね」
黄嶺 「右と左で別れているんだろう。スイッチを切れば俺達も左側なら探索可能だ」
赤井 「スイッチ切ったぞ! これで大丈夫だ」
水野 「やった! これで…左側も行けるね…」
黄嶺 「赤井、こっちへ来い。校長室に向かうぞ」
赤井 「っと、ちょっと待てって…この靴重いんだからな…!」
水野 「こ、こけちゃわないようにしてね赤井君…溶けちゃうよ…」
黄嶺 「まだ隠されていない限り、とりあえずは俺達が持ってる鍵とフロアの数的にここが最後の部屋だ」
赤井 「なにが…あるんだろうな…」
黄嶺 「入るぞ」
水野 「こ…ここが校長室なんだ……いっぱい…パソコンが置いてあるね…」
赤井 「これだな…ケースは…。開けてみよう……これは……」
黄嶺 「OとOのパネル……? そして…何だこれは…4階の…隠し通路の…鍵…?」
水野 「隠し通路…? なんでそんなことわかるの…?」
赤井 「4F隠通路って書いてあるんだ。どこに使えるんだ…?」
黄嶺 「…まぁ、普通に考えれば3階のどこかだろうな」
赤井 「………何もなかったところってどこだ…? 3階において…」
水野 「か、会議室は…校長室の鍵があったし………あっ…! まさか…3階東制御室…?」
黄嶺 「なるほどな、あそこは確かに何もなかった。ケースは室内じゃなく廊下の奥にあった。使うならあそこだろうな」
水野 「4階って…誰もマップ持ってないし…それに……初めて聞くフロアだよね…」
赤井 「油断ならねぇな……」
黄嶺 「……で…戻ってきたわけだが、それっぽいところは無いぞ」
赤井 「やっぱり、的外れだったか…?」
水野 「うーん……ごめん……」
黄嶺 「いや……こいつだな。ここに、鍵穴がある。小さくてわかりにくいがな」
赤井 「こいつに…使うんだな…? よし…っと」
黄嶺 「階段だ。本当に4階があったとはな…」
水野 「真っ暗だね………」
黄嶺 「……ここが4階だ。天井に大量の機銃が張り付いていやがる、ここは部屋の中にはトラップが無いパターンと見て良さそうだな。稼動条件がなんなのか…気にはなるが止まってはいられねぇ」
赤井 「おい、そんなさくさく進んで大丈夫なのかよ…?」
水野 「部屋…ひとつだけあるね…それに……4階はあんまり広くない…事務室ぐらい…かな…?」
黄嶺 「校長室には4階のフロアの稼動条件が書いてあった。ケースを開ける事だと。起動条件は電気がついていることだから進んでも問題は無い」
赤井 「……部屋は、これだけみたいだな。かなり小さいぞ」
黄嶺 「3人入ってやっと、ってレベルか。これは部屋というよりフロアの中にボックスが立ってるって言う方が正しいな」
水野 「中身…なんなんだろうね…」
黄嶺 「今それを確認するんだ。待ってろ……何っ!?」
赤井 「!? おい、黄嶺!」
水野(M)「黄嶺君がボックスに入るとバタンと音を立てて勢いよくドアが閉まった。そして黄嶺君に異変が起きた」
黄嶺 「なんだ……!? 熱い…! くそっ! トラップはフロアだけじゃなかったのか! あ゛あぁぁぁ! ゲホッ う゛ぁぁぁぁぁ…何やってるだあ゛あぁぁっぁぁぁ助げてくれ! あがい! みずのぉぉぉぉぉぉぉ…」
赤井 「開けよ! くそ! くそ! んっ!んっ!」
水野 「どうして!? どうしてトラップが! 黄嶺君! 黄嶺君!」
黄嶺 「くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
赤井(M)「俺達はどんなに抵抗してもそれを止める事ができなかった。15分もすると黄嶺は人の姿を取りとめることなく粉の様になってしまった」
水野 「ちょ…っと……待ってよ……ぇ…? お…黄嶺君……? て…手品だよね…ねぇ…ねぇ…! 黄嶺君!」
赤井 「……水野! 入るな…! まだトラップは健在なんだ……」
水野 「黄嶺君も…黄嶺君も死んじゃったのに…どうしてそんな顔していられるの!」
赤井 「平気なわけないだろ! そのまま混乱して水野まで死んだらそれこそどうするんだ!」
水野 「……おうれい…くん…は………」
赤井 「……もう…無理だ…。黄嶺は…もう人の姿すら…してないじゃねぇか……」
水野 「なんで…うっ…ぐすっ……こんな簡単に…人の命を奪うの……どうして…ねぇ…どうして!」
赤井 「ここまで…来たんだ……! あきらめるわけにはいかねぇ……水野……気持ちはわかる…だけど……今はまだ泣く時じゃねぇ…」
水野 「赤井君………」
赤井 「死んでったみんなの事を忘れろって意味じゃねぇ。今とらわれてたら俺達が死ぬかもしれないんだ…! 必死に、必死にここまでみんなでつないできたんだ…ここで死んじまったら…みんなに何て言うんだよ……!」
水野 「………ごめん……赤井君……私……」
赤井 「……出るんだよ…もう……これで人が死ぬのは本当に最後だ……」
水野 「…………わかった……私ももう…助かるまで…泣かないから……」
赤井 「あぁ……黄嶺……すまねぇ……俺があの時止めてれば……」
水野 「……赤井君は…悪くない……」
赤井 「どうして……トラップはフロアと部屋の中の両方には無いはず……」
水野 「………ねぇ……赤井君」
赤井 「………なんだ、水野」
水野 「せつなちゃんが使ってたビデオカメラって……どこにあるかな…?」
赤井 「どうしてビデオカメラなんだ…?」
水野 「今…何も手がかりがないから…せつなちゃん結構な頻度で…カメラ回してたから…何か、もしかしたらあるかもって…」
赤井 「……そうだな。探してみる価値はある、まだ3日あるんだ…。なんとか手がかかりを見つけよう」
水野 「せつなちゃんの部屋に、カメラ…置いてあったよ…」
赤井 「そうか…青木が最後に足を運んだ部屋は職員室で…死んだのも…職員室だったな…。部屋が近かったからか、持っていかなかったんだな」
水野 「……たくさん撮ってあるよ…。見てみよ?」
早緑 「まぁ、そんなとこだ」
紫城 「どうやら、君で最後の様だ。立札たてふだに人数が揃い次第入れと書いてある」
水野 「と、とりあえず入ってみようよ…。あたりも暗くなってきたし……」
蜜柑 「ってかどうして集合時間が夜の11時なの? 全っ然理解できないんだけど」
青木 「た…たしかに……こっ…怖いよ……」
黄嶺 「言ってたって仕方ねぇだろ、入るぞ」
水野 「下駄箱………。たくさんあるよ……?」
赤井 「これは…俺達がここに来た時の動画だな…」
青木 「黄嶺君、どうして寝ないで探索するの?」
黄嶺 「別に特に理由はねぇよ、お前もなんでついてくんだ」
青木 「その…寝れないし…怖いから…黄嶺君についていこうかなって…」
黄嶺 「言っとくが、お前の命はお前で守れよ」
青木 「え……あぁ……う…うん……」
水野 「初日の夜、寝ないで探索に行ってたって言ってたもんね…」
早緑 「…? どういうこった」
黄嶺 「水野と赤井がパネルを見つけて帰ってきたときは、話の通りだとどこの部屋にも入ってねぇ。単純に廊下の奥にケースがあったって事だろ?」
青木 「そ…そうか…私たちの場合はフロア内の部屋にトラップがあった…」
赤井 「…そうだ。たしかにそうだ…。俺と水野は1階西校舎を探索したが特に部屋って言う部屋も無かった。俺たちで行った制御室ぐらいだろ」
黄嶺 「校内のトラップは2パターン。これはすべてのフロアに言える事だと書いてある。フロアにトラップがある場合は部屋にはノートラップ、フロア内の部屋にトラップががある場合は、フロアの廊下はノートラップって事だ」
水野 「……2階西校舎…どう…書いてあるの…?」
赤井 「蜜柑が死んだ後の会話か…くっ…」
紫城 「落ち着け青木! 踏んだだけだ、気持ち悪いのはわかるが落ち着け!」
青木 「はぁっ…はぁっ…はぁっ…ひっ……はっ…うん……」
紫城 「夏だからな…出てきてもおかしくはない…」
青木 「ご…ごめん……」
紫城 「進むぞ……」
青木 「あ、あそこに……スイッチがあるよ……」
紫城 「あれか……足元が見えないからな…慎重に行かないとだ…青木、これで照らしてくれるか」
青木 「う、うん…わかった………」
紫城 「よし……よし…いいぞ……もう少しだ……オッケーだ、押すぞ……それ」
青木 「あっ! 明るくなった…! あれ……? 何か今大きな音…しなかった…?」
紫城 「閉じ込められた、みたいだな。地下に」
青木 「うそ……どうしよう……」
紫城 「せっかく明るくなったのにな……それに……青木の言っていたカサカサの正体がわかったぞ」
青木 「ひっ…きゃあああああぁぁぁぁぁ!」
赤井 「ん? 待て!」
水野 「ど、どうしたの…怖い顔して…」
赤井 「もう一回蜜柑が死んだ後の所を…流してくれ。黄嶺が喋ってるところだ。そう、そこだ」
黄嶺 「校内のトラップは2パターン。これはすべてのフロアに言える事だと書いてある。フロアにトラップがある場合は部屋にはノートラップ、フロア内の部屋にトラップががある場合は、フロアの廊下はノートラップって事だ」
水野 「これがどうかしたの…?」
赤井 「紫城は地下で電気を付けて、閉じ込められている状態で実験室のトラップに引っかかっている…。つまり、この黄嶺が言ってるすべてのフロアってのは…さっきの4階もそうだが…地下と4階は含まないんじゃないか…?」
水野 「あ…確かに…地下と4階はフロアの廊下にも部屋にもトラップがあることになるね…」
赤井 「4階は…どちらにもトラップがあるってことだ……」
水野 「黄嶺君は…どうしてトラップにかかったのかな…それに……あんな死に方……酷過ぎるよ……」
赤井 「ケースを開けたから、だろうな…。あの死に方は…巨大な電子レンジで焼かれた…みたいな感じだろうな……体内の血液が沸騰して……」
水野 「っ……………その……4階のケースを開けるには…どうしたらいいのかな…」
赤井 「4階の電気を付けて、機銃の放熱時間の間にケースの中身を回収するしかない…」
水野 「………今日は……もう戻ろうよ…私…動ける気しないから……」
早緑 「へぇー、蜜柑ってモデル志望なんだな」
蜜柑 「そうよ! 私みたいなかわいい子なかなかいないんだから!」
青木 「スタイルいいもんね…悠奈ちゃん…」
早緑 「赤井、お前は高校でなにやってんだ?」
赤井 「あぁ…俺は帰宅部かな、大して何もやってねぇ…。っは、そういう早緑は何やってんだ?」
早緑 「俺か? こう見えて陸上やってんだ。短距離だけは自信あんだからな?」
水野 「わ…私はあんまり運動得意じゃないかも…」
黄嶺 「フン、運動は体作りの基礎だぞ。それくらいちゃんとしておけ」
蜜柑 「黄嶺、あんたは何やってるって言うのよ」
黄嶺 「あ? 俺か? 俺も赤井と同じだ、なんもしてねぇ。運動も勉強もお前よりできる自信はあるぞ」
蜜柑 「なによ、一言余計よ! よ・け・い!」
青木 「あんまり怒っちゃだめだよ…悠奈ちゃん…」
赤井 「こんなに俺達、楽しそうに喋ってたんだな……」
水野 「うん……どうして…こうなっちゃったのかな…」
紫城 「なんだ、何を撮ってるんだ? 青木」
青木 「あ、ううん…記録として残しとこうかなって…」
紫城 「そうか、それもいいかもな。俺はこのよくわかんねぇ学校の謎を解き明かしたい。それに、俺は将来…法に仕える仕事がしたいんだ」
青木 「大きな夢だね…! なにか事件に巻き込まれたら紫城君の所に行こうかな…」
紫城 「おう、任せろ。ははっ」
蜜柑 「ちょっと、私の事を撮りなさいよ!」
早緑 「ほんと、目立ちたがりだよなぁ…?」
蜜柑 「うっさいわね、このバーカ!」
早緑 「お前に言われたくねぇよアホ!」
水野 「喧嘩はダメだよ…! 仲良くなれたのはいいけど…明日から生活するんだからそろそろ寝ないと!」
早緑 「ほーら、注意されてやんの!」
青木 「み、みんなとりあえず寝よう…? ね、おやすみ……」
水野 「ん……ふぁぁぁぁぁ…」
赤井 「起きたか、水野。5日目だ」
水野 「そっか……あと…2日しかないんだね……」
赤井 「シールド…持って…よし、4階だ。急ごう」
水野 「あそこの隅っこにスイッチがあるんだね……」
赤井 「隅っこなら…壁を背に盾で粘れば行ける。階段のところで待っててくれ」
水野 「赤井君……死んじゃ…嫌だよ…!」
赤井 「死なねぇよ…絶対」
水野 「明るくなった…っ…! 機銃たちが赤井君を撃ってる…」
赤井 「ったく……いでででで…あぁぁぁぁくそ…2分ってのは長いな畜生…!」
水野 「銃撃が止まった! …放熱時間だ…!」
赤井 「よっしゃ今だ…! ケースの中身…もらってくぜ…! サンキュな…黄嶺!」
水野 「58…59…」
赤井 「はぁっ…はぁっ…はぁっ……」
水野 「危なかった…ね……ケースの中身は…なんだったの…?」
赤井 「ふぅ……えっと……2階業務室の鍵だ……また…鍵かよ……」
水野 「2階は…大丈夫だよ…きっと」
早緑 「このパネル、どう使うんだろうな…?」
青木 「4個もあるね…TとRとAとP…だって」
蜜柑 「へぇ、どう使うのかしら…謎解きなの? これって…」
早緑 「紫城が命がけで取ってくれたもんだ。なにかきっとあるんだろうよ」
青木 「P…A…R…Tでパートってなるね…!」
蜜柑 「なんのパートよ……」
赤井 「ここが業務室だ、何見てんだ? 水野」
水野 「この…パネルってどう使うのかなって…ほんとにせつなちゃんいろいろなとこでビデオ回してて…何かないかなって」
赤井 「見つかると…いいんだけどな……なんだここ……」
水野 「なんか、すごくきれいな台があるよ…四角いくぼみが…2・4・6・8・10・12・14…14個あるね…」
赤井 「台しかねぇのか……何もねぇってことは…間違いなくここが最後の部屋だろ…?」
水野 「ここで……何をするの…? 何もないのに…脱出口も見つかってないし……」
赤井 「この…14のくぼみが気になるな………なんだ…?」
水野 「私たちが見つけてきた…パネルじゃないかな……」
赤井 「そ…そうか…! それだ、こいつらを…」
水野 「やっぱり…、大きさもぴったりだよ。これを…はめてみようよ…」
赤井 「だめだ…何も起こらねぇ……」
水野 「なにか…並べ方があるのかな…?」
赤井 「俺はもう少し粘ってみる、水野は手がかりを探ってみてくれ」
黄嶺 「PART? 並び替えたらTRAPとも読めるだろ」
早緑 「たしかに……でもよ、こんなの役に立つのか?」
青木 「役に立つとか役に立たないとかより、覚えといてもいいかもしれないんじゃないかな…?」
蜜柑 「そうね、これから先もパネルが手に入ることがあったらまた並びが違うかもしれないわよ」
早緑 「おぉ、紫城か。起きるの早いなって…青木も起きてたのか。何読んでんだ、紫城」
紫城 「あぁ、おはよう早緑。たまたまこの事務室に入ってた2年前の雑誌のPickup Highschoolを読んでたんだ」
青木 「それ、知ってる…有名な高校の強い部活についてを毎月取り上げてるやつだよね……」
早緑 「おっ! 俺の高校のサッカー部がとりあげられてんじゃん。へぇー、期待の新星、白井陽平! 1年なんだなこいつ」
青木 「文化部だったら吹奏楽でもすごいんだよ。そこ…」
紫城 「…おぉ、水門 雛。吹奏楽の部長らしい」
水野 「ピックアップハイスクールなんて雑誌あったんだ……そんな場合じゃないよね……」
蜜柑 「何読んでんの? 早緑」
早緑 「昨日紫城が読んでたんだよ。ピックアップハイスクールっての」
蜜柑 「知ってるわよ、私の学校も一時期とりあげられたんだから。すごい高校取り上げる雑誌ならここ取り上げなさいよ…罠の高校! みたいな」
青木 「それじゃピックアップハイスクールじゃなくて、トラップハイスクールだよ…」
早緑 「うまい事言うな、青木」
蜜柑 「そんな雑誌読む気になるわけないけど?」
水野 「あれ……ねぇ、赤井君」
赤井 「どうした…? なにかつかめそうか?」
水野 「パネル…ちょっと見せて……? T…A…P…R…I…H…S…G…L…O…O…C…H…H……あ!」
赤井 「何かわかったか…?」
水野 「もしかしたら…こうして…こう…並び…変えて… TRAP HIGHSCHOOLに…」
赤井 「…! そうか…確かにそれなら意味も合う……」
水野 「これをはめて……最後…!」
赤井 「……! やったか! 何の音だ……!?」
水野 「奥の壁が……回転してる……ふ…2人用の…扉があるよ……」
赤井 「扉のわきに…誰か…倒れてるぞ……」
水野 「……死ん……でる……何か…持ってるよ…この人…」
赤井 「メモか……これは……」
水野 「なんて…書いてあるの…?」
赤井 「俺はやっとここまでたどりついたってのによ。トラップハイスクール。名前の通りの高校だ。だけど、この脱出口もダミーだった。もうこれ以上部屋はねぇ。結局出口なんてなかったんだ、俺達はここに入った時から死ぬことが決まってたんだよ」
水野 「そ…そんな……嘘………え……?」
赤井 「もし誰かこれを読んだ奴がいて、まだ出るのを諦めないってんなら役に立つことを祈る。この学校はどうやら1つのトラップらしい。そろそろ意識も飛ぶ、じゃあな俺」
水野 「な…に…? どういう…こと…?」
赤井 「俺達が…やってきたことは無駄だったってことだ……! くそっ! くそっ! くそっ! 紫城も、蜜柑も、青木も早緑も黄嶺も…!」
水野 「赤井君! 落ち着いて…!」
赤井 「うるせぇ! もう…終わりなんだよ……ここまでやってきたってのに…無駄だったんだよ…」
水野 「赤井君……好きだよ」
赤井 「水野……? いきなり何言ってんだ……?」
水野 「本当に…あと2日で…私たちも死んじゃうなら……赤井君と一緒にいられるのも…ううん…邦麻君と…一緒にいられるのも…あと2日だから…言いたいことは…言わないと」
赤井 「…み…水野……なんで…そんな…今…言うんだよ……」
水野 「後悔したくない…私ね、初日に…邦麻君を見て…不安な気持ちが凄くやわらいだの。この人と一緒にいたら…怖くないんじゃないかって…。事実、そうだったから……」
赤井 「うっ……なんでっ……なんでっ…ぐすっ…」
水野 「だから…邦麻君と一緒にいたいって。生きて出られたら…きっと好きって言うんだって…。でも…出られないなら…今…言うしかないから…えへっ…言っちゃった……」
赤井 「水野……お前……んなこと言われて……死ねるわけねぇじゃねぇか………死んでも…死にきれねぇだろうが……! 怖ぇよ…俺だって…死にたくねぇよ……」
水野 「うん……千夏って…呼んでほしい…。私も…死ぬのは怖い…でも…邦麻君とだったら…怖くないから…」
赤井 「千夏……ほんと…ごめん…一緒に生きたい…でも……無理だ…」
水野 「だから…残り2日を…一緒に…過ごそうよ…最高に、楽しく…」
赤井 「……千夏………。俺も……お前が好きだ」
水野 「ありがとう……邦麻君…」
赤井(M)「こうして俺達は6日目を迎え、普通の2人の恋人の様に、2人でビデオを見ていた」
水野 「邦麻君…また、いつか会えるかな…。私たち」
赤井 「会えるさ…きっと…」
蜜柑 「早緑、あんたはここを出たらどうしたい?」
早緑 「そうだな…やっぱり、家族に会いたいだろ」
青木 「それは…私も同じ…千夏ちゃんは…?」
水野 「私は…えへへっ…秘密っ」
早緑 「黄嶺、そんな探索探索言ってねぇでたまにはビデオに映れよ。出れた時は一生の思い出もんだぜ?」
蜜柑 「ほーら、あんたも何か言いなさいよ」
黄嶺 「ったく…なんだ…? ビデオ…? めんどくせぇな」
青木 「な、何か言ってほしいな…」
黄嶺 「………俺は出たら飼い犬に会いたい」
水野 「黄嶺君…可愛いところあるんだね…」
赤井 「初めて会った時は何だと思ったけど…俺が思ってたより良いヤツだったな…」
水野 「あっ…これは間違えて私が撮っちゃったやつだ…」
赤井 「もし誰かこれを読んだ奴がいて、まだ出るのを諦めないってんなら役に立つことを祈る。この学校はどうやら1つのトラップらしい。そろそろ意識も飛ぶ、じゃあな俺」
水野 「昨日の…だよね……うん……あ、これまだ見てないよ…」
紫城 「物の影から出てくるって事は相当飢えているのかもな。変に刺激したら喰われかねないぞ」
青木 「う…うん……わかった……でも…閉じ込められたんだよね……? どうしよう……」
紫城 「大抵、スイッチを入れると閉じ込められたときはスイッチを切ったら元に戻る…暗くなってしまうが、ほら」
赤井 「紫城がいたら…何か変わってたのかもな…頭の切れるヤツだったな…」
水野 「そうだね…スイッチの本質にすぐに気づいてるみたいだから…」
赤井 「1つのトラップにはスイッチがあって、稼動条件と…起動条件があって……」
水野 「うん…重さだったり…ケースを開けたり…電気を付けたら…扉が閉まったり…ね…」
赤井 「……待てよ…?」
水野 「ど…どうしたの…? 邦麻君」
赤井 「これって…動画の連結ってできるか…? こことこことそれとこいつと…ここと…ここのと…これと…これを…頼む」
水野 「うん……新規フォルダに映して連続再生したら…それっぽくなるかも」
紫城 「大抵、スイッチを入れると閉じ込められたときはスイッチを切ったら元に戻る…暗くなってしまうが、ほら」
蜜柑 「あとは…そうね…電気をつけたら調理室の鍵が閉まるってことぐらいかしら? 冷蔵庫の中身はまだ確かめてないわ」
赤井 「この学校はどうやら1つのトラップらしい」
黄嶺 「校内全体のトラップが全て同じつくりなら、この3パターンに注意すれば…大丈夫のはずだ…」
紫城 「どうやら、君で最後の様だ。立札に人数が揃い次第入れと書いてある」
青木 「………玄関が……施錠されてる……」
黄嶺 「早緑と赤井は知ってると思うが、この学校のトラップはおそらく3つの条件のどれか1つが設定されていてそれに当てはまると稼動する、1つはケースを開ける事、2つ目は一定の温度をサーモセンサーに感知されること、3つ目は設定されている重量を床に与えることだ」
赤井 「そう…だったのか……」
水野 「ど…どうしたの…邦麻君」
赤井 「俺達は…とんでもない勘違いをしてたんだ……」
水野 「ど…どういうこと…?」
赤井 「俺達はそもそも…出口を探していたんじゃない…出口を…閉ざしていたんだ……」
Trap Highschool 完結編 前
終