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Trap Highschool  作者: はこいく
3/5

Trap Highschool 後編

Trapとらっぷ Highschoolはいすくーる 後編

登場人物

赤井あかい 邦麻ほうま 17歳 ♂

高校2年生。どんな時でも諦めず、

絶望的な状況でも光を探すことをやめない。

与えられたフロアマップは1階西校舎。


青木あおき せつな     17歳 ♀

高校2年生。始まってしまった7日間を前に

混乱し、正しい判断がつかず終始おどおどしている。

与えられたフロアマップは3階東校舎。


黄嶺おうれい 直治なおはる 18歳 ♂

弱肉強食こそこの世の理と考えており、

今回の出来事も大して問題視していない。

与えられたフロアマップは1階東校舎。


水野みずの 千夏ちなつ 15歳 ♀

高校1年生。いつでも明るく、人を元気づける性格。

料理が得意で味も料理人並。実は怖がり。

与えられたフロアマップは3階西校舎。


早緑さみどり 昂太こうた 18歳 ♂

高校3年生。非常にめんどくさがりで

よっぽどのことでないとやる気を起こすことはまぁない。

運動神経が良く、短距離走が得意。

与えられたフロアマップは2階西校舎。


赤井:

青木:

黄嶺:

水野:

早緑:

----------------


青木 「会議室の鍵…? 会議室は…私の3階東校舎に…あるけど」


水野 「CとHのパネルもやっぱり…私たちが見つけてきたパネルと同じだね…」


黄嶺 「2階西校舎のトラップ管理メモ……なるほどな」


赤井 「なんだ、管理メモって?」


早緑 「…そいつがありゃ2階西校舎を自由に動けるってことか…?」


黄嶺 「この情報が正しいってんなら…の話だ。それに…」


水野 「それに……?」


黄嶺 「フロア内にトラップがある校舎と、フロア内の部屋にのみトラップがある校舎とでここは後者に当てはまる」


早緑 「…? どういうこった」


黄嶺 「水野と赤井がパネルを見つけて帰ってきたときは、話の通りだとどこの部屋にも入ってねぇ。単純に廊下の奥にケースがあったって事だろ?」


青木 「そ…そうか…私たちの場合はフロア内の部屋にトラップがあった…」


赤井 「…そうだ。たしかにそうだ…。俺と水野は1階西校舎を探索したが特に部屋って言う部屋も無かった。俺たちで行った制御室ぐらいだろ」


黄嶺 「校内のトラップは2パターン。これはすべてのフロアに言える事だと書いてある。フロアにトラップがある場合は部屋にはノートラップ、フロア内の部屋にトラップががある場合は、フロアの廊下はノートラップって事だ」


水野 「……2階西校舎…どう…書いてあるの…?」


黄嶺 「フロアの廊下にトラップがあるらしい」


早緑 「マジかよ……どうすんだ…」


青木 「でも…それって、逆に言うと廊下を抜けて…部屋に入ることができたら……まぁ…部屋があったらの話だけど…」


黄嶺 「あぁ。部屋の中にはトラップは無い。それは言いきれる」


水野 「…じゃあ……取りに行こうよ……!」


赤井 「あぁ……。そうだ……危険なのはもちろんだけど……」


早緑 「だな、蜜柑や紫城ゆかりぎのためにも…な」


青木 「うん……怖いけど………でも…死にたくない…」


黄嶺 「2階西校舎に出口があるかもしれねぇ、行くとしようぜ」




早緑 「2階西校舎のマップは俺が持ってる、どうやら廊下の先に部屋が1つあるみたいだ」


水野 「ここの…起動条件は…なんなの…かな?」


黄嶺 「フロアの電気が消えているとトラップが働くらしい。俺たちの言っていた電気を消しているとトラップが働かないって考えはどうやら違うみたいだな。厳密には二通りあるみたいだ」


青木 「二通り…?」


黄嶺 「電気が消えていればトラップが動くパターン、電気が消えているとトラップも動かないパターンだ」


早緑 「つまり、今度こそその2つを信用すればいい…って事だな?」


赤井 「このフロアの電気をつけないとトラップが動くって事か…」


早緑 「ここの電気はどうやら、廊下の奥にあるみてぇだ…」


黄嶺 「……ここの稼動条件は重量だ。両方の壁から50センチの床に40キロから50キロの重量をかけつつ進まないといけない」


水野 「また…重量なんだ…。それってどういう…こと?」


黄嶺 「廊下の幅は2メートル、両端から50センチ…パソコン室の床と同じだ。そこに重量をつねに与えつつ進まないといけない」


青木 「それって………」


早緑 「青木と水野の二人に行かせないと…無理じゃねぇか…」


赤井 「また…水野に行かせるのか……」


黄嶺 「やるしか、ねぇんだ」


水野 「大丈夫だよ…せつなちゃん…。赤井君たちが見つけてくれた…答えはいつも間違ってなかったから…!」


青木 「そ……そうだよね……! やろう…!」




赤井 「……重量をかけるタイミングに誤差が生じて良いのは3秒だ…」


黄嶺 「落ち着いていけ」


水野 「……せつなちゃん…」


青木 「うん…千夏ちゃん…」


早緑 「いいか、俺のかけ声に合わせて進め…! 1で左足、2で右足だ」


水野 「わかった…」


青木 「よし……やろう…」


早緑 「いいか…? せーの…!」




赤井 「この廊下…長いみたいだな。もう青木と水野の姿が見えねぇ……」


黄嶺 「心配するな、青木と水野の声はまだ聞こえてる。進んでる途中だ」


早緑 「1・2! 1・2!」


赤井 「……! 明かりがついた……!」


水野 「はぁっ…はぁっ…怖かった……」


青木 「やったね……千夏ちゃん…!」


黄嶺 「……よくやってくれた、お前ら」


水野 「……うん! …早緑君が正確にかけ声出してくれたからだよ…」


早緑 「んなことねぇ、お前らが息を合わせて頑張ったからだ」


赤井 「水野、お疲れ……悪いな、怖い思いさせて」


水野 「ううん……大丈夫。みんなで…力を合わせようって…ね」


黄嶺 「これで2階西校舎も安全だ。あのケースだな、入るぞ」


早緑 「おまっ、そんな無警戒でいいのかよ!」


黄嶺 「言っただろ、フロアの廊下にしかないんだ。部屋の中にはない」


青木 「ほんと…黄嶺君って…すごいよね……」


赤井 「……開けるぞ」


早緑 「………どうだ…?」


赤井 「なんだこりゃ……? HとIのパネルだ…それと…なんだ…? 職員室の鍵…?」


黄嶺 「職員室って事は事務室の隣か…? いまさらトラップの無い部屋の鍵がどうして…?」


水野 「なにか…あるかもしれないよ…?」


青木 「もう6時だよ…今日は戻らない…?」


早緑 「そうだな、もうくったくただぜ………」


黄嶺 「……飯にしよう、頼んだぞ。水野、青木」


水野 「…うん! …わかった…! せつなちゃん!」


青木 「………うん! ごはんにしよ!」





早緑 「ふぅ…ごちそーさん…!」


赤井 「ほんと、美味いな水野達の作る飯は」


水野 「えへへ……褒めても何も出ないよ…」


黄嶺 「たしかに、美味い」


青木 「黄嶺君も褒める事、あるんだね…ふふっ」


黄嶺 「なに、嘘は言わねぇってだけの話だ」


早緑 「なんだろうな…まだここにきて2日しかたってねぇってのに……なんだかお前らとずっと一緒にいた気がしてくるよ」


水野 「それ私も思ってた! なんか……死んじゃった二人も含めてだけど……初めて会った気がしないっていうか…」


黄嶺 「……まぁ、そんなこともあるだろ」


赤井 「案外、どっかで会ってたりするのかもしんねぇぞ。って、まさかな」


青木 「ふふっ、そうだとしたらどこで会ってるのかな? わかんないか…」


早緑 「お前らの顔を見た時の既視感っていうの? わかんねぇけど、そんなのをたまーに感じんだよな。ん? 何やってんだ青木」


青木 「いやっ…いいよ、続けて早緑君。これね、もともと共同生活っていうから楽しくなると思ってて…思い出にしたいって思って持ってきたビデオカメラなの…生きぬいた記録として…録ってるの」


早緑 「そうか、そうだな。こんな狂った学校があるって世間に知らせりゃきっとこんなとこ無くなるさ」


水野 「きっと、助かろうね……蜜柑ちゃんや紫城君達の分も…」


黄嶺 「…………今日はこんなもんにしておこう、明日もまた探索しなきゃなんねぇんだ」


赤井 「そう、だな。休もうぜ……明日も8時に事務室、ここだよな?」


早緑 「だな、明日は職員室を調べてみよう」


青木 「うん…じゃあ…みんな、おやすみ」


黄嶺 「あぁ、休め」





赤井 「……2日目に…2人が…死んだ…。蜜柑、紫城…」


水野 「赤井、君…」


赤井 「……水野…。また来たのか」


水野 「……うん……やっぱり…赤井君とが一番…落ち着くの…だめ…かな…?」


赤井 「……いや。かまわねぇけど…な」


水野 「人の命ってこんな…あっけなく死んじゃうものなのかな…」


赤井 「………さぁ…な……」


水野 「私……死にたくない……」


赤井 「俺だって、死にたくねぇよ……だから……きっと助かるんだ」


水野 「そう…だよね…みんなで助かるんだよね…」


赤井 「あぁ……。今日は疲れたろ、俺ももう睡魔で死にかけだ、ははっ。おやすみ、水野」


水野 「うん…おやすみ…赤井君」





赤井 「みんな集まったな。おはよ」


早緑 「おっす、おはよ


黄嶺 「よう」


青木 「おはよう、みんな」


水野 「3日目…だね」


赤井 「今日はまず、隣の職員室を調べに行こう。で、いいな? 黄嶺」


黄嶺 「あぁ、かまわん」


早緑 「職員室なぁ…いったいなにがあるんだ…?」





赤井 「……開けるぞ」


水野 「………うん……」


早緑 「……トラップは…ねぇんだよな…?」


黄嶺 「あぁ、トラップ管理メモに書いてあったが、必ず東西校舎と、地下フロアにしかトラップは無い。そう記されてあった」


青木 「……暗い…ね」


赤井 「明かりだ。つけるぞ」


早緑 「……っ、眩しいな………おっ。ケースだぜ」


水野 「また…何か入ってるのかな…? パネル…?」


赤井 「いや………わからねぇ。開けるぞ…」


黄嶺 「………ほう、暗視ゴーグルか…」


青木 「あ…あんし…ごーぐる…?」


早緑 「暗い中でもこいつを通して見るだけで、全然地形が把握できたりするんだ」


赤井 「暗視ゴーグルしか入ってねぇ………」


水野 「でも…これで暗いところが見えるんだよね…?」


黄嶺 「収穫はそれだけか…。まぁ、充分だ」


青木 「ねぇ……! あの…EXITってのは…?」


早緑 「なに…!? で…出口…か?」


水野 「ほ…ほんと…? やった!」


赤井 「……この…かわった部屋みたいなのが出口か」


黄嶺 「電話ボックスみたいなサイズの部屋が2つ。恐らくここに1人ずつ入るんだろう」


青木 「使用は一度きりのみって…書いてあるよ……」


早緑 「………出口は…校内のいろんな場所にあるって事でいいんだよな…? 俺達がもらった紙の通りだと」


黄嶺 「だろうな。多くて確実6人は生き残れるゲームみたいだからな、出口も少なくとも3つはあるはずだ」


赤井 「なら……出口があるんなら、出れる奴からさっさと出るべきだろ」


水野 「そ…そうだよね……誰かが出たら助けを呼べるかもしれないし…」


黄嶺 「誰が出る…? 5人の中から、2人だ」


早緑 「抜け駆けしようって、言ってんじゃねぇ……ただ…。俺はお前らほど頭の切れる人間じゃねぇ。はっきり言って役立たずかもしれん」


赤井 「早緑、そんなに卑下するんじゃねぇ…こんな狂った学校が悪いんだ、なにもお前が悪いんじゃねぇ…」


黄嶺 「………何が言いたい」


早緑 「俺が、出て良いか」


赤井 「………黄嶺、俺は早緑に賛成だ。こいつは足も速い、ここの学校に来るのは町からバスで2日かかってる。辛くなるのは前提だが…助けを呼べるのは…こいつぐらいだ」


青木 「誰が……一緒に出るの…?」


黄嶺 「女子が出ろ、水野か青木。どっちかだ」


水野 「……せつなちゃん。行って」


赤井 「水野……お前…」


青木 「ち、千夏ちゃん……! でも……」


早緑 「大丈夫だよ青木、水野も頭は切れる。知ってんだろ…? 黄嶺も赤井もきっと大丈夫だ」


赤井 「早緑と…青木…。お前らが出る…それで、良いな?」


黄嶺 「俺はかまわん、まだ調べたいことも山ほどあるからな」


水野 「早緑君、せつなちゃん…。これ、すくないけど…食べ物と飲み物…」


早緑 「悪いな、みんな…。かならず、助け呼んでくるからよ……絶対、死ぬなよ」


青木 「千夏ちゃん…ごめんね……ほんと…」


水野 「いいの…! また、学校をでたら一緒にごはんつくろうね!」


黄嶺 「……その辺にしておけ。準備はいいな、お前ら」


早緑 「あぁ、またな。お前ら、必ず助けに来る」


青木 「千夏ちゃん、またね…」


早緑 「青木、そこのボタンだ。せーの…!」


黄嶺 「………なんだ…?」


赤井 「何の……音だ…?」


早緑 「……おい……嘘…だろ…? なぁ…」


青木 「えっ…………え…?」


水野(M)「脱出ボックスに入った早緑君達。だけど、奥に開いた扉の先。深さ5m程の大きな大きなプール。そこには数えきれないほどのピラニアが放たれていた」


早緑 「おい……黄嶺! どうなってるんだ!」


黄嶺 「くっ! 俺にもわからん…! 何故だ!」


赤井 「そ、その場から動くな…動かなかったら落ちることはないはずだ……」


青木 「助けて早緑く-」


水野 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! えっ…えっ…ひっ……はっ……ぐすっ…ひぐっ……」


赤井(M)「2人の首元に何かぎらついた薄い銀の板が滑り込んだ。なにかが両断される音と共に悲鳴は途絶えボックスを真っ赤に染め上げた。、」


水野 「どうじ…て……ざみどりくん……せつなぢゃんが…うわぁぁぁぁん」(泣きじゃくり)


黄嶺(M)「巨大な薄い刃が戻るとゴトッという音を立て、何かがボックスの床に落ちた。早緑の髪は緑色、青木の髪は青色だった。赤に染色された二人の顔が今にも動き出しそうに俺たちの方を見ていた」


赤井 「………お…おい……マジで…どうするんだよ!?」


黄嶺 「くそっ……! 脱出口じゃなかったのか!?」


水野 「あああああああああああああああ!」


赤井 「落ち着け水野! 俺達はまだ生きてるんだ! しっかりしろ!」


水野 「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない怖い怖い怖い怖い怖い」


黄嶺 「……くっ……水野をなんとかしろ…!」


赤井 「……………水野!」


水野 「っ………ごめん……なさい………」


黄嶺 「落ち着け…水野…。まだ出られないと決まったわけじゃないんだ…」


赤井 「この脱出口は…そもそも…偽物だったという事だ……」


水野 「………にせ……もの…?」


黄嶺 「考えられるのはそれしかない……やはり……あっちこっちに隠されたパネルをどこかしらで使わないと…正しい出方はできないんだ」


赤井 「なんでそれを言わねぇんだよ! 気づいてたら早緑も青木も死なずにすんだかもしれないだろ!」


黄嶺 「…………半信半疑だったんだ…」


水野 「赤井君…黄嶺君が悪いんじゃないよ……」


赤井 「……そうだな………すまねぇ……」


黄嶺 「1階東校舎に向かおう…。俺のフロアマップの探索だ」


水野 「……………早緑君達は……」


赤井 「………今は…考えるな……! 油断したら…死ぬぞ」


水野(M)「私たちが職員室を後にするとき、大きなプールに放たれたピラニアたちは何かを必死に頬張っていた。その頬張っていた中に赤が洗われて元の色を見せた緑と青色の何かが特別美味しかったらしい。それが何かは考えないことにした」



黄嶺 「暗視ゴーグルを貸してくれ…。この前の通りなら…ここのトラップは電気をつけると動くはずだ」


赤井 「………気をつけろよ……黄嶺」


黄嶺 「…………あったぞ……ケースだ…」


水野 「……………」


赤井 「……中身は…?」


黄嶺 「GとLのパネル…3階東校舎制御室の鍵と……事務室倉庫の鍵だ」


水野 「事務室倉庫……あっ……あそこの鍵…」


赤井 「3階東校舎…青木がマップを持ってるって言ってたな…」


黄嶺 「事務室に行ってみよう、なにか手に入るかもしれん…」




水野 「ここの鍵だと思う…」


黄嶺 「開けるぞ」


赤井 「………なんだ…これ………校章…? エンブレム…? 春高って書いてるぞ」


黄嶺 「回収しておけ、それよりも…だ」


水野 「なに…? その大きな盾みたいなの……」


黄嶺 「ライオットシールド、ポリカーボネートでできた盾だ。警察が使ってたりするのをドラマで見たことあるだろ?」


赤井 「そんなの…何かの役に立つのかよ…?」


黄嶺 「こいつは機銃にも恐らく耐えられる。俺が試しに行ってみた3階東校舎は重量感圧で機銃がこちらを攻撃するようになっていた」


水野 「まって…それって機銃の攻撃をなんとか防いで進まないといけないの…?」


赤井 「そういう…ことになるな、この前話になった放熱時間ってのを利用して動かなきゃなんねぇ」


水野 「そんな…怖い事……」


黄嶺 「残りは4日だ…なんとしても本当の出口を見つけ出すぞ」




赤井 「ここが3階東校舎か…起動条件は、黄嶺の話だと電気が消灯していること、だな」


黄嶺 「あぁ、いまゴーグルで覗いてみたが、制御室は左一番奥かつ…電気のスイッチは右奥みたいだ」


水野 「まって…機銃は別れ道から両方についてるよ……盾があっても一方しか防げないんじゃない…?」


赤井 「俺と黄嶺で護りあうように機銃の攻撃を耐えるしかねぇ」


黄嶺 「俺の勘が正しけりゃ、2分の稼働に1分の放熱時間が生じる。そこの1分で決める」


水野 「そんな…危なすぎるよ……」


赤井 「水野がパソコン室に入ったときだって俺はそんな気持ちだった、今度は俺達ががんばる番だ……!」


黄嶺 「準備はいいか赤井、背中を任せるぞ」


水野 「きっと…無事でいてね…」


赤井 「よし、突っ込め!」


黄嶺 「……くっ……凄まじいな…機銃の弾を受け続けるってのは……」


赤井 「全く……だぜ……盾で防いでんのに…衝撃だけで腕がもってかれそうだ……!」


水野(M)「私は見ていることしかできなかった。黄嶺君と赤井君は機銃の攻撃に耐え続け、そして2分がやってきた」


黄嶺 「とまったぞ、赤井! 行け!」


赤井 「あぁ…! 任せろ! はっ…はっ…はっ…はっ…(走ってる)…止まれ!」


水野 「電気がついた………やったぁ…!」


黄嶺 「はぁっ…はぁっ……よく、やった……二人とも、こっちへ来い」


赤井 「ここが制御室か…? トラップの稼動条件を設定しなおしてくれよ…」


黄嶺 「言われなくても…わかっている…よし、稼動条件を重さ120以上に変更した…。設定されていた重さは40キロ以上だった。水野でも無理な重さだ」


水野 「うう…40キロ切ったらさすがに痩せ過ぎって言われちゃうよ…」


赤井 「まぁ…若干痩せてる…よな」


水野 「あ、赤井君…どこ見ていってるの! い、いちおうこれでも…し…Cは…」


黄嶺 「馬鹿やってねぇで、ケースを見に行くぞ」


赤井 「そ…そんなに怒るなよ……」


水野 「べっ…別に怒っては無いけど…」


黄嶺 「今のところ解放したエリアは…整理してみよう。地下、1階2階3階東か」


赤井 「だいぶ片付いたな……犠牲を出しちまったが……」


水野 「誰も…悪くないよ……」


黄嶺 「なんだ…? このケースは……いつもより大きいぞ…?」


赤井 「開けてみろよ…」


水野 「…うわっ、金ぴかの靴だ……すごい……」


黄嶺 「HとSのパネルに……このデカい金の靴だ……」


赤井 「形はともかく…こんなのいくらするんだ…?」


水野 「で…でも…重そうだね……」


黄嶺 「まさか。履く用途のためにあるのか…?」


赤井 「ケースの中身って以上、大事なものなんだろ…。とりあえず今までに集まったものを整理しようぜ」


黄嶺 「職員室の鍵、事務倉庫の鍵、1階西制御室鍵、3階東制御室の鍵…こいつらはもう使ったな。」


水野 「たくさんあって…混同しそうだね…」


黄嶺 「いつ使うかわからねぇ、しっかり持っておかねぇとだからな」


赤井 「トランシーバーも2機になっちまったな…。んで12枚のパネルと…暗視ゴーグル、エンブレムにその悪趣味な靴だ」


黄嶺 「青木が言っていたな。会議室は3階東校舎って」


水野 「あっ、それだったらすぐそこじゃない…?」


赤井 「入ってみよう、なに。トラップはもうこのフロアは大丈夫なんだ」


黄嶺 「……なんだ…ここは…」


水野 「なに…これ……人が…倒れてる……!?」


赤井 「いや…厳密にはもう死んでる……」


黄嶺 「死んでまだ……2日も経っていない……? なんだ、これは……」


赤井 「そんなに最近…って待てよ、それって俺達がもうすでにここにきてる時じゃねぇか…!?」


黄嶺 「この男がなにか紙を持ってる。水野、読んでみてくれ」


水野 「う…うん……。この学校は悪魔だ、次々と惨く人が殺される。俺もこの会議室に閉じ込められてしまった。2日前くらいに新たな生徒が入ってきたみたいだが、不運な奴らだ。こんなところから出られるわけないんだ」


赤井 「こいつら……閉じ込められて餓死したのか……」


黄嶺 「俺達が気付かないのも無理はない…。今日まで俺達は誰一人としてこの3階に踏み入ってないんだ。それにこいつらは…閉じ込められたというより」


水野 「調理室と同じ…トラップ…?」


黄嶺 「賢いな水野。恐らくそうだ、こいつらは電気をつけたがために出られなくなってしまった。頭に小回りが利くやつがいなかったんだろう」


赤井 「会議室には……何もないか…?」


黄嶺 「いや………あった。校長室の鍵だ」


水野 「こっ…校長……」


赤井 「校長室は……」


黄嶺 「探索していない3階西校舎にあるな、行くか?」


赤井 「いや…………今日は……戻ろう…」


黄嶺 「そう…だな…。賛成だ、俺も疲れた」


水野 「そう…だよね……ごめん…何もできなくて……」


黄嶺 「お前がいないと飯すら食えていないんだ。卑下するな」





赤井 「ごちそうさま、ありがとな。水野」


黄嶺 「あぁ、美味かった」


水野 「うん……良かった」


赤井 「………減ったな……」


黄嶺 「そうだな」


水野 「………………」


赤井 「なぁ、黄嶺」


黄嶺 「なんだ」


赤井 「どうしてお前はそんなに行動力があるんだ?」


黄嶺 「行動力があるわけじゃねぇ、ただ純粋に俺の意思で動いてるだけだ」


水野 「二人とも…すごいよね………私…ほんっとになにもできなくて……」


赤井 「水野、だからそんなことねぇって言ってるだろ…? 無駄だったやつなんていねぇよ……紫城ゆかりぎも蜜柑も…早緑も青木も…」


黄嶺 「水野」


水野 「ありがと…赤井君……ん……なに…?」


黄嶺 「たしかにお前は基本ビビって、なんでもかんでもできているとは思わん」


赤井 「おい、黄嶺…」


黄嶺 「だがな、少なくともお前のその性格が周りを元気づけてるのも事実だ」


水野 「……! あ…ありがと………黄嶺君」


黄嶺 「言っただろ、俺は嘘は言わん。じゃあな、俺は寝る」


赤井 「……素直じゃない奴だな、ほんと…。 また、明日だ」


黄嶺 「フン……」





赤井 「おはよ………お前らって……もう……3人しかいないんだな…」


黄嶺 「今日で4日目だ。もう折り返し地点だぞ」


水野 「ひとつ…聞いても…いいかな…?」


黄嶺 「なんだ、手短にしろよ」


水野 「2人でしか…出られないのに…今…3人なんだよ…? 本当の出口が見つかったら…どうするの…?」


黄嶺 「知らん」


水野 「そっ…そんな…」


赤井 「そうだ…黄嶺。見つかっても…俺達3人出られるとは…」


黄嶺 「見つかってもいない出口の話をしても仕方ねぇだろうが」


水野 「で…でも……きっと考えなきゃいけない時が…」


黄嶺 「もう一回だけ言うぞ、見つかってもいない出口の話なんて意味ねぇんだ」


赤井 「黄嶺………」


黄嶺 「……校長室。3階西校舎だ」


水野 「それは…私のフロアだ…」


赤井 「よし…行こう」




水野 「ここからが…西校舎だけど…少し床の作りが違うね…」


赤井 「ガラス素材か…? わからん、だけど…いつもの床の作りと違う」


黄嶺 「俺達が探索してきたフロアで、唯一ここだけが違うつくりという事は、これまで探索してきて一度も経験したことがない稼動条件のトラップって事だな」


水野 「そ…そうか…! となると…」


赤井 「サーモセンサー…。温度だ」


黄嶺 「なるほどな、なにか人肌ぐらいの温度の物を、廊下にり込んでみよう。水野、ぬるいお湯で濡らした雑巾か何かを持ってきてくれ」


水野 「あ…うん…! わかった…待ってて…!」


赤井 「おい、黄嶺…! それなら俺が…」


黄嶺 「いや。大丈夫だここのフロア以外電気をつけたり消したりしない限り、もうトラップが動くことはねぇ。それよりだ、赤井」


赤井 「どうした、黄嶺」


黄嶺 「出るときになればお前と水野が出ろ」


赤井 「ちょ…ちょっと待てよ。水野はもちろんとしてどうして俺も決まってるんだ?」


黄嶺 「俺はこの学校に興味がある。ギリギリまで諦めるつもりもない。この話はあくまで本当に2人でしか出られなかったら…の話だ」


赤井 「だけどよ……!」


黄嶺 「その時になって混乱するのなんてごめんだろう。少しでも考えておくことだ」


水野 「ただいま! 黄嶺君、これでいいの?」


黄嶺 「あぁ、すまんな。これを廊下に…それっ」


赤井 「……なんだ!?」


黄嶺 「やはりか。3階西校舎は温度を感知して……ほう。床から硫酸が流れ出す仕組みのトラップみたいだな」


赤井「りゅ、硫酸!? それ…ヤバいだろ……?」


黄嶺 「そうだな、普通の靴なんかで踏もうものなら一瞬で溶けて皮膚がただれるだろう」


水野 「硫酸で溶けない靴なんてあるわけないよ……こんなんじゃマップも役に立たないし……」


赤井 「いや……? 昨日見つけた金ぴかの靴…あれ…純金だろ…?」


黄嶺 「金は硫酸では溶けないはずだ。仮に溶けたところでそう簡単に溶けはしない。こいつを履いて、電気を消して起動条件をオフにするしかない」


水野 「そんな…本当に…大丈夫なの……?」


赤井 「俺が…行く…。貸してくれ…、靴を」


黄嶺 「ほらよ」


水野 「赤井君…! 無理…しないで…」


赤井 「無理なんてするもんかよ……ただ……。無茶無しでここは生き抜けそうにもねぇってことは確かだけどな…!」




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