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Trap Highschool  作者: はこいく
1/5

Trap Highschool 前編

Trapとらっぷ Highschoolはいすくーる 前編

登場人物

赤井あかい 邦麻ほうま 17歳 ♂

高校2年生。どんな時でも諦めず、

絶望的な状況でも光を探すことをやめない。

与えられたフロアマップは1階西校舎。


青木あおき せつな     17歳 ♀

高校2年生。始まってしまった7日間を前に

混乱し、正しい判断がつかず終始おどおどしている。

与えられたフロアマップは3階東校舎。


蜜柑みかん 悠奈ゆうな 16歳 ♀

高校1年生。我が身かわいい性格で、

かならず自分が第一の存在でないと気が済まない。

与えられたフロアマップは2階東校舎。


黄嶺おうれい 直治なおはる 18歳 ♂

弱肉強食こそこの世の理と考えており、

今回の出来事も大して問題視していない。

与えられたフロアマップは1階東校舎。


水野みずの 千夏ちなつ 15歳 ♀

高校1年生。いつでも明るく、人を元気づける性格。

料理が得意で味も料理人並。実は怖がり。

与えられたフロアマップは3階西校舎。


紫城ゆかりぎ しゅん  16歳 ♂

高校1年生。落ち着いた性格で頭も切れる。

物事を1から整理して考えることが得意。

与えられたフロアマップは地下1階。


早緑さみどり 昂太こうた 18歳 ♂

高校3年生。非常にめんどくさがりで

よっぽどのことでないとやる気を起こすことはまぁない。

運動神経が良く、短距離走が得意。

与えられたフロアマップは2階西校舎。


赤井:

青木:

蜜柑:

黄嶺:

水野:

紫城:

早緑:

----------------


赤井(M)「とある夏休み、1通の手紙が届いた」


青木(M)「手紙は無作為に選ばれた、7人の高校生に宛てられたものだった」


蜜柑(M)「内容は設けられた舞台の高校で、7日間共同生活を送るというものだった」


黄嶺(M)「そう、俺達は行くべきじゃなかった」


水野(M)「参加すれば、学年末の成績は確実に保証される、そう記されていた」


紫城(M)「普通に考えたら、こんな話。怪しさ極まりない」


早緑(M)「だけど、気づいた時にはもう遅かった」




赤井 「ここが……高校か…? もう何人か人が集まってるな…」


早緑 「ったく、なんだってんだくそったれ……お? お前も手紙が来たのか」


赤井 「あ、あぁ……あんたもか…?」


早緑 「まぁ、そんなとこだ」


紫城 「どうやら、君で最後の様だ。立札たてふだに人数が揃い次第入れと書いてある」


水野 「と、とりあえず入ってみようよ…。あたりも暗くなってきたし……」


蜜柑 「ってかどうして集合時間が夜の11時なの? 全っ然理解できないんだけど」


青木 「た…たしかに……こっ…怖いよ……」


黄嶺 「言ってたって仕方ねぇだろ、入るぞ」




水野 「下駄箱………。たくさんあるよ……?」


蜜柑 「どうせ悠奈達しかいないんだから場所なんて気にすることないんじゃないの?」


青木 「ちょ…ちょっとまって……!?」


早緑 「あ? どーしたってんだ」


青木 「………玄関が……施錠されてる……」


黄嶺 「…は? オートロックかなんかだろ? どっかいじくりゃ…………マジかよ………」


赤井 「あ……開かないのか……?」


紫城 「なんだって……そもそも内側から空かない扉なんておかしいだろ……」


蜜柑 「なに、それって悠奈達閉じ込められたって事!?」


早緑 「閉じ込められたって言ってもどうせ7日間とかそこらじゃねぇのか?」


水野 「そ…そうだよ…! 共同生活を送って7日後に開くとかそんなだって!」


黄嶺 「ったく………まぁいい、とりあえず1階の事務室にって立札に書いてあったろ」


赤井 「そうだな……事務室は…って、目の前じゃないか」


青木 「入って…みよ?」




早緑 「なんだ? あれは……7枚の俺たちそれぞれに宛てられた紙が入ってんぞ」


水野 「また…? あ、ありがと……」


黄嶺 「なんだ…?」


青木 「………えっ……これって……」


蜜柑 「なに……これ……!?」


赤井 「………は……は?」


紫城 「これは……………」



早緑 「……選ばれた諸君へ……君たちには7日以内にこの学校を脱出してもらう」


水野 「脱出するには1人生き残るか、または校内に存在する出口から脱出することだ……」


赤井 「出口から出ることのできる条件は2人いないと通れないという事だ……」


蜜柑 「7日以内に出ることができない場合毒ガスが散布され、君たちの命を奪うだろう……」


紫城 「食糧など、生活に必要なものは全て揃っている……無理やり外に出ようなどとは考えない方が良いだろう…」


黄嶺 「また、君たちにはそれぞれ違うフロアのマップが渡されている…。電子マップであるためリアルタイムで自分たちがどこにいるのかがわかる代物だ」


青木 「ルールは簡単である……人の死亡が人によるものでなければ問題は無いとする……」


早緑 「フロアマップの貸与は認められない……」


蜜柑 「ルールに違反した者は……」


赤井 「校内のあらゆる場所に設備された……機銃にハチの巣にされると思ってほしい……」


水野 「………脱出していった、という理由以外で校内に残った生徒が1人だけになった場合は7日目を迎えた時点で校内から解放する……」




蜜柑 「なに!? どういうことなの!?」


水野 「そうだよ! 死亡ってなに!? 毒ガスってなんなの!?」


黄嶺 「落ち着けよ、お前ら」


青木 「この状況で落ち着いてなんて…いられないでしょ……!」


早緑 「なぁ………これ……マジなのか……?」


紫城 「本気、じゃなかったら閉じ込めたりはしないだろうよ」


赤井 「………混乱するのも……わかるけど……これがマジだってんなら……7日以内にここを脱出しないといけない」


水野 「………みんなで協力…しないと……」


早緑 「………早緑 昂太だ、名前も知らねぇまんま生活なんて……できっこねぇだろ」


水野 「水野……千夏………」


黄嶺 「なにお前ら焦ってるんだ? くっだらねぇ」


赤井 「は? くだらねぇだと? この話が本当なら人の命がかかってんだぞ!?」


黄嶺 「だからなんだってんだよ?」


赤井 「自己紹介して、なんとか協力しようって言ってんだろうが!」


水野 「け、喧嘩は良くないよ!」


蜜柑 「そうよ、今もめたって仕方ないでしょ?」


紫城 「…………はぁ……」


黄嶺 「気づいてるやつはもういるみたいだぜ?」


早緑 「……お前か、なんだよ。気づいてることって」


紫城 「紫城 舜、気づいてること…だろ……? 簡単な話、少なくとも1人はこの中から死者が出るってことだ」


青木 「なに……それ、どういうこと…!?」


黄嶺 「頭悪いやつばっかで反吐がでるぜ…ハハッ」


赤井 「お前、その態度なんだよ」


早緑 「よせって! なんだ、お前の名前」


赤井 「チッ………赤井 邦麻だ……くそっ」


紫城 「7を2で割ると……?」


水野 「7割る2は3.5だよね…!」


蜜柑 「はぁ…ばか……」


水野 「えっ…ち、違ったかな……?」


青木 「7人ってのは人の数だから少数は数にならないの…」


水野 「あ………そっか……ごめん……」


蜜柑 「3あまり1、でしょ」


黄嶺 「この学校のルールでは、2人同時にしか出ることはできない。また、脱出以外で残った生徒が1人の場合は脱出できるが、その場合は残った一人を除いて6人が校内で死亡することを指してるんだ」


赤井 「……まじ……かよ……そ……そんな……」


水野 「あ、赤井君……大丈夫………?」


赤井 「…………あぁ」


早緑 「しかし……そんなら……どうやってみんなで助かるってんだよ……」


黄嶺 「頭悪いな、お前」


早緑 「チッ……んだってんだよ………」


黄嶺 「みんなで助かるとか甘い事言ってんじゃねぇぞ? 誰かが死ぬんだよ、こん中で」


蜜柑 「……誰が……死ぬってのよ……」


青木 「な、何を言い出すの…!? その…えっと……」


蜜柑 「蜜柑 悠奈よ。7日経ったらみんなが死ぬ、たくさん助かっても1人が死ぬ。そんなの…無理に決まってるじゃない……!」


紫城 「たしかに今のところ絶望的な状況なのは間違いない。だけど、今ここで言い争っていても無駄だろ」


赤井 「………そう…だな……」


黄嶺 「っは、綺麗ごとならべてりゃ助かるなんて大間違いだ。黄嶺 直治、お前お前呼ばれるなんざ勘弁だ」


青木 「……青木、せつな……その…よろしく…ね」


早緑 「あんまり長々やってらんねぇだろ、フロアマップとかなんとかいうのはどうすんだ?」


紫城 「みんなそれぞれ違う内容の物らしいな。共有しない方がいいと俺は思う」


赤井 「どうしてだ? むしろ活動範囲が広がっていいんじゃないか?」


紫城 「変に活動範囲を広げたら変な気を起こす奴がいるかもしらないぞ」


水野 「へ、変な気って……?」


蜜柑 「誰かを、殺す……って事でしょう」


青木 「でも、ルールには殺しちゃいけないって……」


黄嶺 「死因が人によるものじゃなかったらの話だ。誰かを突き落して殺すのと、ギロチンに誘導して殺すのとでは意味が全然違ってくる」


早緑 「本気で言ってんのかよ? 冗談じゃねぇ……」


赤井 「とにかく……もうすぐ0時だ。0時から7日間みたいだから、とりあえず今日は休もう」


水野 「休む……? どこで…?」


赤井 「事務室の奥に個室が人数分設けてあるらしい、変わった造りだが仕方ない。こんなごつごつした床じゃ寝られないだろ?」


蜜柑 「ほんと、私お風呂入りたいんだけど! 生きなきゃいけないとはいえ、身だしなみができないなんて言うなら生き地獄だわ」


早緑 「明日の朝8時に事務室に集合でいいな?」


紫城 「いろいろ整理つかないこともあるけど、とりあえず休もう」


黄嶺 「俺は好き勝手やらせてもらうからな」


青木 「それじゃ……みんな、おやすみ………」




赤井 「ったく……黄嶺……腹立つ野郎だ……くそ………」


水野 「あの………赤井君………?」


赤井 「……ん……。誰だ………って…水野、どうした?」


水野 「その……怖くて………全然、一人じゃ寝られなくて………」


赤井 「って言っても……男の俺のとこにどうして…?」


水野 「せつなちゃんは探索するって言った黄嶺君についてっちゃったし…悠奈ちゃんはお風呂入るから邪魔しないでって……」


赤井 「青木……黄嶺についてったのかよ……」


水野 「うん………その……一緒に……いちゃだめかな………? すごく…怖い……」


赤井 「……まぁ、入れよ…」


水野 「部屋の造りは……一緒なんだね……」


赤井 「そうなのか…? 水野はベッドで寝ろよ、俺は床で寝るから」


水野 「えっと……あの……その…」


赤井 「じゃな、お休み」


水野 「…………………赤井、君…」


赤井 「ちょっ……ベッドで寝ろって……水野…?」


水野 「ごめん……赤井君………一緒が……いい……」


赤井 「…………あぁ。おやすみ」


水野 「…………うん………おやすみ」






早緑 「よし、大体集まったな。おはよーさん」


蜜柑 「おはよ、黄嶺は来てないの?」


青木 「黄嶺君は、昨日の夜もずっと校内を探索してたよ…。私も一緒にいたから…」


赤井 「水野は……えっと、その……まだ寝てる」


紫城 「なんでお前が水野の事を知ってるんだ?」


赤井 「あぁぁぁぁぁぁぁ、いや…そんな気がしただけっつーか……」


蜜柑 「ふーん、別になんでもいいけど」


紫城 「とりあえず、その脱出口を探さない事には始まらないだろ」


青木 「この、フロアマップが役に立つの…かな…?」


蜜柑 「外の光が差さないのもあって、校内は暗いみたいだからマップが無いとどこを歩いているのかわからないわよ」


赤井 「各々マップを持ってるフロアを探索するって事か?」


早緑 「そういうこった、他のフロアに行ってもいいけどよ、暗くてめんどくせぇのもあるし、何よりどこ歩いてるのかわかんねぇからな」


蜜柑 「安全策で二人一組って言いたいけど、数が合わないわね。誰が一人になる?」


青木 「わ…私は嫌……誰かと一緒が…いい……」


赤井 「いい、俺が一人になる」


早緑 「そうか、何かあったら知らせろよ。っていっても……連絡先交換してねぇか…ってあれ……」


黄嶺 「ここは圏外になってる、ジャミングでも入ってんのかもな」


紫城 「黄嶺……探索してきたわり………あっちこっち怪我だらけだな」


黄嶺 「俺の持ってるフロアマップ以外は真っ暗で何が何かわからねぇからな。こけまくったしぶつけまくった」


青木 「これで6人だけど………」


黄嶺 「俺は寝る、勝手にしろ」


蜜柑 「あんた、自分勝手もいい加減に-」


赤井 「かまわねぇよ、別に」


紫城 「赤井……」


黄嶺 「じゃあな」




早緑 「とりあえず、誰が誰と組む?」


蜜柑 「男女わける? それとも、男女で組む?」


紫城 「俺はどちらでも良いと思うけど。まぁ、男子が女子を護るのは普通って考えたら明らか後者だろうな」


蜜柑 「なら、早緑。私と組みなさいよ」


早緑 「もう少し可愛げがあればいんだけどなぁ…?」


蜜柑 「なによ、文句ある?」


早緑 「別に?」


青木 「じゃあ…私が、紫城君と…?」


紫城 「あぁ、そうだな。それじゃ赤井、一人になるけど、大丈夫なんだよな?」


赤井 「あぁ、気にすんな」


早緑 「時間は昼の12時までだ。時間になったら戻ってこよう。お前ら、怪我すんなよ」




紫城 「地下1階……案外広いな…。青木、大丈夫か?」


青木 「う…うん…平気……。あれ……なにこの音……?」


紫城 「なんか………カサカサ聞こえるが……まぁ…気にしてても仕方ない、出口を探そう」


青木 「あ…うん………ひっ!」


紫城 「どうした!」


青木 「今…何か…踏んだ………」


紫城 「明かりは携帯のライトしかないからな…待てよ…こ、これは……!?」


青木 「ごっ…ゴキブリ……!? きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


紫城 「落ち着け青木! 踏んだだけだ、気持ち悪いのはわかるが落ち着け!」


青木 「はぁっ…はぁっ…はぁっ…ひっ……はっ…うん……」


紫城 「夏だからな…出てきてもおかしくはない…」


青木 「ご…ごめん……」


紫城 「進むぞ……」


青木 「あ、あそこに……スイッチがあるよ……」


紫城 「あれか……足元が見えないからな…慎重に行かないとだ…青木、これで照らしてくれるか」


青木 「う、うん…わかった………」


紫城 「よし……よし…いいぞ……もう少しだ……オッケーだ、押すぞ……それ」



青木 「あっ! 明るくなった…! あれ……? 何か今大きな音…しなかった…?」




蜜柑 「2階東校舎ね、私のマップは」


早緑 「ったく、なんでこんなことになっちまったんだか…」


蜜柑 「知らないわよ、無作為に選ばれた7人って書いてあったじゃない」


早緑 「んなこと言ってねぇだろ、こんな生き死にがかかったのに巻き込まれるなんてよ」


蜜柑 「ふつうこんな事誰も信じないと思うけどね、私は」


早緑 「人間意外と大変な状況が起こったら、よっぽどな事であればあるほど信じちまう生き物なんだよ」


蜜柑 「バカそうな顔してて意外とまともな事言うのね」


早緑 「はっ、余計なお世話だ。で、こっちの道はなんなんだ?」


蜜柑 「こっちは調理室みたいよ。恐らく紙に書いてあった食糧はここに在るのね」


早緑 「こんな真っ暗で電気が通ってるのかもわかんねぇのに、冷蔵庫だけ電源入ってたらそれもそれで奇妙だがな」


蜜柑 「うっ………! 何……この臭い……!」


早緑 「錆びた鉄みたいな臭いだ………これは…………血だ…」


蜜柑 「はぁ!? 血!? 何言ってるの? そんなことあるわけ……っ、なにこれ……なんか足に当たったんだけ……ど……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


早緑 「どうした蜜柑!」


蜜柑 「ひっ………ひとっ…人の腕が……おち、おち…おちおちおち……てる……」


早緑 「あ゛? ウソだろ……? ………んだよ……これ……」


蜜柑 「電気…つけないと………早緑……あ、あ、あ、あれよ…押して……!」


早緑 「……………あ……あぁ………! よしっと……明るくなった……な…って……うっ……おええっ………げほっ…げほっ……げほっ」


蜜柑 「施錠された!? どういうこと!? どうしたの早緑……うっ……う゛ぇぇっ……げほっ……」


早緑 「はぁっ…はぁっ……くそ…どうなってやがる……軽く10人はいるか……? あっちこっち腕やら足やら落ちてやがる………おえぇっ…」



赤井 「水野、起きろ」


水野 「ぅん……む……う……んむ……おき…る……」


赤井 「みんなそれぞれ二人一組で探索しに行ってる。水野もほら、起きろ」


水野 「うん……おはよ…うー…ん!(伸び) わかった」


赤井 「よく眠れたみたいだな」


水野 「うん…昨日は疲れちゃったから……」


赤井 「まぁ…そりゃそうか…。とりあえず1階西校舎だ、俺のマップから始めて行こう」


黄嶺 「待て、お前ら」


水野 「そうだね、あっ…黄嶺君…」


赤井 「なんだよ…お前。寝るんじゃなかったのかよ…?」


黄嶺 「そう警戒すんじゃねぇよ、お前らにアドバイスしに来ただけだ」


水野 「あど…バイス…?」


黄嶺 「昨日俺は死にかけた、この学校に殺されかけたんだ」


赤井 「は…? 何言ってんだ…?」


黄嶺 「どうやらここのルールはマジなもんらしい。無理やりガラスを割ってみたら機銃がこちらを向いたからな。あいつらはしばらく標的を失うと止まるみたいだ。ガラスを割ったところで出られなかったがな」


赤井 「だからそんだけ怪我してたのか」


黄嶺 「ただ、逆に言ったらこのルール以外の事は何してもかまわねぇんだ、多分な」


水野 「……どういう…意味なの…?」


黄嶺 「さぁな、それは自分たちで考えろ」


赤井 「信じていいのか? お前を。正直俺はお前を信用しきれない」


黄嶺 「好きにしろ、ただ一つだけ言っておく。俺は嘘だけは言わん」


赤井 「……………そうか。じゃあな」


黄嶺 「あぁ」




水野 「西校舎なの…? ここは」


赤井 「そうだな、こっから先が西校舎だ…。真っ暗だな……この学校のどこかに脱出口があるってんなら探すしかないけど……見つかるのかよ…本当に…」


水野 「ほんとだ……ガラスの向こうに大量にバリケードみたいに銀の板が打ち付けてあるね……」


赤井 「天井に張り付いてるあの大量の黒い塊が機銃だろうな」


水野 「あれに狙われて撃たれたんだよね…黄嶺君は」


赤井 「まぁ、生きてたみたいだけどな。音なんてまったく寝てるときに聞こえなかったけど…」


水野 「防音に作られた部屋で寝てたのか、それとも黄嶺君が撃たれたのが防音の部屋だったのかも?」


赤井 「……どのみち狙われたくはないな……」


水野 「ここ…学校なのに教室が一つもないね……」


赤井 「少なくともここで勉強する生徒なんていないだろうからな……なんだあれ…」


水野 「ちょ、赤井君! どうしたの!」


赤井 「ここに何か箱がある。開けてみよう、悪い。照らしてくれ」


水野 「あっ……うん……これでいいかな?」


赤井 「サンキューな……! これは…!」


水野 「な、何? 何が入ってたの?」




紫城 「閉じ込められた、みたいだな。地下に」


青木 「うそ……どうしよう……」


紫城 「せっかく明るくなったのにな……それに……青木の言っていたカサカサの正体がわかったぞ」


青木 「ひっ…きゃあああああぁぁぁぁぁ!」


紫城 「大丈夫だ、俺もいる。落ち着け…。大量のゴキブリみたいだ」


青木 「ひっ……はぁっ…はぁっ…気持ち悪いよ……」


紫城 「物の影から出てくるって事は相当飢えているのかもな。変に刺激したら喰われかねないぞ」


青木 「う…うん……わかった……でも…閉じ込められたんだよね……? どうしよう……」


紫城 「大抵、スイッチを入れると閉じ込められたときはスイッチを切ったら元に戻る…暗くなってしまうが、ほら」


青木 「ほ、ほんとだ……開いたみたい……」


紫城 「実験室ってとこに行ってみよう。暗いと見えにくいな、もう一度明かりをつけるぞ」


青木 「うん……うわぁぁぁっ! やっぱり…暗くても嫌だけど明るくて虫が見えるのも…嫌だよ……」


紫城 「あれか。実験室は……何かあるな、青木。ここで待っていてくれ…行ってくる」


青木 「だ…大丈夫……?」


紫城 「あぁ、待っててくれ。なんだ、このケースは……開かない……」


青木 「どうしたの?」


紫城 「開かないんだ。ん?」


青木 「…何か見つけた?」


紫城 「いや、気づかなかったがここの実験室の扉に内側からカギが刺さっている。んっ……抜くには鍵を閉めないといけないのか……」


青木 「そんなことしたら紫城君一人になっちゃうよ…!」


紫城 「大丈夫だ、心配するな……開いたぞ……! なんだ…このパネルは……TとR……? !? 何の音だ…!」


青木 「紫城君! 壁が! 壁が動いてる!」


紫城 「!? なんだ、どうなってる!? まさか…このままだと…潰される…!?」


青木 「紫城君! 早く! 早く出てこないと!」(泣きじゃくるように)


紫城 「くそっ!! 上手く鍵穴に刺さらない……! まずい…! まずいまずいまずい! 開いた…!」


青木 「紫城君早くこっちに! …え?」


紫城 「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だァァァァァア!」


青木(M)「実験室の左右から迫る壁は、ブチッという何かを潰す音を立てて私の目の前で閉じた。紫城君の腕は私の足を握っていたが、力なく離し、そして片手に握られた2枚のパネルがカランと虚しい音を立てて転がった」




蜜柑 「これ…どういうこと…………?」


早緑 「調理室って、まさか人間の事じゃねぇだろうな…?」


蜜柑 「悪趣味にもほどがあるわよ…そんなの…」


早緑 「俺達も…まさかこうなるわけじゃねぇよな………」


蜜柑 「バカ! 縁起でもない事言わないでよ! こんなのになって死ぬくらいなら今すぐ首吊ってやるんだから」


早緑 「まぁでも、ルール違反をしない限り向こうから罰せられることはない……信じてみようぜ…」


蜜柑 「……もうすぐ12時じゃない…? ほんとに冷蔵庫…開けてもいいの…?」


早緑 「俺は良いと思うけど…んじゃやめとくか?」


蜜柑 「やめとくって言うか……今調理室に閉じ込められてるのよ…? ここから出ないと……」


早緑 「それもそうか…、んじゃ後にしておくか…」


蜜柑 「それにしても………この扉、どうしてしまってるのかしら……」


早緑 「……ん? なんだ……?」


蜜柑 「どうかした?」


早緑 「いや……なんか、すげぇ扉からビリビリ来てんだ」


蜜柑 「もしかして、ここのスイッチさっき早緑が入れたから…?」


早緑 「部屋の電気だろ? んじゃ、落としてみるか…? ほれ」


蜜柑 「あっ、開いたよ…早緑。やっぱりスイッチと連動してるんじゃない?」


早緑 「ったく、冷蔵庫なぁ。もったいないぜ」


蜜柑 「あとで来ればいいじゃない、とりあえず事務室に戻りましょ?」




水野 「何が…あったの?」


赤井 「ナイスだ、トランシーバーが3つ。それと…なんだこれ…AとPのパネル…?」


水野 「トランシーバー! 使えそうかな…?」


赤井 「電池も3つとも使えそうだ…さすがにこいつらはジャミングかからないはずだ。こんな意図的に用意してあるんだからな」


水野 「やったね…これで学校でも連絡取りあえるね…みんなと」


赤井 「だな、とりあえずそろそろ12時だ…。12時に事務室に一回集合ってなってるんだ。戻ろう」


水野 「そうだね…あ、事務室みえてきた…! ん?」


赤井 「どうした、水野」


水野 「気づかなかったけど、西校舎の入り口のところに電気のスイッチあったみたいだよ!」


赤井 「…ほんとだな、つけていくか」


水野 「うん! ぽちっと」


赤井 「!? 何の音だ……機銃が…何かを撃ってる…!?」


水野 「あれは……私たちがさっきいたところだよ……電気をつけたら急に…き…切っとこう!」


赤井 「……どうなってんだ、スイッチを切ったら機銃が止まった………わけがわからねぇ……まず、事務室に戻ろう」


水野 「そ、そうだね……戻ろう!」




青木 「ど……どうしよう…紫城君…死ん…じゃった……か……帰らないと………はっ…はっ…(走ってる)……開かない……閉じ込められてる………」


紫城(M)「大抵、スイッチを入れると閉じ込められたときはスイッチを切ったら元に戻る…暗くなってしまうが、ほら」


青木 「そうだ……スイッチを…落として…暗くしたら……………開いた…! 戻らないと……! はっ…はっ…はっ…」



黄嶺 「遅かったな、お前ら」


蜜柑 「あんたねぇ……大変だったんだからこっちは…」


早緑 「冗談じゃねぇぜ、あっちこっち人の足やら腕やら落ちてんだからよ…」


黄嶺 「んな大したことじゃねぇだろ? 俺が探索に行った時もそんなのザラだったぜ」


蜜柑 「あんた…おかしいんじゃないの…?」


水野 「た…ただいま…」


早緑 「おっす、水野。おぉ、赤井も一緒だったか」


赤井 「いろいろ話すことがありそうだけど…とりあえずこいつらだ」


黄嶺 「ほぉ、トランシーバーか。電池は?」


赤井 「3本とも使える、確認済みだ。校内では繋がりそうだ」


黄嶺 「同じもんを俺も昨日の探索で見つけた、こいつと機種も完全に一致してらぁ」


蜜柑 「なら、二人一組一人余りでも全員と連絡がとれるわけね」


水野 「や、やったね! 赤井君!」


赤井 「まぁ、な……そういや…紫城と青木がまだ帰ってきてないだろ」


早緑 「まだ見てねぇぞ?」


青木 「はぁっ…はぁっ……はぁっ…はぁっ…」


蜜柑 「せつな! どうしたのそんなに走って」


青木 「紫城…ゆかり…ぎ…君が…」


蜜柑 「うん、紫城がどうしたの…?」


青木 「紫城君が……死んじゃった……」


赤井(M)「ついに、出てしまったんだ。7人の中から…死者が。今回の出来事は何も夢じゃない現実だ。仮に夢なら覚めてくれ。夢が覚めたところで、悪夢であることが現実であるとわかっていた」



Trap Highschool 前編


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